『春から夏、やがて冬』 歌野晶午 > 「このミス」完全読破 No.491
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.491
『春から夏、やがて冬』 歌野晶午
「このミス」2012年版 : 56位
受賞(候補) : (「直木三十五賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 17位
読始:2011.10.16 ~ 読終:2011.10.17
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2011年10月>
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No.02「葉桜の季節に君を想うということ」でお馴染みの歌野晶午の、書き下ろしによる新作です。
その「葉桜~」は、「このミス」と「本ミス」の両方で1位になったり、日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞するなどかなり高い評価を得ていますし、“アッと驚くどんでん返し系”作品の話題には必ずと言っていいほど名前が出てくるくらいに、人気と話題性をも持ち合わせています。
まあ歌野晶午は、「葉桜」以前にも多くの本格ミステリ作品を書いていますし、「葉桜」以後にも“密室殺人ゲーム シリーズ”など評価の高い作品を発表しているので、“「葉桜~」でお馴染みの.....”なんて1作品で説明できるような作家ではないのですけどね。
ただ今回は、本作の(単行本の)帯に『ラスト5ページで 世界が反転する!』 『「葉桜~」を超える衝撃がいま』といった、「葉桜」と同様の魅力を期待してしまうような煽り文句が書かれていたこともあり、こんな書き出しにしてみたのです。
ちなみに、(単行本の)裏表紙側の帯には『「葉桜」も「本格」も「どんでん返し」もひとまず忘れて、歌野晶午が到達したすばらしい小説世界を堪能してください。』と書いてあったので、まあこのタイプの作品を読む時にいつも心掛けていることではありますが、あまりラストの衝撃を意識しないように気を付けながら読んでみました。
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主人公は、スーパーの保安責任者を務める中年男性。
ある時、万引が見つかった女性を.、7年前に交通事故で亡くした娘と同じ歳という理由から警察に突き出さずに帰したことをきっかけにして、物語は進んでいきます。
その後は、娘の死から不幸の連鎖に身をゆだねることになった主人公の過去話を絡めつつ、主人公と女性との交流(といっても恋愛的なものではないです)が描かれていくことから、本格ミステリというよりは一般小説的なストーリーとなっているので、一応探偵の話だった「葉桜」よりも、No.68「イニシエーション・ラブ」乾くるみに近いタイプと言えそうです。
そして、帯に書いてある通りに、ラスト5ページでそれまで思い描いていたものが覆されるのですが、これも「葉桜」とは違った驚きでして、どんでん返しや驚愕の結末というよりは、ラストでストーリーに捻りが加えられるという、短編小説でよくありそうなオチといった感じでしょうか。
なので、「葉桜」と同じ(または越えるほどの)衝撃や驚きを期待してしまうと、読み終えたらかなりガッカリしてしまうでしょうし、そんな期待がなかったとすれば、この最後に明かされる真相が醸し出す読後感をしんみりと味わうことができると思うので、この帯の文句は本作に対してあまり良い効果を与えてはいないのではないかな~と思いましたね。
個人的にも、自分が“「このミス」完全読破”を続けていくきっかけにもなったほどに思い入れの強い「葉桜」の魅力を期待して読んでしまったため、読後はあまり良くない意味で茫然としてしまいました。そんな期待を持たずに読んでいれば、この切なくて静かに心を打ってくる物語をもっと素直に楽しめたはず.....。
ちなみに、Youtubeで本作に関する著者インタビューを観ることができますし、「本の話WEB」でも著者インタビューを読むことができます(歌野ミステリの新境地<本の話WEB>)。
> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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