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2011年10月12日 (水)

『刑事のまなざし』 薬丸岳 > 「このミス」完全読破 No.490

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.490

 『刑事のまなざし』 薬丸岳

   「このミス」2012年版 : 52位

   受賞(候補) : (「日本推理作家協会賞〈短編部門〉」
               候補作 『オムライス』 収録)

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2011.10.10 ~ 読終:2011.10.11

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2011年6月>

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薬丸 岳

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 薬丸岳は、「天使のナイフ」で江戸川乱歩賞を受賞してデビューした作家です。

 2005年にデビューしたのにもかかわらず、本作でようやく5作目ということで、寡作に近い作家ということになりますかね。

 そしてこれまで発表してきた作品には、「天使のナイフ」では少年法、「虚夢」では刑法第39条など、社会的なテーマが込められているのですが、本作もそういった様々な社会的テーマが散りばめられた短編集となっています。

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 収録されているのは、「オムライス」「黒い履歴」「ハートレス」「傷痕」「プライド」「休日」「刑事のまなざし」の7編。

 一応刑事ものではありますが、身近で殺人事件が起きた一般市民の方を中心にして、事件前後の物語がつづられていきます。

 それぞれの話で中心となる人物というのが、家庭内暴力・幼児虐待・自傷行為・少年犯罪などの社会的な問題に直面している人たちで、その部分が事件とも大きく結びついてくるので、やはり読んでいて重く哀しく辛くなるような話が展開されていくのです。

 それらの事件を担当するのが夏目という刑事でして、刑事らしくない柔かな物腰と、元法務技官(少年鑑別所に勤務)ならではの視点、そして他の刑事とは違う斬り込み方や鋭い推理とで、事件の真相へと迫っていくので、どことなく東野圭吾作品の人気キャラクター・加賀恭一郎に似た魅力を持ち合わせていましたね。

 そんな夏目刑事にも、法務技官から刑事へと転職するきっかけにもなった壮絶なる過去がありまして、この夏目刑事の物語が連作的なストーリーとなっていくわけです。

 短編としても連作としても、事件を通すことで見えてくる重いテーマ性はもちろんですが、その中にも光が感じられ、そこで感動を生み出しますし、いずれの作品も“真相が判明したかに思えた直後に本当の真相が明らかになる”という凝った作りでミステリ的にも読み応えあるので、まさに帯に書かれている通りに“薬丸岳だからこそ書けるミステリー”なのではないでしょうか。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度  : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★★★
   ビックリ驚愕度  : ★★★       おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★       人間味ドラマ度 : ★★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★★    感涙ウルウル度 : ★★★★
   衝撃バカミス度 : ★★★       気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


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