『爛れた闇の帝国(爛れた闇)』 飴村行 > 「このミス」完全読破 No.452
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.452
『爛れた闇の帝国』 飴村行
* 文庫化の際に『爛れた闇』に改題
「このミス」2012年版 : 43位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 10位
読始:2011.4.29 ~ 読終:2011.5.2
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2011年1月>
爛れた闇 (角川ホラー文庫) 飴村 行 角川書店(角川グループパブリッシング) 2013-03-23 売り上げランキング : 42327 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
No.240「粘膜蜥蜴」によりミステリマニアの間でブレイクを果たした飴村行の、初の“粘膜シリーズ”以外の作品&初のハードカバー作品です。
ただ、本作が発売されるまでには、結構な紆余曲折があったようなのですね。
というのも、「このミス2011年版」の“私の隠し玉”コーナーなどによると、当初の発売予定は昨年(2010年)の10月で、それに合わせて執筆していたところ、出来上ったのはプロットとは全くの別物で、ホラーでもない普通の物語となっていたのだそうです。
そのため、作者本人が担当編集に書き直しを直訴し、全面改稿を果たしたうえで再度出来上ったのが本作、ということのようです。
それを踏まえて本作を読み終えてみますと、その全面改稿される前の作品がどんな内容だったのか気になってしまうし、ぜひとも読みたくなってしまうのですよねェ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
というわけで本作は、ホラーミステリ作品です。
独房に監禁された日本兵が、拷問を受けながら失っていた記憶を思い出していく話。
それと並行して、母親が自分の学校の先輩(しかも極悪番長)と恋愛中という、かなり異常な状況に置かれた高校生の話も語られていきます。
どちらの話もまさに飴村作品といった感じで、精神に強烈な打撃を与えてくるほどの嫌~な物語が、エログロバイオレンスとエンターテイメントとで包まれているという、刺激が強すぎるんだけど面白く感じさせられてしまう独特の魅力はまさに期待通り。
ただ、やはり「粘膜蜥蜴」と比べてしまうとおとなしめかな~とも思ったのですが、この二つの話が結びついて真相が明らかになると、これまで以上にエグくドギツく歪み切った世界がおぞましいほどに浮かび上がってくるので、この展開には本当に参ってしまいました。
そんな感じで、“粘膜シリーズ”と共通する魅力や刺激もあれば、また違った魅力や刺激も味わえる作品だと思うので、まあ「粘膜蜥蜴」を比較対象として読んでしまうと、特にユーモア面やぶっ飛び具合などでやっぱり物足りなさを感じてしまいそうではあるものの、そこは上手く切り替えて、人間の欲望と狂気とが蠢くこの物語を楽しんでほしいですね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “飴村行”関連記事 】
> No.525 「粘膜戦士」
> No.452 「爛れた闇の帝国」
> No.332 「粘膜兄弟」
> No.240 「粘膜蜥蜴」
「私たちが星座を盗んだ理由」北山猛邦 <<< PREV/NEXT >>> 「獅子真鍮の虫」田中啓文
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
>>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<
« 「髭男爵 山田ルイ53世のルネッサンスラジオ(ルネラジ)」プレイリスト(2011年10月) | トップページ | 【MDB式“2011年ナビスコ準々決勝・鹿島戦”データボックス】 »
「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」カテゴリの記事
- 「このミステリーがすごい!2022年版」ランキング(順位)予想(2021.02.03)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年2月)(2021.01.31)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2021年1月)(2021.01.21)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年1月)(2021.01.09)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2020年12月)(2020.12.20)