『影武者徳川家康』 隆慶一郎 > 「このミス」完全読破 No.467
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.467
『影武者徳川家康』 隆慶一郎
「このミス」1989年 : 9位
受賞(候補) : 「日本冒険小説協会大賞(特別賞)」受賞
総合ランキング : 「「このミス」が選ぶ過去10年のベスト20」 6位
「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 21位
「時代小説 マストリード100」 選出
年度ランキング :
読始:2011.3.4 ~ 読終:2011.8.1
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本(上・中・下) <1993年8月>
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「このミス」は、“このミステリーがすごい!”という名前にも関わらず、対象となるのはかなり広義なミステリなので、ミステリ要素のないエンタメ作品であってもランクインすることが多々あります。
特にその傾向は「このミス」初期(80年代後半~90年代)によく見られ、今振り返ると“この作品が「このミス」にランクインしていたの!?”と驚くこともあるのですが、その代表ともいえるのが本作ではないでしょうか。
タイトルから推測出来るようにバリバリの時代小説で、ミステリ要素などほとんどないものの、“「このミス」1989年”で9位にランクインしただけでなく、“過去10年のベスト20(“1998年版”で実施)で6位、“過去20年のベスト・オブ・ベスト(2008年に実施)”では21位に入るなど、長きに渡って評価されているのですね。
ちなみに、作者の隆慶一郎は、元々はテレビや映画の脚本家として活躍していましたが、還暦を過ぎた1984年に小説家デビュー。
しかし1989年に逝去されたため、作家生活は5年ほどしかなく、その短い期間に本作や「一夢庵風流記」などの傑作時代小説を発表したのです。
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それで本作ですが、“もしも関ヶ原の戦いの最中に徳川家康が暗殺されていて、その後の家康を影武者が演じていたら.....”という設定の元に、関ヶ原以後の物語が描かれていきます。
とはいっても、“もしも○○だったら....”というSF的な話ではなく、“家康影武者説”というのは古くから論じられてきたものでして、様々な史料を元に作者自身が“関ヶ原の戦いでの入れ替わり説”を導き出し、それを小説の形で発表したのですね。
そのため、作中にも様々な史料からの引用などが載っていて、“影武者説”の裏付けがなされていくので、この驚くべき話が真実味を帯びていき、作品世界に違和感なくのめり込むことができるのです。
そんな歴史の勉強的な部分もありつつも、エンタメ時代劇としての盛り上がりもかなりのものでして、家康の影武者となった二郎三郎に対して次々と訪れる窮地や危機、そしてそれを見事なまでに乗り越えていく様などが、それぞれ500ページを超える上中下巻(文庫版)という超特大なボリュームで繰り広げられていくので、まあとにかく圧巻の一言です。
特に上巻の部分などは、目まぐるしく状況が変わっていく怒涛の展開に圧倒されるのですが、自分は本作を原作として原哲夫の作画で週刊少年ジャンプに連載されていた漫画版「影武者徳川家康」と「SAKON -戦国風雲録-」を連載当時に読んでいたこともあり、序盤の展開なんかはすでに知っていたので、それを知らないまっさらな状態でこの小説版を読みたかったな~とつくづく思いましたね(まあ漫画版もかなり面白かったですが)。
ただそれでも中盤以降も大興奮の面白さで、家康(二郎三郎)が老いて力を失いつつある終盤なんかも、イケイケで突っ走っていた時代とはまた違った魅力があったので、読み終えた時には大満足のため息を漏らしてしまったほどの面白さでした。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆
本格ミステリ度 : ★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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