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2011年8月 4日 (木)

『硝子のハンマー』 貴志祐介 > 「このミス」完全読破 No.466

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.466

 『硝子のハンマー』 貴志祐介

   「このミス」2005年版 : 6位

   受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 5位
              「週刊文春ミステリーベスト10」 次点(11位)

   読始:2011.7.21 ~ 読終:2011.7.25

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <2007年10月>

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)
貴志 祐介

角川書店 2007-10
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 「狐火の家」 No.469「鍵のかかった部屋」へと続く(2011年7月現在)、“防犯探偵・榎本シリーズ”の1作目です。

 ちなみに、続編2作はいずれも短編集なので、本作はこのシリーズ唯一の長編作品ということになりますね(2011年7月現在)。

 貴志祐介は、本作の前にはNo.12「黒い家」や「天使の囀り」などのホラー作品、本作の後には、SF色の強いNo.126「新世界より」No.428「ダークゾーン」、サイコサスペンスのNo.361「悪の教典」など、様々なジャンルの作品を発表し、多くの作品が「このミス」にランクインしています。

 とはいえ、ミステリに分類されるのは「青の炎」くらいしかなくて、ミステリ作家としての印象はほとんどないと思うのですが、そんな貴志祐介が唯一ド直球な本格ミステリに挑んでいるのが、このシリーズなのです。

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 厳重なセキュリティーに守られたビルの最上階で起きた密室殺人事件の謎に、防犯コンサルタントと美人弁護士のコンビが挑む作品です。

 ミステリの中でも定番中の定番ともいえる密室殺人に、思いっきり真正面からぶつかった作品なのですが、一つの密室殺人事件しか起きず、一つの密室殺人事件に関わる話しか出てこないのに、これだけの長編作品となっているのですから、それだけでも本作がとんでもなく密度の濃い密室ミステリだということが窺い知れるでしょう。

 一つの密室に対してこれだけのボリュームとなったのは、仮説を生み出してはそれを検証する、といった作業を繰り返し、あらゆる可能性を潰しつつ真相に迫っていくためでして、本格ミステリを読み慣れていない人にはかなりクドいと感じられてしまうかもしれませんが、本格ミステリ好き、特に密室好きの人なら、かなりの満足感を味わえるのではないでしょうかね。

 そしてその密室の謎に挑むのが防犯コンサルタントということもあり、可能性を潰していく作業というのがかなり専門的であり本格的となっていて読み応えありますし、防犯システムに関しての現状や情報を知るだけでも面白いです。

 とてもガチガチな本格ミステリ作品ではあるものの、防犯コンサルタントの男は優秀な探偵であるけれどかなり癖のある人物ですし、優秀な美人弁護士も密室トリックに相対すると天然ボケを炸裂するキャラになるので、この主人公2人のやり取りによって作品にコミカルさも加わっていたように思います。

 そして後半では犯人目線による倒叙ミステリのような話に変わり、この人物が密室殺人を犯すに至るまでの流れが克明に描写されているため、この物語、というかこの密室事件が、とても奥深くドラマ性を持ったものとして心に響きましたし、単なる密室ミステリに終わらない貴志祐介らしい面白さが生み出されていましたね。


  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★★   鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★      おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★     気軽に読める度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “貴志祐介” 関連記事 】

  > No.991 「ミステリークロック」
  > No.698 「雀蜂」
  > No.469 「鍵のかかった部屋」

  > No.466 「硝子のハンマー」
  > No.428 「ダークゾーン」
  > No.361 「悪の教典」
  > No.126 「新世界より」
  > No.012 「黒い家」


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