『獅子真鍮の虫(真鍮のむし) 永見緋太郎の事件簿』 田中啓文 > 「このミス」完全読破 No.453
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.453
『獅子真鍮の虫 永見緋太郎の事件簿』 田中啓文
* 文庫化の際に『真鍮のむし』に改題
「このミス」2012年版 : 25位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 22位
読始:2011.5.3 ~ 読終:2011.5.8
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 (2011年3月)
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No.82「落下する緑」 No.129「辛い飴」に続く、“永見緋太郎の事件簿シリーズ”の第3弾です。
このシリーズは、1作目が色の名前、2作目が味覚の名称と、単行本ごとに収録作のサブタイトルが統一されているのですが、3作目の本作は、ことわざや故事がサブタイトルに使われています。
ただ、ことわざや故事を本来のまま使われている作品もあれば、表題作のように内容に合わせてアレンジされていたりもするので、そんな遊び心のあるサブタイトルも楽しみ所の一つでしょう。
そしてこのシリーズは、本作にて一旦完結となります。
といっても作者自身は続編を書く気が大いにあるようなので(単行本のあとがき参照)、ぜひとも早期のシリーズ復活を期待したいですね。
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というわけで本作は、ジャズバンドメンバーの唐島英治&永見緋太郎コンビが活躍する“日常の謎”系ミステリのシリーズ短編集です。
ジャズというと、馴染みのない方には敷居が高くて地味で堅い印象を持たれるかもしれませんが、本作の主人公コンビ、特に探偵役を務める方はいわゆるアホキャラで、なんともユルくほのぼのとさえする作品雰囲気となっていますし、ジャズを知らずとも問題なく楽しめるので、“ジャズミステリ”というだけで敬遠してしまうのはもったいないでしょう。
そしてミステリ的な部分ですが、1作目が「このミス」にランクインし、2作目の収録作「渋い夢」が日本推理作家協会賞短編部門を受賞するなど、シリーズ前2作がミステリ作品として評価されたのと比べると、本作はミステリ度がグッと下がる印象となっています。
といっても、ミステリ的な構成が話を盛り上げますし、密室の謎が使われる作品もあったりするのですが、それでもやはり物語の方に比重がかけられていて、ミステリ的な読み応えを期待すると物足りない感じですかね。
ただその分物語部分、特にジャズの演奏シーンにおける大迫力は前2作にも負けないものがありまして、音を聴いていないのに体中を音楽が駆け巡って血を熱くたぎらすかのような描写は、まさに圧巻の一言です。
それに、ジャズに生きる人々の情熱が読んでいてヒシヒシと伝わってきて、それによってジャズの底知れぬパワーを感じることができますからね。
そしてこのシリーズは連作集というよりシリーズ短編集といった趣きがあるのですが、本作は途中から連作的な展開へと進んでいくので、主人公コンビの新たな一面も楽しむことが出来ると思います。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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