『男たちは北へ』 風間一輝 > 「このミス」完全読破 No.425
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.425
『男たちは北へ』 風間一輝
「このミス」1989年 : 6位
受賞(候補) :
総合ランキング : 「「このミス」20年のベスト・オブ・ベスト」 12位
年度ランキング :
読始:2011.2.1 ~ 読終:2011.2.3
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <1995年8月>
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風間一輝のデビュー作にして、長きに渡り高い評価を得ている傑作です。
「このミス」でも、1989年の6位にランクインしている他、2008年に発表された“20年のベストオブベスト”でも12位にランクインしていますからね。
そして風間一輝は、1999年に亡くなるまでに本作を含めて9作品発表しているのですが、そのほとんどの作品において(池袋にあるボロアパート)“深志荘”の住民が(メイン級で)登場するため、”深志荘シリーズ”とも呼ばれています。
風間作品にはそういった繋がりがあるので、作品を多く読めば読むほど愛着が湧いてくるのではないでしょうか。
そんな中でも本作と特に繋がりの強い作品として、本作に登場する名脇役のその後を描いた『片雲(ちぎれぐも)流れて』と、本作に登場する“謎の男”側の視点で本作主人公との交流を描いた「国道四号線」(短編集『されど卑しき道を』に収録)があるので、本作の後にはこの2作品をぜひとも読んでほしいですね。
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中年のアル中男である主人公が、東京から自転車で北へと旅立つ、自転車ロードノベルです。
目的地までの道中で起きる様々な出来事、特に家出ヒッチハイク少年との不器用な交流など、感動の押し付けになっていないだけに素直にじんわりと来るものがありますね。
そんな“旅”としての魅力だけでなく、(今でいう単独ツーリングではあるものの)No.79「サクリファイス」(近藤史恵)を思わすようなスポーツ競技としての自転車レースに近い魅力も持ち合わせているのです。
さらには、主人公が北を目指す理由が徐々に明らかになっていくという構成がミステリ的ですし、主人公が一筋縄ではいかない“男の生き様”を貫く性格なのでハードボイルド的な雰囲気も漂わせています。
そして、主人公が旅の途中で偶然にもある陰謀に巻き込まれてしまうことから謀略小説的な展開になるのですが、これによりサスペンスやアクションなどの要素も注ぎ込まれて作品に勢いと熱を生み出していますし、この謀略的な要素が効いているからこそ「このミス」で高い評価を受けるに至ったのではないでしょうか。
これだけ様々な要素が詰め込まれながらも読み応えはとてもシンプルで、全ての要素を充分に味わいつつ作品全体を楽しめてしまうので、20年以上前の作品ではあっても多くの人にオススメしたいですし、主人公と同年代の男性(一応主人公は44歳)には特にオススメですね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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