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2011年4月 4日 (月)

『五稜郭残党伝』 佐々木譲 > 「このミス」完全読破 No.423

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.423

 『五稜郭残党伝』 佐々木譲

   「このミス」1992年版 : 15位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2011.1.29 ~ 読終:2011.1.30

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1994年2月>

五稜郭残党伝 (集英社文庫)五稜郭残党伝 (集英社文庫)
佐々木 譲

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 「北辰群盗録」 No.424「婢伝五稜郭」へと続く、“五稜郭三部作”の1作目です。

 “三部作”とはいえ、箱館戦争(五稜郭の戦い)後のそれぞれの物語で、ストーリーの繋がりや共通する登場人物があるわけではないので(話題に上ったりはしますが)、1作目である本作から順に読まなくても問題ないと思います。

 ただ、密接的な繋がりはないとはいえ並行して繰り広げられる物語ですし、作品が語りかけてくるテーマ性やエンタメ作としての魅力は共通していると思うので、順番通りではなくとも3作共に味わってほしいですね(と言いつつ自分もこれを書いている時点では2作目が未読ですが)。

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 “箱館戦争後の物語”というのを少しだけ具体的に説明してみますと、まず箱館戦争というのは、江戸から明治へと時代が変わる大きなポイントとなった戊辰戦争の最終局面です。

 その戦地となったのが、榎本軍(旧幕府軍)の本拠地・五稜郭を中心とした箱館(この戦争後に“函館”に改称)だったのですが、新政府軍に敗れる直前に、降伏を受け入れることをよしとしない武士たちがこの地を脱出し、蝦夷地(箱館以北の北海道)へと逃走。

 箱館戦争終結後にこれら残党を追討に向かう官軍兵や、蝦夷地の原住民であるアイヌ人などが絡んだ物語を、残党側を中心に描いたのが、この三部作なのですね。

 それで本作ですが、シリーズ1作目ということもあってか、三部作の中でも一番この設定を直球に描いた作品となっています。

 とにかく逃亡劇の迫力がハンパないものでして、目まぐるしく変わっていく状況、訪れる地それぞれで巻き起こる騒動と人間ドラマ、生命と信念とが賭けられた激しいアクションシーンなど、エンタメ的な楽しさと、心を揺さぶられたり胸を熱くするようなガッツりとした読み応えを、同時に味わうことが出来るのです。

 北海道の地が西部劇の舞台となったかのような作品の雰囲気に惹きこまれていきますし、とにかく熱く激しい冒険ドラマが繰り広げられるので、“第二次世界大戦秘話三部作”や一連の警察小説とは一味違った、それでいて共通する部分もある佐々木譲作品の魅力を堪能できるでしょう。


  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★       鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★★★★   主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★       気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “佐々木譲” 関連記事 】

  > No.840 「砂の街路図」

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  > No.615 「人質」
  > No.563 「回廊封鎖」
  > No.522 「地層捜査」
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  > No.485 「警官の条件」
  > No.424 「婢伝五稜郭」
  > No.423 「五稜郭残党伝」
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  > No.200 「警官の血」
  > No.175 「暴雪圏」

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  > No.151 「警察庁から来た男」
  > No.138 「うたう警官 (笑う警官)」
  > No.048 「制服捜査」
  > No.024 「ストックホルムの密使」


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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