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2011年3月22日 (火)

『杉下右京の事件簿』 碇卯人 > 「このミス」完全読破 No.439

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.439

 『杉下右京の事件簿』 碇卯人

   「このミス」2012年版 : 79位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2011.3.10 ~ 読終:2011.3.11

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2010年11月>

杉下右京の事件簿 (朝日文庫)杉下右京の事件簿 (朝日文庫)
碇 卯人

朝日新聞出版 2014-03-07
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 タイトルにもなっている“杉下右京”というのは、人気テレビドラマシリーズ「相棒」の主人公の名前です。

 つまり本作は、ドラマ「相棒」を元にした作品、というわけなのですね。

 やはり人気ドラマだけあって、これまでに数多くのノベライズ本が発売されているのですが、なぜに本作だけわざわざ購入してまで読んだのかといいますと、本作の作者がその大きな理由となっています。

 まあ“碇卯人”なんて作家はこれまで聞いたことも見たこともない、という人の方が多いでしょうが、実はこの“碇卯人”というのは、あるミステリ作家の別名なのです。

 その正体ははっきりとは明かされていないものの、元の名前のアナグラムとなっていたり、元の名前で出した作品に”碇卯人”というミステリ作家が登場するなど、ヒントが多いし別に正体を隠しているわけではなさそうなので、ここで明かしてしまいますと、その正体というのはあの鳥飼否宇なのですね。

 というわけで「このミス」実績のある作家で、しかも本作はノベライズではなく、ドラマ化などを想定していないオリジナル作品ということなので、読んでみることにしたわけです(ちなみに、これまでにも碇卯人名義で「相棒」のノベライズシリーズを発表しています)。

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 それで本作の内容ですが、右京がスコットランドに休暇旅行中に遭遇した殺人事件を描いた話と、奄美大島への出張中に巻き込まれることになった事件を描いた話の、二つの中編からなっています。

 どちらの話も特命係とは関係ありませんし、どちらも”相棒”は登場しないので、杉下右京のみにスポットを当てたスピンオフ作品的な感じでしょうか。

 なので、ドラマやノベライズでの「相棒」では味わうことのできない、本作だからこその杉下右京を楽しむことができるのではないかと思うのですが(自分はドラマ自体もほとんど観ていないので正確なことはわかりませんが)、特に異色の内容だと思われるのが、スコットランドを舞台とした話の方です。

 ウイスキーの蒸溜所を舞台に、現在と過去に起きた密室殺人事件と怪異的な謎について、右京が真相に迫っていくわけですが、まるで右京が本格ミステリ小説の探偵になったかのようで、パロディ的な面白さがありましたね。

 そしてトリックも、鳥飼作品らしい映像化は出来なそうな大胆なものですし、そんな本格ミステリの世界に杉下右京が溶け込んでいるので、特にドラマ「相棒」のファンで本格ミステリ小説も好きな方にオススメしたい作品です。


  > 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★         人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “鳥飼否宇” 関連記事 】

  > No.863 「死と砂時計」
  > No.861 「絶望的 寄生クラブ」

  > No.439 「杉下右京の事件簿」("碇卯人"名義)
  > No.296 「このどしゃぶりに日向小町は」
  > No.122 「爆発的 七つの箱の死」
  > No.118 「官能的 四つの狂気」
  > No.062 「痙攣的 モンド氏の逆説」


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