『謎解きはディナーのあとで』 東川篤哉 > 「このミス」完全読破 No.421
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.421
『謎解きはディナーのあとで』 東川篤哉
「このミス」2011年版 : 24位
受賞(候補) : (「本格ミステリ大賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「本屋大賞」 1位
「本格ミステリ・ベスト10」 9位
「週刊文春ミステリーベスト10」 10位
読始:2011.1.25 ~ 読終:2011.1.26
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2010年9月>
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東川篤哉は、コミカルなミステリ作品を発表し続けている作家です。
「本ミス」では毎年のようにベスト10にランクインするのに、「このミス」ではほとんど票が入らないという、ランキング誌によって評価の差が激しいという特徴もあるわけですが、まあ“知る人ぞ知る”といった存在のミステリ作家でした。
それが本作をきっかけにして、突如として売れっ子作家の仲間入りとなってしまったのですねェ。
発売当初から、これまでの作品とは売れ行きが違ってはいたのですが、発売から約2ヶ月後に朝日新聞の読書面「売れてる本」にて紹介されると、またたく間に爆発的ヒットとなり、年が明けても売れ続ける大ベストセラーとなってしまったのです(朝日新聞「売れてる本」の書評はネット上でも読むことが出来ます→【レビュー・書評】謎解きはディナーのあとで [著]東川篤哉 (asahi.com))。
昨年(2010年)末のランキングでも、「本ミス」のベスト10入りはもちろん、「このミス」でもランク入りは逃したものの一歩手前の24位になるくらいに今回は票を集めましたし、今年(2011年)の春に発表される"本屋大賞”にもノミネートされているので(後日追記:見事に本屋大賞を受賞)、まさにシンデレラストーリーを演出した代表作&大ブレイク作といえるでしょう。
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内容の方ですが、お嬢様刑事とその執事をメインに据えた、シリーズ短編集です。
本作がこれだけヒットすることになった最大の理由というのが、普段は若手刑事として活躍しながら家に帰ると大富豪のお嬢様という主人公と、その主人公に仕えるクールな執事という、メイン2人のキャラクターにあるのですね。
この2人のやり取り、特にお嬢様から進展しない事件の状況を聞いた途端にドS的性格に変貌し、お嬢様を毒舌でいびりつつ事件の真相を鮮やかに披露する執事の立ち振る舞い(&お嬢様の虐げられっぷり)が、普段ミステリ小説を読まない層(特に女性)にもウケているのでしょう。
まあ元々東川作品は、漫画的なキャラクターやギャグ満載のコミカル演出などが特徴としてあったので、普段漫画やライトノベル小説を特に好んで読んでいるような層に訴えかけられるだけの魅力は元々あったわけで、それが本作(のメイン2人のキャラクター)によって花開いた、ということなのでしょうね。
そんな感じでキャラクター小説的な面が強い作品ですが、ただ本格ミステリの面でもしっかりと読ませるものがありまして、ミステリ初心者にも読みやすく、それでいてミステリ愛好家が読んでも満足できるという、とても絶妙な所を突いてきているのです。
それに、読むのに手頃なページ数の中でコミカルなやり取り&本格ミステリ部分をちょうど腹八分目くらいの良い具合に収めていますし、コミカル部分と本格ミステリ部分とが分離せずに上手く絡み合っていますし、犯行の動機などを省くことで作風に合ったあっさり感を出すなど、作品構成のバランスが過不足なくちょうど良いさじ加減で、それこそがヒットにつながった要因なのではないかと思いました。
まあ、普段からミステリ小説を読みまくっているような方だと、これだけ大ヒットしたり、しかも内容がコミカルなキャラクター小説だったりすることで、読もうとしてもどうしても先入観込みで斜に構えてしまうと思うのですが、ただそんな読み方だとやはりもったいないので、“楽しいミステリ小説を読もう!”って気持ちを作って読み始めることをオススメしますね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “東川篤哉” 関連記事 】
> No.709 「探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2」
> No.599 「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」
> No.518 「謎解きはディナーのあとで 2」
> No.433 「放課後はミステリーとともに」
> No.421 「謎解きはディナーのあとで」
> No.090 「もう誘拐なんてしない」
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