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2011年3月23日 (水)

『マルドゥック・ヴェロシティ』 冲方丁 > 「このミス」完全読破 No.415

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.415

 『マルドゥック・ヴェロシティ』 冲方丁

   「このミス」2008年版 : 15位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「ベストSF2007」 7位

   読始:2011.1.10 ~ 読終:2011.1.15

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本(1・2・3) <2006年11月>

マルドゥック・ヴェロシティ1〔新装版〕 (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-13)マルドゥック・ヴェロシティ1〔新装版〕 (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-13)
冲方 丁 寺田克也

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 No.336「マルドゥック・スクランブル」に続く、“マルドゥック シリーズ”の2作目です。

 1作目の続編ではあるのですが、時間軸的には前作よりも前にあたるので、本作から読んでも問題ないばかりか、ストーリー的な流れがスムーズに行くので、かえって本作から読むのも良かったりするかもしれませんね。

 ただ、本作の冒頭は前作のクライマックスシーンだったりしますし、やはり本作は前作を踏まえたうえで作られていると思うし、前作を読んでいるのといないのとでは本作を読みながら感じ取れるものも変わって来ると思うので、特に理由がないのならば1作目から読んでいくのが最良なのではないでしょうか。

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 というわけで本作は前作の数年前の物語なのですが、少し具体的に説明しますと、前作で敵役だった人物が主人公となり、いかにして前作のような立場的状況へと変わっていったのか、その過程が描かれていく物語です。

 このシリーズは、1シリーズあたり文庫3冊組になっているので、これを“3部作”とみてみますと、2ndシリーズ3部作が1stシリーズ3部作より時間的に前の話になっているという構成面や、1stシリーズで敵役だった人物を主人公にしていかに暗黒面に堕ちていったのかが2ndシリーズで描かれるという内容部分など、映画「スター・ウォーズ」シリーズを意識して作られているような感じがしますね。

 まあそんなわけで、本作の主人公が暗黒面に堕ちていく過程が描かれていくわけですが、ただそれを前面に押し出しているわけではなくて、本作オリジナルともいうべき激しく壮絶な物語が繰り広げられていきます。

 主人公が組織の仲間と謎に迫っていくところがハードボイルド的でゾクゾクする読み応えがありますし、敵組織とのバトルが“山田風太郎の忍法帖”的なド派手さやとんでもなさ、バイオレンス&グロテスクさを兼ね備えているので、その迫力ある描写には圧倒させられること間違いなしです。

 それに、主人公の行き着く先がわかっているだけに、何気ないシーンでもとても切なく哀しい気持ちになってしまいますし、そんな主人公の精神的変化や葛藤が現れてくることで、壮絶なる人間ドラマが展開されていくのですね。

 ストーリーやバトル描写などの外的な部分も、主人公の内面を中心とした人間ドラマなどの内的な部分も、どちらも物凄いパワーで読んでいるこちらに向かって押し寄せてくるかのような迫力があるので、絶大なる評価を受けたシリーズ1作目を超えるほどの魅力が詰まった作品でした。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★        鬼畜グログロ度 : ★★★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★★★
   熱アクション度  : ★★★★★   主キャラ魅力度 : ★★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★★    気軽に読める度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “冲方丁” 関連記事 】

  > No.455 「マルドゥック・フラグメンツ」
  > No.415 「マルドゥック・ヴェロシティ」
  > No.336 「マルドゥック・スクランブル」
  > No.305 「天地明察」


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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