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2011年2月

2011年2月28日 (月)

『汝、隣人を愛せよ』 福澤徹三 > 「このミス」完全読破 No.434

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.434

 『汝、隣人を愛せよ』 福澤徹三

   「このミス」2012年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2011.2.23 ~ 読終:2011.2.23

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2010年12月>

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福澤 徹三

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 ミステリ小説におけるジャンルの一つに、“イヤミス”というものがあります。

 といっても別に正式なものではなくて、“バカミス”と同じように、誰かがそう呼び出したのがなんとなく広まっていった、って感じの“知る人ぞ知る”名称なのかもしれません。

 それに、“バカミス”の方はWikipediaにページがあるのに、“イヤミス”のページはまだないので、かなりマイナーな存在なのかも。

 この“イヤミス”というのは、読んでいて嫌~な気分にさせられてしまうようなミステリ作品を示す呼び方でして、代表的なのは、湊かなえ作品や真梨幸子作品、奥田英朗の漢字二文字シリーズなどでしょうか。

 ホントに読んでいて嫌~な気持ちになるものの、それでも読んでいくうちにそんな作品世界にハマってしまうので、新たな作品が発売されると、あんまり読みたくないな~と思いつつもついつい手に取ってしまうという、かなりマゾ的な心境になってしまうジャンルなのですねェ。

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 というわけで本作も、そんな“イヤミス”な作品です。

 例外になく読む前はかなりの思い切りが必要でしたが、特に本作の前に読んだのがNo.431「ポリス猫DCの事件簿」若竹七海No.432「カササギたちの四季」道尾秀介No.433「放課後はミステリーとともに」東川篤哉とほのぼの系作品が続いていたので、正反対とも言うべき内容にかなり躊躇してしまいました。

 内容の方は、マンションを購入し引っ越して間もない主人公が、隣人トラブルに悩まされるというものなのですが、自分もマンションに住んでいることもあって、ホントに読んでいて嫌~な気持ちにされられてしまいました.....。

 しかもこの主人公の身には、この隣人トラブル以外にも様々な不幸が次々と押し寄せてくるなので、“イヤミス”としての掴みは完全にOKでした。

 そんな主人公がどのように対抗&反撃していくのか、といったところが中盤以降の読みどころでして、本作は「このミス」にランクインしたイヤミス作品のような衝撃的な描写があったりぶっ飛んだ展開になったりはしないものの、ミステリ的な謎が上手くストーリーに絡んでいたり、ハードボイルド的な反撃方法だったこともあって、最後まで一気に読まずにいられませんでしたね。


  > 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★★★
   熱アクション度  : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★     人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★      感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


 「放課後はミステリーとともに」東川篤哉 <<< PREV/NEXT >>> 「氷の森」大沢在昌

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2011年2月27日 (日)

週刊少年ジャンプ新連載! 「magico」 岩本直輝

週刊少年ジャンプ 2011年3月14日号 NO.13週刊少年ジャンプ 2011年3月14日号 NO.13
佐々木尚

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 2011年2-3月に投入された新連載の第3弾が、2011年13号(2月28日発売)から始まった「magico(マジコ)です。

 2011年13号の本誌表紙画像 → 「集英社」公式サイト

 作者の岩本直輝(いわもと・なおき)は、“ジャンプ十二傑新人漫画賞(2003年4月期)”の佳作&十二傑賞を「黄金の暁 -GOLDEN DAWN-」で受賞し、同作が“赤マルジャンプ2003SUMMER”に掲載されてデビュー。

 その後は、“赤マルジャンプ2004SPRING”に「窯神」、“赤マルジャンプ2004SUMMER”に「解体心書」と赤マル掲載が続き、“本誌2005年14号”に「怪盗銃士(シーフガンナー)」が掲載されて本誌デビュー。

 さらには、“赤マルジャンプ2008SUMMER”に「カラクリリンク」、“本誌2009年29号”にJG1読切祭エントリー作品として「黒蜜様 参る!」が掲載され(週刊少年ジャンプ読切! 「黒蜜様 参る!」 岩本直輝参照)、本作にてついに連載デビューとなりました。


 内容の方ですが、魔法ファンタジー漫画です。

 田舎から魔法都市・鷹の眼王国にやって来た上京少女・エマは、なぜか王様や街の男たちからモテモテ状態に。

 実はエマは、魔力の結晶を心臓に宿して500年に一度誕生する“黒魔女(エキドナ)”で、男たちの幻惑はその魔力に魅きつけられてのもの。

 そんな中に現れてエマをさらっていったのが、魔法使いのシオン。

 シオンはエマの望まざる黒魔女の力を封印するため、2人で“魔女結婚儀(マジコ)”という儀式を執り行うことに.....。


 異世界を舞台としたファンタジーものは、大きく分ければ「DRAGON BALL」「ONE PIECE」「ナルト」など特大ヒットを放った作品が多くあるものの、その分早期打ち切りとなった作品も数え切れないほどに多いジャンルです。

 しかし本作の場合、ファンタジーものではド直球である“魔法ファンタジー”で、メインキャラクターの攻撃能力が特殊設定や捻りなどないド直球な“魔法”なので、ジャンプでは逆に珍しいジャンルといえるかもしれませんね。

 そして“魔法ファンタジー”以外に本作の大きな特徴となりそうなのが、恋愛要素ではないでしょうか。

 シオンとエマが第1話の段階から婚約するわけですが、ウブで純情な2人による両想い恋愛なので、そのやり取りはとても微笑ましいですし、恋愛話としてはド直球ともいえる関係だけに、こちらもジャンプにしては逆に新鮮に感じられます。

 それに、この恋愛シーンによってコメディ(ラブコメ)的な雰囲気が作られ、コミカルなやり取りが生み出されますし、それがバトルシーンとの対比となって作品全体にメリハリを作るため、第2話以降での恋愛シーンをバランス良く組み込ませられるかどうかが、この作品の魅力や人気に大きく影響してくるのではないでしょうかね。

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  Magico
  投票受付期間:2011.2.27~3.7

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  Photo_2
  投票受付期間:2011.3.6~3.14

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  Photo
  投票受付期間:2011.2.6~2.12

 * 週刊少年ジャンプ2011年2-3月の新連載の中で一番期待が大きい作品を決める投票を実施中です<当ブログ記事>にて実施

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 【「岩本直輝」関連記事】

  > 「流星症候群」 岩本直輝 > ジャンプNEXT!! 2016 vol.2 (16.4.4)

  > 「黒き妖のゴゴゴ」 岩本直輝 > 週刊少年ジャンプ読切! (14.3.31)

  > 「ジェダの通学路」 岩本直輝 > 週刊少年ジャンプ読切! (13.4.5)

  > 「ここだけの秘密」(ジャンプVS -バーサス-) (13.3.22)

  > 「Section 459」(ジャンプNEXT! 2013WINTER) (12.12.28)

  > 「magico」 岩本直輝 <JC1巻買い> (11.7.9)
  > 「magico」 岩本直輝 > 週刊少年ジャンプ新連載! (11.2.26)

  > 「黒蜜様 参る!」 岩本直輝 > 週刊少年ジャンプ読切! (09.6.15)


 >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2011年2月26日 (土)

「★9以上評価!セレクション」 > 「このミス」完全読破・400冊突破記念企画

「このミス」完全読破 400冊突破記念企画 第3弾

   >> 「 ★9以上評価!セレクション 」 <<


 “「このミス」完全読破・100冊突破ごとの記念企画”のリストは、「このミス」完全読破 説明&読破本リストをご覧ください。

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 ”「このミス」完全読破”がついに400冊を突破したということで、100冊突破ごとの記念企画を今回も実施していきたいと思います。

 ちなみに、対象となる400冊について、および“「このミス」完全読破とは一体何なんだ?”といった基本的な部分、または100冊突破ごとの企画については、 まとめページである「このミス」完全読破 読破本リストをご覧ください。

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 400冊突破記念企画の第3弾は、「「★9以上評価!セレクション」です。

 “「このミス」完全読破”では毎回、読んだ直後の評価(面白度)を★10段階評価で出しています。

 ただ、自分は大体どんな作品を読んでも“面白い!”と思ってしまうので、詳しくは「「このミス」完全読破 読破本リスト」に書いてありますが、★2つでも“面白い!(平均点よりちょっと上)”評価となっているのです。

 つまり、★10からいくつ★が減るかの“減点方式”というよりも、★2を基本にどれだけ★が増えるかの“加点方式”といった感じなので、まあ基本的にほとんどの作品が“面白い!”の範囲内となるのですよね。

 そんな中で★8以上評価というのは最高級の“個人的殿堂入り作品”的評価で、400冊の中でも32作しか出ていなくて、さらにその中で“★9以上評価”となると、ほんとにわずかしか出ていません。

 その★9以上評価の作品というのが、400冊の中で11作であったので、区切りにはちょうど良い数かなと思い、その11作品をこのタイミングで紹介してみることにしたのです。

 こうして並べてみますと、“誰が読んでも楽しめる”というよりは、結構好き嫌いが分かれそうな作品が多いので、自分と好みが合う方にのみ参考にしていただけるのではないかと思います。

 ちなみに、まだ★10の満点評価作品は1作も出ていません。


 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページです

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  葉桜の季節に君を想うということ / 歌野晶午  <<感想記事はこちら!>>


 “「このミス」完全読破”を始めて一番最初に読んだ作品です。

 趣味:読書<当ブログ記事>の方に詳しく書いてありますが、“「このミス」完全読破”を始めるまでは、小説本など年に1冊読めばいい方で、ミステリ小説に至ってはほとんど読んだことがない状態でした。

 なのでこの作品を読むまでは“まあ2時間ドラマのようなものだろう”くらいの期待しかしていなかったのですが、実際に読んでみたら、これまでに経験したことのないようなとんでもない衝撃をガツンと受けてしまったのですねェ。

 “「このミス」完全読破”の一冊目にこの作品を選んでいなかったら、こんな400冊を超えるほどに続いてはいなかったのではないか?と思ってしまうほどで、作品自体の魅力にそんな当時の自分自身の状況やその後の影響を加味して考えるのならば、現時点で最も“★10の満点評価”に近い作品といえるかもしれません。

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  神様ゲーム / 麻耶雄嵩  <<感想記事はこちら!>>


 子供向けの体裁をとった作品ですが(単行本版のことです)、それが見事に活かされた一撃必殺のとんでもない衝撃には、読後に魂を抜かれるほどの状態になってしまいましたからねェ。

 読んでから3年半が経った今現在でも、この作品の内容を思い出すと身震い&ニヤリとしてしまうほどなので、とにかく一撃のインパクトではこれまで読んだ作品の中でNo.1でしょう。

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  容疑者Xの献身 / 東野圭吾  <<感想記事はこちら!>>


 ★8評価と★9評価の差というのは、ミステリ小説、または小説自体の面白さに、プラスアルファの要素があるかどうか、なのではないかと思っています。

 それでこの作品の場合は、プラスアルファとなったのが“感動”要素でしたね。

 本を読んで初めて泣けてしまいましたし、心揺さぶられてしまいました。

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  生ける屍の死 / 山口雅也  <<感想記事はこちら!>>


 死者が甦る世界で、被害者も容疑者も探偵もみな死者、というとんでもない設定の作品です。

 この作品を読んだ当時の自分はまだ完全にミステリ初心者だったのですが、この作品で初めてミステリ的なトリックに対して“面白い!!” “すごい!!”と心から思えたのですね。

 作品自体の面白さはもちろんですが、そんな本格ミステリの面白さを教えてもらえたということもあって、とても思い出深い作品となっています。

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  イニシエーション・ラブ / 乾くるみ  <<感想記事はこちら!>>


 この作品を読むまでに“アッと驚く系”の作品をいくつか読んでいましたが、この作品の場合はちょっとタイプが違いました。

 というのも、読んでいる間よりも、読み終わった後で次々と衝撃が襲ってくるという、当時の自分としては常識の範囲外の驚きだったのですね。

 こういった狙い・企み・遊び心に満ち満ちた作品というのは、単に小説を読んだという以上のものを与えてくれるので、そんな本と出会うとやっぱり嬉しくなってしまいます。

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  ディスコ探偵水曜日 / 舞城王太郎  <<感想記事はこちら!>>


 読んだ作品が100冊を超えた頃には、自分が最も好みなタイプが“とんでも系”作品であることがわかってきました。

 そしてそんな“とんでも系”の中でも極致とでもいえそうなのが本作です。

 ホントにとんでもない話が怒涛の如く次々と迫ってくるので、このわけのわからない圧倒感というのは、芸術の域に達していると思うのですよね。

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   / 麻耶雄嵩  <<感想記事はこちら!>>


 400冊までの中で★9評価作品が複数あるのは、麻耶作品が唯一です。

 2冊目となった本作は、1冊目の「神様ゲーム」とは違って典型的な本格ミステリで、アッと驚くトリックも披露されます。

 ただそれだけでは★9評価にまではなりませんで、このトリックとは並行するような形で別のトリックも仕掛けられているのですが、こちらのトリックというのがもうまさに驚天動地といった感じの、常識を吹っ飛ばすほどのバカバカしくも感動的なトリックだったのですね。

 今でもその場面を思い出すとニヤケ笑いしてしまうほどなので、ミステリトリックとしては400冊の中で最高評価でしょう。

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  約束の地 / 樋口明雄  <<感想記事はこちら!>>


 残念ながら「このミス」にはランクインしなかった作品なのですが(35位)、ランク外作品の中にも大傑作が紛れていることを実感できましたね。

 山を舞台とした冒険小説で、人間ドラマも野生動物とのドラマもとても重厚で読み応えがあり、それでいて様々な要素が詰め込まれたエンタメ性も抜群なので、とにかく作品世界に圧倒されること間違いなしの作品です。

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  丸太町ルヴォワール / 円居挽  <<感想記事はこちら!>>


 “講談社BOX”(単行本版のことです)という「このミス」とは縁のなさそうなレーベルから飛び出した大傑作です。

 まあとにかくこの作品のすごいのが、これでもか!と炸裂するどんでん返しの数々で、そのサービス過剰ともいうべき怒涛の展開には、★8を超えるものが確かにありました。

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  アルバトロスは羽ばたかない / 七河迦南  <<感想記事はこちら!>>


 元々シリーズ1作目のNo.368「七つの海を照らす星」が好きな作品だったのですが、その前作の魅力を残したうえでさらに面白くなっていました。

 ただそれだけでは終わらずに、前作と本作(つまりはこのシリーズ)が好きであればあるほどとてつもない衝撃を受けるような展開が、クライマックスに待ち受けていたのですね。

 これにはホントに現実の世界で遭遇したのと同じくらいにリアルな衝撃を受けてしまいましたし、「容疑者Xの献身」以来の号泣をしてしまったほどです。

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  三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 / 倉阪鬼一郎  <<感想記事はこちら!>>


 この作品も「このミス」にランクインしていないのですが(39位)、“世界バカミス☆アワード”を受賞するなど一部で大絶賛されていた作品なので、自分好みだなと思い読んでみました。

 そしたら、そのバカバカしくも面白い真相、本編には関係ない部分にとんでもない労力が掛けられたトリック、そして作者の生半可ない努力と苦労がこれ以上ないくらいに感じられるバカミス愛に、バカバカしさを通り越して感動と衝撃を受けてしまったのです。

 結果★9となったようにとても自分好みの作品だったので、ランク外だからといって読まず終いにならずにホッとしましたからね。


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  【 “400冊突破記念企画” 関連記事 】

  > 「アッと驚くどんでん返し本読破ガイド No.201-400補完版」 (10.12.15)
  > 「連作集!セレクション」 (11.1.28)
  > 「★9以上評価!セレクション」 (11.2.26)
  > 「読んだ作家!ランキング」 (11.3.31)

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2011年2月24日 (木)

『放課後はミステリーとともに』 東川篤哉 > 「このミス」完全読破 No.433

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.433

 『放課後はミステリーとともに』 東川篤哉

   「このミス」2012年版 : 31位

   受賞(候補) : (「日本推理作家協会賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 9位

   読始:2011.2.21 ~ 読終:2011.2.21

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2011年2月>

放課後はミステリーとともに (実業之日本社文庫)放課後はミステリーとともに (実業之日本社文庫)
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 昨年(2010年)に発売されたNo.421「謎解きはディナーのあとで」が突然の大ヒットとなり、一躍売れっ子作家の仲間入りとなった東川篤哉の、2011年新作にして“ブレイク後第一作”です。

 タイトルや表紙、帯に書かれている書店員の推薦コメントなどから「謎解きは~」の続編のように感じてしまいますが、別に続編というわけではなくて、これは“「謎解きは~」の勢いを本作にも!”的な宣伝作戦なのでしょう。

 本作は“霧ヶ峰シリーズ”と題して雑誌に掲載された短編を集めたシリーズ短編集でして、第1話が発表されたのが今から8年前の2003年という、東川作品としては結構歴史あるシリーズなのですね。

 しかもこの第1話は、初めて商業誌から依頼されて書いた作品とのことなので、作者自身としては“実質デビュー作の印象を抱く作品”なのだそうです(「2011本格ミステリ・ベスト10」の“2011年ミステリ作家新作近況会”参照)。

 あと本作は、“鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ(「学ばない探偵たちの学園」「殺意は必ず三度ある」)”の外伝的な位置付けでもあるので、直接的な繋がりはないものの、本作の前や後にこのシリーズ作品も読んでみれば、より楽しむことができるのではないでしょうか。

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 そんなわけで本作ですが、学園ミステリ作品です。

 主人公は高校の探偵部の副部長で、校内で起きた事件や騒動の謎に迫っていきます。

 東川作品らしいコミカルな雰囲気や漫画的なキャラクターは健在でして、特に主人公の強烈なキャラクターがこの作品の最大の魅力になっていますね。

 強烈キャラはなにも主人公だけではなくて、脇役勢もなかなかインパクトあるキャラ揃いなのですが、話ごとに新たなキャラが入れ替わるように登場してくるので、その出し惜しみのなさが気持ち良いです。

 そしてミステリ的にも、大掛かりなトリックや驚愕するような真相などはないものの、短編らしい小気味良さがありますし、登場人物たちのキャラクターが絶妙に活かされているので、この作品ならではの読み応えがあると思います。

 そんなわけでキャラ的にもミステリ的にも魅力的なシリーズなので、連作集というわけではないですが、収録作を読んでいけばいくほど、このシリーズの虜になること間違いなしですね。

 ちなみに、どの話からでも楽しめる短編集ではありますが、必ず第1話を最初に読んでください(理由は読めばわかります)。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★
   熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “東川篤哉” 関連記事 】

  > No.709 「探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2」

  > No.599 「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」
  > No.518 「謎解きはディナーのあとで 2」
  > No.433 「放課後はミステリーとともに」
  > No.421 「謎解きはディナーのあとで」
  > No.090 「もう誘拐なんてしない」


 「カササギたちの四季」道尾秀介 <<< PREV/NEXT >>> 「汝、隣人を愛せよ」福澤徹三

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2011年2月22日 (火)

『カササギたちの四季』 道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.432

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.432

 『カササギたちの四季』 道尾秀介

   「このミス」2012年版 : 23位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 18位

   読始:2011.2.20 ~ 読終:2011.2.20

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2011年2月>

カササギたちの四季 (光文社文庫)カササギたちの四季 (光文社文庫)
道尾 秀介

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 本作は、5期連続候補となった直木賞をNo.396「月と蟹」でようやく受賞した直後、というタイミングで発売された、いわゆる“直木賞受賞第一作”。

 “カササギ・シリーズ”として雑誌に掲載された4つの短編(中編?)をまとめた連作集です。

 昨年(「このミス2011年版」)の道尾作品は4作共にノンミステリ作品だったので、本作は久々のミステリ作品となりますね。

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 メインの登場人物は、“リサイクルショップ・カササギ”の店長・華沙々木(かささぎ)と副店長・日暮、そしてこの店に入り浸っている中学生・菜美の3人。

 店長の華沙々木が探偵気質の持ち主であることから、(仕事に関係した)事件に首を突っ込んでいくことになるのですが、「~の四季」というタイトルからも推測出来るように、春・夏・秋・冬それぞれの時期に起きた事件について、日暮目線で語られていくのです。

 探偵役とワトソン役(とヒロイン)がいて、事件に対する推理を披露するので、典型的な本格ミステリなのですが、どちらかといえばメイン3人のキャラクターやその賑やかで楽しいやり取りが中心となっているため、ミステリ的にはライトな感じでしょうか。

 なので、過去の道尾作品の中で比べるならば、“真備シリーズ”の短編集No.233「花と流れ星」に一番近い感じですかね。

 ただそれでも、二段階推理披露やドラマ性との絡みなどミステリ的な読み応えがもちろんありますし、No.311「光媒の花」や「月の蟹」などでみられた叙景と叙情とが溶け込んだ文章で作品に色付けがされているので、これまでのミステリ作品における魅力とノンミステリ作品における魅力の両方を味わうことができるのではないかと思います。

 個人的には、話が進んでいくにつれてより面白く感じて、だんだんと作品世界に惹きこまれていったので(なので“冬”の話が一番好きですね)、もしこのシリーズの続編が発表されるならば、第2弾はさらに面白く魅力的になりそうな感じがしました。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “道尾秀介” 関連記事 】

  > No.0947 「いけない」
  > No.1042 「スケルトン・キー」(後日更新予定)

  > No.0983 「満月の泥枕」(後日更新予定)
  > No.0947 「サーモン・キャッチャー the Novel」
  > No.0910 「スタフ staph」(後日更新予定)
  > No.0827 「透明カメレオン」
  > No.0749 「貘の檻」

  > No.0682 「鏡の花」
  > No.0617 「笑うハーレキン」
  > No.0583 「ノエル -a story of stories-」
  > No.0546 「光」
  > No.0498 「水の柩」

  > No.0432 「カササギたちの四季」
  > No.0396 「月と蟹」
  > No.0340 「月の恋人~Moon Lovers~」
  > No.0312 「蝦蟇倉市事件 1」
  > No.0311 「光媒の花」

  > No.0294 「球体の蛇」
  > No.0233 「花と流れ星」
  > No.0186 「龍神の雨」
  > No.0169 「鬼の跫音」
  > No.0121 「ラットマン」

  > No.0117 「カラスの親指」
  > No.0097 「ソロモンの犬」
  > No.0058 「片眼の猿」
  > No.0049 「シャドウ」
  > No.0041 「向日葵の咲かない夏」


 「ポリス猫DCの事件簿」若竹七海 <<< PREV
                  NEXT >>> 「放課後はミステリーとともに」東川篤哉

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2011年2月21日 (月)

『ポリス猫DCの事件簿』 若竹七海 > 「このミス」完全読破 No.431

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.431

 『ポリス猫DCの事件簿』 若竹七海

   「このミス」2012年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2011.2.18 ~ 読終:2011.2.18

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2011年1月>

ポリス猫DCの事件簿 (光文社文庫)ポリス猫DCの事件簿 (光文社文庫)
若竹 七海

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 「ヴィラ・マグノリアの殺人」「古書店アゼリアの死体」「クール・キャンデー」「猫島ハウスの騒動」 No.205「プラスマイナスゼロ」 「みんなのふこう」に続く、“葉崎市シリーズ”の7作目です。

 シリーズものとはいえ、話が繋がっていたり主人公が一緒だったりするわけではなく、“葉崎市”という架空の街を舞台にしているという共通点のあるシリーズなので、本作から読んでも問題なく楽しむことができると思います。

 ただ、本作と同じく葉崎市にある“猫島”を舞台としている「猫島ハウスの騒動」の主人公が本作で脇役の一人として登場したり、その主人公以外の猫島の人々やその他の作品の登場人物などともリンクしているのです。

 なので、このシリーズ作品を多く読んでいればいるほどより楽しめるでしょうね。

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 というわけで本作は、30人の人間と100匹以上の猫が住む“猫島”を舞台とした連作集です。

 猫島に通いで働く警察官と、島のマスコット的存在であるポリス猫を中心に、島で起きた事件や騒動について語られていきます。

 まあこのシリーズは“コージー・ミステリ(コメディタッチのミステリ)”に分類されるだけあって、ほのぼのとした雰囲気で進んでいくので、とても楽しく気軽に作品世界を味わうことができると思います。

 特に、主人公とポリス猫、それに島の人々や観光客たち、さらには島に住むたくさんの猫たちのやり取りが微笑ましいほどに面白いので、話が進むにつれてこの島とその住民に愛着が湧いてくることでしょう。

 しかし、ただほのぼの楽しいだけではなくて、ミステリ的にはライトながら所々に鋭さや捻りがみられますし、登場人物たちのやり取りもただ軽いだけではなかったりもするので、ほのぼのミステリの枠を超えた読み応えもありましたね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “若竹七海” 関連記事 】

  > No.1125 「不穏な眠り」

  > No.1103 「殺人鬼がもう一人」(後日更新予定)
  > No.1029 「錆びた滑車」
  > No.0920 「静かな炎天」
  > No.0813 「さよならの手口」
  > No.0812 「悪いうさぎ」

  > No.0808 「依頼人は死んだ」
  > No.0777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
  > No.0752 「暗い越流」
  > No.0431 「ポリス猫DCの事件簿」
  > No.0205 「プラスマイナスゼロ」

 「パンドラ・ケース」高橋克彦 <<< PREV/NEXT >>> 「カササギたちの四季」道尾秀介

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2011年2月20日 (日)

週刊少年ジャンプ新連載! 「メルヘン王子グリム」 渡邉築

週刊少年ジャンプ 2011年3月7日号 NO.12週刊少年ジャンプ 2011年3月7日号 NO.12
佐々木尚

2011
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 2011年2-3月に投入された新連載の第2弾が、2011年12号(2月21日発売)から始まった「メルヘン王子グリム(メルヘン・おうじ・グリム)です。

 2011年12号の本誌表紙画像 → 「集英社」公式サイト

 作者の渡邉築(わたなべ・きずく)は、赤塚賞(2009年下半期)の佳作を「重装思春機兵ティーンエイザー」で受賞し、“本誌2010年19号”に「メルヘン王子グリム」が掲載されていきなりの本誌デビュー(週刊少年ジャンプ読切! 「メルヘン王子グリム(2010年19号版)」 渡邉築参照)。

 そしてわずか5ヶ月後の41号に再び「メルヘン王子グリム」が掲載されると(週刊少年ジャンプ読切! 「メルヘン王子グリム(2010年41号版)」 渡邉築参照)、今度はその2ヶ月後に赤塚賞受賞作である「重装思春機兵ティーンエイザー」が掲載されたため(週刊少年ジャンプ読切! 「重装思春機兵ティーンエイザー」 渡邉築参照)、わずか7ヶ月の間で3回の本誌読切掲載となったのです。

 そして違うバージョンで2度掲載された「メルヘン王子グリム」にて、今回初連載となりました。


 内容の方ですが、メルヘンギャグ漫画です。

 小学6年生ながらグラビアアイドルとして活躍する白雪結衣の幼馴染・磯部達彦は、雲の上の存在となってしまった白雪に近づくことすらできない毎日。

 そんな磯部の家に突然白馬に乗ってやって来たのが、メルヘン王国の第七王子・グリム。

 メルヘンに全く興味がないグリムは、磯部を自分の代わりにメルヘンの王子にするためにやって来たのでした.....。


 読切版との比較ですが、磯部や同級生が小学生という設定や、幼なじみの白雪の存在など、「19号版」よりも「41号版」を元にしているようです(「19号版」での磯部は高校生で、白雪は登場せず)。

 ただ「41号版」の設定そのままというわけでなく、グリムが人間界に来た理由が“廃退した未来のメルヘン界を変えるため”から“磯部を自分の代わりに王子にするため”に変わっていたり、メルヘン菌の呪い(メルヘン化)を解くには愛する者のキスが必要など、連載化にあたって変わったり加えられたりした設定もありますね。

 ジャンプにおけるギャグマンガは、以前ほど投入数が多くないとはいえ、ここ数年でヒットした作品は「いぬまるだしっ」くらいしかなく、スポーツ物と並び鬼門のジャンルとなっています。

 それで「いぬまるだしっ」を含むある程度成功したギャグ作品を思い返してみますと、例えばコメディ的要素や登場人物たちのキャラクターなど、ギャグ以外の部分にも魅力があったと思うのです。

 その点でいくと、本作の場合はラブコメ的な展開がありますし、「19号版」より「41号版」の方が評価が高い感じだったのはまさにその点の有無が影響したのではないかと思うので、いかにラブコメ部分を魅力的に描けるかが、早期打ち切りを回避するためには重要になってくるのではないでしょうか。

 もちろん基本部分のギャグ要素も重要ですが、ギャグというのは他ジャンル以上に“作り手の生まれ持ったセンス&培ってきたセンス”が影響してくるので、“この漫画だからこそ”のギャグセンスを味わえることを期待したいですね。

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  投票受付期間:2011.2.20~2.28

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  投票受付期間:2011.3.6~3.14

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  投票受付期間:2011.2.6~2.12

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 【「渡邉築」関連記事】

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  > 「メルヘン王子グリム」 渡邉築 > 週刊少年ジャンプ新連載! (11.2.20)
  > 「メルヘン王子グリム(41号版)」 渡邉築 > 週刊少年ジャンプ読切! (10.9.13)
  > 「メルヘン王子グリム(19号版)」 渡邉築 > 週刊少年ジャンプ読切! (10.4.12)


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2011年2月19日 (土)

『白虹』 大倉崇裕 > 「このミス」完全読破 No.429

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.429

 『白虹』 大倉崇裕

   「このミス」2012年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2011.2.13 ~ 読終:2011.2.15

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2010年12月>

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 No.111「聖域」 「生還 山岳捜査官・釜谷亮二」に続く、山岳ミステリの第3弾(長編では「聖域」に続いて第2弾)です。

 とはいえ別にシリーズものではなく、“山岳ミステリ”というジャンル的な共通点があるというだけなので、本作から読んでも全く問題はありません。

 それでも本作と「聖域」とでは全体的に共通した魅力があると思うので、本作を読んで面白かったならば「聖域」を、逆に「聖域」を読んで面白かったなら本作を手にしてみると、同じような面白さを味わうことができるのではないでしょうかね。

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 主人公は、登山家のための山小屋でアルバイトとして働いている男。

 所用のため山を降りる途中で偶然にも救助を行ったのが影響して、その後に起こった殺人事件に巻き込まれていくことになります。

 物語の大部分は、この謎めいた事件について主人公が素人ながらに捜査を行っていく話なので、山岳小説とはいえ、山中を舞台にした場面よりも、街中で捜査を行う場面の方が圧倒的に多いです。

 しかし、登場するのは山に関わる人物がほとんどということもあり、街中にいても山の存在が何らかの形で浮かび上がってきますし、山を舞台にした場面はやはり迫力あるので、まごう方なき山岳小説なのですね。

 それに、過去に起きた出来事がトラウマになっている主人公が、今回の事件の謎を追うことで再生(回復)していく物語でもあるので、ハードボイルド的な魅力も持ち合わせています。

 ただ、ミステリ的にみると、教科書的というか、意外性や驚きなどよりも基本に忠実な感じがあるので、“がっつりと本格ミステリを味わいたい”という人には少々物足りないかもしれません。

 なので、あくまで山岳ハードボイルド小説として読んで、ミステリ的な演出を楽しむ、といったぐらいがちょうど良いのかもしれませんね。


  > 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “大倉崇裕” 関連記事 】

  > No.683 「福家警部補の報告」
  > No.429 「白虹」
  > No.239 「福家警部補の再訪」
  > No.111 「聖域」


 「ダークゾーン」貴志祐介 <<< PREV/NEXT >>> 「パンドラ・ケース」高橋克彦

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2011年2月16日 (水)

『十字路に立つ女』 逢坂剛 > 「このミス」完全読破 No.414

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.414

 『十字路に立つ女』 逢坂剛

   「このミス」1989年 : 11位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2011.1.8 ~ 読終:2011.1.9

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1992年5月>

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 「クリヴィツキー症候群」に続き、「ハポン追跡」「あでやかな落日」「カプグラの悪夢」「牙をむく都会」「墓石の伝説」へと続いていく、“岡坂神策シリーズ”の2作目です。

 1作目の「クリヴィツキー症候群」は短編集ということもあって、いきなり本作から読み始めてもそれほど問題はないでしょう。

 ただ、この1作目に関する話題が本作の最初の方に出てきたりもするので、1作目から読んだ方がより楽しむことができるのではないでしょうかね。

 ちなみに、本作の登場人物の一人が後に発表された「斜影はるかな国」にも登場するので、本作は「斜影はるかな国」の前に読んでおきたい作品でもあります。

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 というわけで、シリーズ名にもなっている岡坂神策が主人公となる作品です。

 この主人公には、私立探偵的な仕事をしてたり、スペインに関する知識が豊富だったり、ギターを習っていたり、古本屋に入り浸っていたりと、いくつもの設定が加えられています。

 そしてそれぞれの設定ごとに出会いがあり、事件や新たな展開が起き、それらが並行して語られていくのですが、主人公の捻くれながらも純粋なハードボイルド的キャラクターもあって、どの話も面白く、そのやり取りを読んでいるだけで楽しめます。

 この主人公を中心にしていくつもに別れた話は、どれが中心になっていくのかなかなか掴めないものの、話が進むにつれて徐々に絡み合いだして、終盤では見事に一つの魅力的な物語と化してしまうのには、ホントにお見事としか言いようがない素晴らしさでしたね。

 今の時代に読むと少し“古き良きハードボイルド”な感じがしてしまいますが、それでも主人公を中心とした人間模様に、御茶ノ水や神保町など舞台となる街の雰囲気、そして各ストーリーが複雑に絡み合うミステリ的演出など、今の時代に手にしてもかなりの読み応えを感じられる作品であると思います。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度  : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★     人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★    感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “逢坂剛” 関連記事 】

  > No.540 「平蔵の首」

  > No.414 「十字路に立つ女」
  > No.314 「兇弾」
  > No.279 「さまよえる脳髄」
  > No.033 「禿鷹の夜」
  > No.005 「燃える地の果てに」


 「郭公の盤」牧野修+田中啓文 <<< PREV/NEXT >>> 「マルドゥック・ヴェロシティ」冲方丁

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2011年2月13日 (日)

週刊少年ジャンプ新連載! 「DOIS SOL(ドイソル)」 村瀬克俊

週刊少年ジャンプ NO.11週刊少年ジャンプ 2011年2月28日号 NO.11
佐々木尚

集英社 2011
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 2011年2-3月に投入された新連載の第1弾が、11号(2月14日発売)から始まった「DOIS SOL(ドイソル)です。

 2011年11号の本誌表紙画像 → 「集英社」公式サイト

 作者の村瀬克俊(むらせ・かつとし)は、“十二傑新人漫画賞(2003年11月期)”の佳作を「福輪術 -ふくわじゅつ-」で受賞し、その受賞作が“青マルジャンプ(2004年)”に掲載されてデビュー。

 その後は、“赤マルジャンプ2004SPRING”に「Kick! コータ!!」、“本誌2005年41号”に金未来杯エントリー作品として「ナックモエ」を掲載。

 そして2008年に「K.O.SEN」で初連載となったのですが、わずか12週で打ち切りとなり(<JC1巻買い> 「K.O.SEN」 村瀬克俊参照)、本作にて久々の作品発表&2度目の連載となりました。


 それで内容の方ですが、高校サッカー漫画です。

 選手ではなく監督として無名の少年サッカークラブ&無名の中学校を全国大会へと導き、サッカー部の全権限を認められるという異例の待遇で羽石高校に入学することになった、雑誌でも話題の天才監督・野永大将(のなが・ひろまさ)。

 入学前に助っ人監督として参加した草サッカーで、裸足でゴールを量産するミサンガ少年を目撃することに。

 野永と同い年の従兄妹・星野叶葉(ほしの・かなは)が春休み中にこの少年を探し回るも、分かったのは坂道勝歩(さかみち・かっぽ)という名前のみ。

 ところが、入学した高校で奇跡の再会。しかし、勝歩はサッカー部に入るつもりはなく、お金をためてブラジルに行く夢を持っていて.....。


 昨年(2010年)のワールドカップ開幕直前に連載が始まった「少年疾駆」が終了するのとほぼ同時に「LIGHT WING」が始まり、今度は「LIGHT WING」と入れ替わるようにして本作が連載開始ということで、昨年春からまるでサッカー漫画のリレーが行われているような状況となっています。

 まあ言うまでもなく、ここ数年のジャンプではスポーツもの、特にサッカーものは、短期打ち切りが続く鬼門のジャンルとなっていまして、昨年に始まったサッカー漫画2作もその例に漏れなかったわけですが、それでもさらにサッカー漫画を投入ということで、サッカー漫画でヒットを出したい編集部の意気込みが感じられますね(たまたまサッカーものの新連載が続いただけなのかもしれませんが)。

 昨年のサッカー漫画2作を今振り返ってみますと、“サッカー漫画”として面白くしよう!という意気込みは充分に伝わって来たものの、それがもっと基本的な枠組みである“漫画”としての魅力・面白さにはあまり繋がっていなかったように思います。

 サッカーに直接関係する部分に力を入れすぎたため、サッカーと直接関係しない部分における魅力が乏しくなり、それ故にサッカーに興味がない本誌読者に“読んでみたい”と思わせるものがあまりなかったのが、短期打ち切りとなってしまった原因の一つとしてあるのではないかと。

 それを考えると、本作の場合は、この第1話を読んだ時点においてですが、野永と勝歩という2人の対称的な主人公の関係性が、スポーツものにありがちな類型的なものに比べると少し捻ってありますし、主人公2人それぞれのバックグラウンドがしっかりと作られ、その両者が第1話で絡み合うようなストーリーになっているなど、サッカーに興味がなくても読んでみたくなるような設定&構成だったのではないでしょうか。

 それに絵的にも、「アイシールド21」の村田雄介を思わすような、実写に近い絵と漫画的なデフォルメ絵のバランスが絶妙で、細かな描写を多用しながらも見やすいというスポーツ漫画に最適ともいえる絵なので、第1話時点において絵のみで敬遠されることはなさそうです。

 なので、少なくともここ最近のサッカー漫画&スポーツもの漫画と比べて、“漫画”的な魅力は充分にあったと思うので、鬼門のジャンルの第1話としてはかなり良い内容だったと言えるのでは。

 あとは、第2話以降にも漫画的魅力&サッカー漫画的魅力をどのように出していくのかが勝負所になると思うのですが、“サッカー漫画”としては、試合中の演出や描写はもちろん、主人公の一人が監督であるという設定をどう上手く活かしていくのかが、特に注目したいポイントですね。

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  投票受付期間:2011.2.13~2.21

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  投票受付期間:2011.3.6~3.14

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  投票受付期間:2011.2.6~2.12

 * 週刊少年ジャンプ2011年2-3月の新連載の中で一番期待が大きい作品を決める投票を実施中です<当ブログ記事>にて実施

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 【「村瀬克俊」関連記事】


  > 「カラダ探し」 ウェルザード 村瀬克俊> 週刊少年ジャンプ読切! (15.1.28)

  > 「岡崎慎司ヒストリー 一生ダイビングヘッド!!」
     村瀬克俊 安藤隆人 > 週刊少年ジャンプ読切! (14.6.9)

  > 「DOIS SOL(ドイソル)」 村瀬克俊 > 週刊少年ジャンプ新連載! (11.2.13)
  > 「DOIS SOL(ドイソル)」 村瀬克俊 <JC1巻買い> (11.6.5)

  > 「メタリカメタルカ」 水野輝昭 <JC1巻買い> (10.8.5)

  > 「K.O.SEN」 村瀬克俊 <JC1巻買い> (08.5.12)


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2011年2月12日 (土)

『ダークゾーン』 貴志祐介 > 「このミス」完全読破 No.428

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.428

 『ダークゾーン』 貴志祐介

   「このミス」2012年版 : 48位

   受賞(候補) : 「将棋ペンクラブ大賞(特別賞)」 受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「大学読書人大賞」 6位

   読始:2011.2.10 ~ 読終:2011.2.12

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2011年2月>

ダークゾーン 上 (祥伝社文庫)ダークゾーン 上 (祥伝社文庫)
貴志 祐介

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 昨年のNo.361「悪の教典」で“第1回山田風太郎賞”受賞&「このミス」1位に輝いた貴志祐介の新作が登場です。

 本作はその「悪の教典」とほぼ同時期に雑誌連載されていて、単行本の発売も同時期になるのではないか?と言われていました(「このミス2010年版」の“私の隠し玉”参照)。

 しかし、本作は連載バージョンとはストーリーが別物になるくらいの修正作業が加えられたそうで、その影響もあってか結局「悪の教典」から約半年後の発売となったのですね。

 ちなみに、この両作はジャンル的にも内容的にも全く共通点のない別物作品ではあるのですが、実は作品世界は通底していて、両作共に登場する人物もいるのです。

 なお本作は、主人公がいきなり状況が全くわからない中で目覚める場面から始まることもあり、どうせ読むつもりでいるのならば、本記事のこれより下や他サイトのあらすじなどを目にせず、情報をなるべく仕入れずに読んでしまった方が、主人公と同じ心境を味わうことが出来てよいのではないかと思います。

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 そんなわけで本作ですが、雑誌連載時は“SFホラー”と称されていましたが、この単行本版を読んだ限りではホラー的要素はずいぶんと控えめになっているようです(雑誌連載版は読んでいないのではっきりとした比較はできませんが)。

 ホラー要素よりもゲーム性が前面に押し出されている感じで、将棋版デスゲーム小説(または昨年のNo.304「モノクロームの13手」柄刀一の将棋版)といった感じでしょうか。

 ある島を舞台にして、将棋的なルールを元にしたサバイバルゲーム&頭脳戦が繰り広げられるのですが、全編に渡ってこのゲームの模様が描かれていくため、SF作品といえどもNo.126「新世界より」のようなストーリー性はほとんどないので、好き嫌いがかなり分かれる作品でしょうね。

 ただ、このSF要素が盛り込まれた独自のゲームルールにも驚くほどにすんなりと入っていけて読みやすいですし、貴志作品らしいダークさが演出的にも視覚的にも発揮されているので、こういったジャンル(設定)が好きなのであればかなり楽しむことができるのではないかと思います。

 それに、このゲーム話の合間には“断章”と名付けられた主人公の現実世界における話が挿し込まれているのですが、真相や状況が徐々に明らかになっていくミステリ的な展開となっているので、この“断章”があることによってドラマ性や気になる謎が加わって、この現実&非現実両方の物語に最後まで惹きつけられましたね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★        鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度  : ★★★★     主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★     人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★      感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★       気軽に読める度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “貴志祐介” 関連記事 】

  > No.991 「ミステリークロック」
  > No.698 「雀蜂」
  > No.469 「鍵のかかった部屋」

  > No.466 「硝子のハンマー」
  > No.428 「ダークゾーン」
  > No.361 「悪の教典」
  > No.126 「新世界より」
  > No.012 「黒い家」


 「密約幻書」多島斗志之 <<< PREV/NEXT >>> 「白虹」大倉崇裕

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2011年2月 9日 (水)

『竜の柩』 高橋克彦 > 「このミス」完全読破 No.411

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.411

 『竜の柩』 高橋克彦

   「このミス」1989年 : 11位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2010.12.20 ~ 読終:2010.12.28

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本(上・下) <1989年4月>

竜の柩(1) (講談社文庫)竜の柩(1) (講談社文庫)
高橋 克彦

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 「新・竜の柩」「霊の柩」へと続く、“竜の柩シリーズ”の1作目です。

 本作は文庫版で全6巻という大作なのですが、実はこの文庫版は、シリーズ3作品をまとめたものなのですね。

 つまり、ハードカバー版「竜の柩」に相当するのは、文庫版「竜の柩」の1・2巻部分のみで、3・4巻部分はハードカバー版「新・竜の柩」、5・6巻部分はハードカバー版「霊の柩」に相当するわけなのです。

 なので、ハードカバー版「竜の柩」部分を読みたい場合は1・2巻のみを読めばいいのですが、シリーズ全体を1つの作品としてまとめることが出来てしまうことからもわかるように、ストーリー的にも繋がっていますし、そのとんでもない展開からして3巻へと自然に手が伸びてしまうのではないでしょうかね。

 それで一応この記事では「このミス」基準なので、シリーズの中で唯一ランクインしているハードカバー版「竜の柩」(文庫版では1・2巻部分のみ)の内容について書いていきます。

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 タイトルにもある“竜”の謎について、テレビ撮影スタッフである登場人物たちが探っていく話です。

 実際に竜伝説が残されている地に出向いて調査を行うのですが、この行動の中で一番の原動力となっているのが、主人公であるテレビディレクターが持つ“仮説”の数々。

 これがたくさんの古文書や伝説・神話などから複合的に導き出されたもので、答えだけを聞けばバカバカしく思えてしまうほどにトンデモSF的な内容なのですが、主人公の口からたたみ掛けるように発せられる蘊蓄の嵐に身を委ねてしまうと、ホントにありえそうに思えてしまうのだから不思議です。

 しかもそんな主人公のトンデモ仮説に導かれてこの調査の旅を追っていくと、そのとんでもなさにどんどんと拍車がかかってきて、自分の想像力の範囲をぶち破ってしまうくらいに様々な面でスケールが膨れ上がっていき、もう読んでいて唖然となるしかないのですよね。

 そんなトンデモ仮説部分や、話が進むにつれて爆発的にデカくなっていくスケール感やストーリー展開、そして謎の敵対組織との激しい攻防戦が繰り広げられたりと、エンタメ作品としてとても楽しむことができるのですが、蘊蓄の嵐が巻き起こっている時には、小説を読んでいるというよりも強制的に勉強させられているような感じで、かなり辛くもありました.....。


  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★        鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★     おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度  : ★★★★     主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★★★   気軽に読める度 : ★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “高橋克彦” 関連記事 】

  > No.712 「ジャーニー・ボーイ」
  > No.650 「ツリー」
  > No.430 「パンドラ・ケース よみがえる殺人」
  > No.411 「竜の柩」


 「びいどろの筆」泡坂妻夫 <<< PREV/NEXT >>> 「伏 贋作・里見八犬伝」桜庭一樹

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2011年2月 7日 (月)

『びいどろの筆 夢裡庵先生捕物帳』 泡坂妻夫 > 「このミス」完全読破 No.410

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.410

 『びいどろの筆 夢裡庵先生捕物帳』 泡坂妻夫

   「このミス」1989年 : 11位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2010.12.18 ~ 読終:2010.12.19

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1992年11月>

びいどろの筆―夢裡庵先生捕物帳びいどろの筆―夢裡庵先生捕物帳
泡坂 妻夫

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 「からくり富」「飛奴」へと続く、“夢裡庵先生捕物帳シリーズ”の1作目です。

 前年のNo.270「鬼女の鱗」に続いて時代短編小説集なのですが、シリーズ名にもなっている人物が主役ではなく脇役的な存在だというところが、この2つのシリーズに共通しているところですね。

 そしてこのシリーズには面白い趣向が凝らされていまして、前の話で謎解き役を務めた人物が次の話では主人公となり、今度はその話で謎解き役を務めた人物が次の話の主人公となって.....、といった感じで繋がっていくのです。

 これはなにも本作だけのことではなくて、本作の最終話で探偵役を務めた人物がシリーズ2作目「からくり富」第1話の主役となり、「からくり富」最終話で探偵を務めた人物がシリーズ3作目「飛奴」第1話の主役となって.....、とシリーズを通して繋がっていくのですね。

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 内容の方ですが、江戸を舞台とした捕物帳です。

 シリーズ名になっている“夢裡庵先生”が同心(現代でいう警察)の役職に就いていることから、事件捜査ものでもあるのですが、上にも書いたとおりにこの夢裡庵先生がメインではなく、一般庶民の目線でもって語られていく話が多いので、江戸人情話としても楽しむことができるでしょう。

 そしてミステリ部分も、泡坂作品らしい渋みと鮮やかさがありますし、それが人間ドラマと上手く結びついているので、やはり読み応え抜群です。

 あと事件の解決後の展開が、現代を舞台とした警察ものなどではありえないような粋を感じるものなので、そんな演出がまたなんともいい味となっていましたねェ。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “泡坂妻夫” 関連記事 】

  > No.714 「毒薬の輪舞」
  > No.590 「泡坂妻夫引退公演」
  > No.447 「黒き舞楽」

  > No.410 「びいどろの筆」
  > No.270 「鬼女の鱗」
  > No.258 「奇跡の男」
  > No.095 「生者と死者 酩探偵ヨギ ガンジーの透視術」
  > No.029 「奇術探偵曾我佳城全集」


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2011年2月 6日 (日)

週刊少年ジャンプ2011年2-3月の新連載の中で一番期待が大きい作品を決める投票を実施中です

 * 投票の受付は、2月12日をもって終了しました(現在は投票結果を見ることができます)。


 “週刊少年ジャンプ2011年10号”(2011年2月7日発売)の予告ページにて、翌号から投入される新連載作品が紹介されています。

 新連載が投入されるのは昨年9月の「enigme【エニグマ】」「LIGHT WING」以来約5か月ぶりということで、かなり久々な感じがあるのですが、やはりそれだけ間隔があいたこともあってか、今回は一気に4作品投入となりました。

 “4号連続超巨弾新連載!! 見よ!! 新世代の四連星!!”と銘打っていることもあって期待してしまうのですが、せっかく4作品投入となったので、連載前に最も期待が大きい作品を決める投票を行ってみたいと思います。

 情報としては、本誌10号の予告ページに載っている主人公の絵と簡単な説明だけではありますが、4作品の中であなたが最も“期待したい!”“面白そうだ!”と思う作品に投票してみてください。

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【 新連載第1弾 】
  本誌2011年11号(2月14日発売)より連載開始

 ★ DOIS SOL(ドイソル) / 村瀬克俊
          ・太陽のように輝け! 天才ツートップも新招蹴!!
          ・出会った2人の天才!! 本格サッカー新連載!!

 [ 当ブログ関連記事 ]
   > <JC1巻買い> 「K.O.SEN」 村瀬克俊 (08.5.12)

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【 新連載第2弾 】
  本誌2011年12号(2月21日発売)より連載開始

 ★ メルヘン王子グリム / 渡邉築
          ・唯一無二のメルヘンギャグ!!
          ・新ギャグ到来!! 世はメルヘンで溢れている!!

 [ 当ブログ関連記事 ]
   > 週刊少年ジャンプ読切! 「メルヘン王子グリム(2010年19号版)」 渡邉築 (10.4.12)
   > 週刊少年ジャンプ読切! 「メルヘン王子グリム(2010年41号版)」 渡邉築 (10.9.13)
   > 週刊少年ジャンプ読切! 「重装思春機兵ティーンエイザー」 渡邉築 (10.11.21)

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【 新連載第3弾 】
  本誌2011年13号(2月28日発売)より連載開始

 ★ magico / 岩本直輝
          ・2人をつなぐ新型魔法ファンタジー!!
          ・少女エマの前に現れたシオン!! その運命は!?

 [ 当ブログ関連記事 ]
   > 週刊少年ジャンプ読切! 「黒蜜様 参る!」 岩本直輝 (09.6.15)

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【 新連載第4弾 】
  本誌2011年14号(3月7日発売)より連載開始

 ★ 戦国ARMORS / 榊ショウタ
          ・最強の武器をめぐる戦国バトル!!
          ・戦国を舞台に、最強の武器を巡る激闘開幕!!

 [ 当ブログ関連記事 ]
   > 週刊少年ジャンプ読切! 「戦国ARMORS」 榊ショウタ (10.2.1)


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 Photo
  投票受付期間:2011.2.6~2.12

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 【「2011年のジャンプ新連載」関連記事】

  > 「現存! 古代生物史 パッキー」 レツ (11.11.13)
  > 「ニセコイ」 古味直志 (11.11.6)

  > 「クロガネ」 池沢春人 (11.9.4)

  > 「鏡の国の針栖川」 叶恭弘 (11.7.10)
  > 「ST&RS -スターズ-」 竹内良輔 ミヨカワ将 (11.7.3)

  > 「奇怪噺 花咲一休」 小宮山健太 河田悠冶 (11.5.15)

  > 「戦国ARMORS」 榊ショウタ (11.3.6)
  > 「magico」 岩本直輝 (11.2.27)
  > 「メルヘン王子グリム」 渡邉築 (11.2.20)
  > 「DOIS SOL(ドイソル)」 村瀬克俊 (11.2.13)
  > 週刊少年ジャンプ2011年2-3月の新連載の中で
           一番期待が大きい作品を決める投票を実施中です (11.2.6)


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週刊少年ジャンプ読切! 「月・水・金はスイミング」 福島鉄平

週刊少年ジャンプ 2011年2月21日号 NO.10週刊少年ジャンプ 2011年2月21日号 NO.10
佐々木尚

集英社 2011
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 “2011年もトバしていくぜ!! ジャンプ本気印(マジじるし)の漫画カーニバル”の第7弾として、週刊少年ジャンプ2011年10号(2011年2月7日発売)に掲載された読切作品が、「月・水・金はスイミング」です。

 作者の福島鉄平(ふくしま・てっぺい)は、初の連載作品である「サムライうさぎ」(2007-2008)が、1年4ヶ月の連載期間で終了。

 その後は“赤マルジャンプ2008SUMMER”に「サムライうさぎ 特別編」、“赤マルジャンプ2010WINTER“に「あんねちゃんたろう」が掲載され(週刊少年ジャンプ増刊! 「赤マルジャンプ2010WINTER」参照)、本作にて連載終了以来となる久々の本誌登場となりました。


 内容の方は、学園純情青春ドラマ漫画です。

 千葉オサムと有川マドカは、同じクラスの中学三年生。

 通っているスイミングクラブも一緒、というくらいの共通点しかなく、交わす会話もほとんどないという関係。

 しかし、マドカがスイミングクラブに通うのは今日で最後だと知ってから、不思議とオサムの心境に変化が表れてきて.....。


 ちなみに、扉絵に付けられている煽り文は、

なんでもない毎日。 だけど、同じじゃない毎日。 そんな2人のおはなし

☆この冬にささやかな温もりを。 小さな小さな恋の物語。
  特別読切C(センター)カラー43P!!

というものでした。

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 【「福島鉄平」関連記事】

  > 週刊少年ジャンプ読切! 「月・水・金はスイミング」 福島鉄平 (11.2.6)

  > 「あんねちゃんたろう」(赤マルジャンプ2010WINTER) (10.1.10)


 >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2011年2月 5日 (土)

『深夜ふたたび』 志水辰夫 > 「このミス」完全読破 No.408

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.408

 『深夜ふたたび』 志水辰夫

   「このミス」1989年 : 6位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2010.12.15 ~ 読終:2010.12.16

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1993年6月>

深夜ふたたび (徳間文庫)深夜ふたたび (徳間文庫)
志水 辰夫

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 この作品はギャビン・ライアルの「深夜プラス1」へのオマージュとして書かれた作品です。

 自分はその「深夜プラス1」を読んでいないのですが、あらすじなどを見てみたところ、ストーリー展開はもちろん、細かな演出や小道具などにも共通した部分が多くあるようです。

 まあ、舞台がヨーロッパから日本に変わっているので別物の作品ではあるのですが、オマージュ作品とはいえここまで似せてしまっているのには驚きました。

 まあこれも、シミタツだからこそ出来たことなのかもしれないし、シミタツだからこそこれだけ面白く、そして高く評価される作品に仕上げることができたのかもしれませんね。

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 ある要人の亡命を手助けする依頼を受けた主人公が、ドライバーとなって京都から北海道へと車で向かう物語です。

 車中には他にもう2人が同乗するのですが、いずれも初対面に近い関係ながらも個性の強すぎる面々なので、この4人の緊張感のあるやり取りだけでもかなりの面白さです。

 そこに謎の追手との激しいバトルがあったり、その追手と駆け引きを演じながら北へ進んでいく逃亡劇、そしてクライマックスにおけるド派手な展開など、手に汗握るほどの迫力あるアクションシーンも読み応え充分。

 ただそういった外枠部分の魅力はもちろんあるものの、読後に印象に残るのはむしろ深みのある人間ドラマの方でしたね。

 特に、外見的にも内面的にもかっこいいとはいえない主人公のキャラクターが逆に人間味があって秀逸ですし、そんな主人公の過去と現在、そして未来へと向かう物語をこの旅を通して読んでいくと、その哀愁溢れるハードボイルド的な魅力にいつしか愛おしく感じてしまうのです。

 さすがはシミタツ、と言えるほどまだシミタツ作品を読んではいないですが、それでもこの激しくて熱くて渋くて楽しい作品を読んでしまうと、やっぱり“さすがシミタツだな”と思ってしまいますねェ。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★        鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★★★★   主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “志水辰夫” 関連記事 】

  > No.531 「帰りなん、いざ」
  > No.408 「深夜ふたたび」
  > No.263 「こっちは渤海」
  > No.030 「行きずりの街」


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2011年2月 2日 (水)

『婢伝五稜郭』 佐々木譲 > 「このミス」完全読破 No.424

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.424

 『婢伝五稜郭』 佐々木譲

   「このミス」2012年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2011.1.31 ~ 読終:2011.1.31

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2011年1月>

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 No.423「五稜郭残党伝」 「北辰群盗録」に続く“五稜郭三部作”の(作者本人曰く)最終作です。

 “三部作”とはいえ、箱館戦争(五稜郭の戦い)後のそれぞれの物語で、ストーリーの繋がりや共通する登場人物があるわけではないので(話題に上ったりはしますが)、本作から読んでも全く問題ないでしょう。

 ただ、密接的な繋がりはないとはいえ並行して繰り広げられる物語ですし、作品が語りかけてくるテーマ性やエンタメ作としての魅力は共通していると思うので、順番通りではなくとも3作共に味わってほしいですね(と言いつつ自分もこれを書いている時点では2作目が未読ですが)。

 ちなみに、本作を原作とした舞台版「婢伝五稜郭」が、単行本刊行前の昨年(2010年)10月に“グループ虎+10・Quatre”プロデュースで公演さています。

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 “箱館戦争後の物語”というのを少しだけ具体的に説明してみますと、まず箱館戦争というのは、江戸から明治へと時代が変わる大きなポイントとなった戊辰戦争の最終局面です。

 その戦地となったのが、榎本軍(旧幕府軍)の本拠地・五稜郭を中心とした箱館(この戦争後に“函館”に改称)だったのですが、新政府軍に敗れる直前に、降伏を受け入れない武士たちがこの地を脱出し、蝦夷地(箱館以北の北海道)へと逃走。

 箱館戦争終結後にこれら残党を追討に向かう官軍兵や、蝦夷地の原住民であるアイヌ人などが絡んだ物語を、残党側を中心に描いたのが、この三部作なのですね。

 そして前2作がまさに“男の中の世界”といった感じだったのに対し、本作はタイトルや表紙絵からもわかるように、女性が主人公となっています。

 といってももちろん箱館戦争を戦った残党、というわけではないのですが、ある事情から新政府の官軍に追われる身となり、そこから逃走劇&追跡劇が行われるのです。

 今回は“戦う女性”がメインテーマということもあって前2作とは少し雰囲気が違うものの、“戦争自体やその後遺症が生んだ蝦夷地における過酷で壮絶な人間ドラマ”から来る作品テーマや西部劇風なエンタメ要素が魅力的に組み込まれているのは変わらないし、女性が主人公だからこそ見える“新たな箱館戦争”が感じられたように思いますね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★         鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★★★     主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★      感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “佐々木譲” 関連記事 】

  > No.840 「砂の街路図」

  > No.685 「代官山コールドケース」
  > No.615 「人質」
  > No.563 「回廊封鎖」
  > No.522 「地層捜査」
  > No.505 「密売人」

  > No.485 「警官の条件」
  > No.424 「婢伝五稜郭」
  > No.423 「五稜郭残党伝」
  > No.401 「エトロフ発緊急電」
  > No.344 「ベルリン飛行指令」

  > No.298 「北帰行」
  > No.282 「巡査の休日」
  > No.230 「廃墟に乞う」
  > No.200 「警官の血」
  > No.175 「暴雪圏」

  > No.152 「警官の紋章」
  > No.151 「警察庁から来た男」
  > No.138 「うたう警官 (笑う警官)」
  > No.048 「制服捜査」
  > No.024 「ストックホルムの密使」


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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