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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.397
『サウダージ』 垣根涼介
「このミス」2005年版 : 13位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2010.11.9 ~ 読終:2010.11.10
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <2007年8月>
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「ヒート アイランド」「ギャングスター・レッスン」に続く、“ヒートアイランド・シリーズ”の3作目です。
今年発売された4作目No.398「ボーダー ヒート アイランドIV」を読むにあたって、シリーズ前作を読んでおこうと思ったのですが、3冊も読む余裕がなかったので、一つ前の作品であり、唯一「このミス」にランクインしている本作のみ読んでみたのです。
それでこのシリーズは、共通する主要人物やストーリーの流れがあるものの、舞台が1作ごとにがらりと変わることもあり、どちらかというと姉妹編といった感じの連なりとなっているのだそうです。
それに、前2作からの流れなどは作中で語られるので、もちろん前2作を読んでいた方がより楽しめるのでしょうが、本作から読み始めても付いていけなくなることはありませんでしたね。
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それで本作は、二つの物語が並行して語られていきます。
一つは前2作から連なる物語でして、裏社会で活躍する強盗グループ2人組と、そこに弟子入りするような形で入ったこのシリーズの主人公との、スタイリッシュな趣きのあるクライムノベルとなっています。
そしてもう一方は、この作品で初登場となる人物を中心とした物語で、こちらは同じ裏社会でもいわば“負け犬の世界”を生きていまして、底辺に位置する多国籍風俗業界を舞台にした生々しいまでの生活が、時に陽気に、時に陰惨に描かれていきます。
というように、対称的な雰囲気のクライムノベル的話が交互に展開されていくのですが、この対比によってお互いの物語世界がより印象的になって迫力を生み出していますし、そんな二つの物語が絡み合うクライマックスが、やはり盛り上がらないわけがないですからね。
そしてこの作品は、恋愛小説の面も持っていまして、こちらも二つの話でかなり対称的になっているのです。
一方はとても初々しさを感じる、その当時の流行に沿ったような恋愛話。もう一方は、かなり官能的で暴力的で破滅的で、人間の本能と衝動とが感じられるような恋愛話が、ラテン系のノリで語られていきます。
こちらの対比によっても、作品全体に厚みというか奥行きが感じられましたし、特に後者の物語に底知れぬパワーと強烈なインパクトを生み出していたように思います。
あとこのシリーズは、女性人気が結構あるようなのですが、後者の物語の内容からしても本作はかなり男性的なタイプとなっているので、本作だけが「このミス」にランクインしているのも頷けますね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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