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2010年12月 4日 (土)

『月と蟹』 道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.396

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.396

 『月と蟹』 道尾秀介

   「このミス」2011年版 : 27位

   受賞(候補) : 「直木三十五賞」受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2010.11.8 ~ 読終:2010.11.8

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2010年9月>

月と蟹 (文春文庫)月と蟹 (文春文庫)
道尾 秀介

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 2010年の道尾作品、というよりも、「このミス2011年版」対象の道尾作品は、No.294「球体の蛇」 No.311「光媒の花」 No.340「月の恋人~Moon Lovers~」と、いずれも作者本人が“ノン・ミステリー”と称する作品でした(正確には「光媒の花」のみは“(収録作が)それぞれミステリだったり、そうじゃなかったり”と言っていましたが)。

 そしてその最後を飾る本作も、やはりノン・ミステリ作品となっています。

 昨年までの道尾作品といえば、“クライマックスにおけるどんでん返し”が最大の持ち味だったわけですが、今年はそれを味わうことが出来なかったのには一抹の寂しさがあるものの、それでも新たな魅力を味わうことが出来たのはそれはそれで嬉しかったですけどね。

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 というわけで本作ですが、小学生の男女3人を中心に織りなす青春物語です。

 青春物語といっても、華やかだったり熱く燃えたぎっていたり初々しかったりという青春謳歌的なものではありませんで、これは過去のミステリ・ノンミステリ作品のどちらにも共通している部分でもあるのですが、とても切なくて哀しくてやるせなくて、そして狂気の混じった青春物語なのですね。

 本作で中心となる小学生3人も、それぞれに過去から現在へと繋がる心の傷を持っていて、その痛みを全身に染み込ませているかのような日常が語られていくので、まあとにかく全体的に暗く重く陰鬱とした雰囲気が漂っていました。

 その中でも、冷静で大人びているのだけれどやはりまだ子供である主人公の感情が、とても切なくて痛々しいまでに迫ってきますし、徐々に狂気が蝕んでいく感じがリアルに伝わってくるので、その辺りの描写は、読んでいて辛くなりはするとはいえ、相変わらずの読み応えであり素晴らしさでした。

 ミステリ的な謎や構成も一応あるものの、やはり全体的な流れからしても文芸的な傾向の作品なので、ミステリ的な仕掛けやクライマックスにおけるどんでん返しなどに期待せず、あくまで文芸系作品として読むべきでしょうね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★       人間味ドラマ度 : ★★★★
   下ネタエッチ度 : ★★        感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★        気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “道尾秀介” 関連記事 】

  > No.0947 「いけない」
  > No.1042 「スケルトン・キー」(後日更新予定)

  > No.0983 「満月の泥枕」(後日更新予定)
  > No.0947 「サーモン・キャッチャー the Novel」
  > No.0910 「スタフ staph」(後日更新予定)
  > No.0827 「透明カメレオン」
  > No.0749 「貘の檻」

  > No.0682 「鏡の花」
  > No.0617 「笑うハーレキン」
  > No.0583 「ノエル -a story of stories-」
  > No.0546 「光」
  > No.0498 「水の柩」

  > No.0432 「カササギたちの四季」
  > No.0396 「月と蟹」
  > No.0340 「月の恋人~Moon Lovers~」
  > No.0312 「蝦蟇倉市事件 1」
  > No.0311 「光媒の花」

  > No.0294 「球体の蛇」
  > No.0233 「花と流れ星」
  > No.0186 「龍神の雨」
  > No.0169 「鬼の跫音」
  > No.0121 「ラットマン」

  > No.0117 「カラスの親指」
  > No.0097 「ソロモンの犬」
  > No.0058 「片眼の猿」
  > No.0049 「シャドウ」
  > No.0041 「向日葵の咲かない夏」


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