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2010年12月11日 (土)

「この"ランク外作品"がすごい!2011年版」

 “「このミス」2011年版”が発売され、ランキングが発表されたということで、これからランクイン作品を読んでみようと思っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 2010年に発売された大量のミステリ&エンタメ作品の中で、読書のプロたちが選んだ作品がズラリと並んでいるわけで、まあ好みの問題はあるとはいえ、面白い作品揃いなのは間違いないでしょう。

 しかし、だからといって“ランクインした作品は面白く、ランクインしなかった作品はつまらない”というわけでは決してなく、ランクインを逃した22位以下の作品の中でも、傑作が数多く秘められているのですね。

 なのでここは、そんなランク外だった作品の中から、読んでおくべきオススメの作品を何点か紹介してみたいと思います。

 なお、選んだ基準は、自分が面白いと思った作品ではなくて、世間の評判や他誌のランキング結果の方を重視してみました。


 「このミス」 ・・・・ このミステリーがすごい!
 「本ミス」 ・・・・・ 本格ミステリ・ベスト10
 「早ミス」 ・・・・・ ミステリが読みたい!(早川書房)
 「文春」 ・・・・・・ 週刊文春ミステリーベスト10


 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページです

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   光媒の花 / 道尾秀介  <<当ブログ感想記事はこちら!>>

  ( このミス:22位、 早ミス:15位、 文春:16位 )

 2010年の道尾作品は、ノン・ミステリ小説ばかりでした。

 本作はそんな中にあって一番ミステリ度が高いのですが、それでもこれまでの作品のような“読者を驚かせる大掛かりなトリック”などなく、あくまで物語を引き立たせるためにミステリ的な仕掛けが使われているくらいなものです。

 それでいて、「早ミス」「文春」ではランクインし、「このミス」でも次点に入るほどに票を集めたことからも、この作品の評価が窺えるでしょう。

 かなり切なく哀しく痛々しい話の中に、優しさに包まれた希望が静かに満ち溢れている、とても心に響く作品です。

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   キング&クイーン / 柳広司  <<当ブログ感想記事はこちら!>>

  ( このミス:22位、 早ミス:11位、 文春:19位 )

 ネット上での感想では酷評が多く見られた作品なのですが、それはやはり「このミス」で2年連続2位となった“ジョーカーゲーム・シリーズ”と同じ面白さを期待して読んだことが影響しているのでしょう(そしてそれを匂わせた帯の煽り文の影響も)。

 本作の場合は、“ジョーカーゲーム・シリーズ”のように重厚な頭脳戦や謀略ミステリを楽しむタイプではなく、軽快なアクションエンタメ作品なので、そういった読み方であればとても楽しめるはずですし、最後の驚きも効果的に味わうことが出来るのではないでしょうか。

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   謎解きはディナーのあとで / 東川篤哉  <<当ブログ感想記事はこちら!!>>

  ( このミス:24位、 本ミス:9位、 文春:10位 )

 東川篤哉は、「本ミス」では毎年のようにベスト10に入るのに、「このミス」ではほとんど票が入らないという、ランキング誌によって評価が大きく変わってしまう作家です。

 しかし本作は、「本ミス」でまたもやベスト10に入ったのはもちろん、「このミス」でも惜しくもランクインを逃したとはいえランクイン手前まで票を集めたので、このことからも本作の評価がわかりますね。

 朝日新聞の書評の影響もあって一躍ベストセラーとなりましたし、2010年のミステリを語るうえで読み逃してはならない作品といえるでしょう(続編も予定されているようですしね)。

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   黒と愛 / 飛鳥部勝則  <<当ブログ感想記事はこちら!>>

  ( このミス:31位、 本ミス:13位 )

 2010年に発売されたミステリ系の中で最もとんでもない作品といえば、間違いなく本作でしょう。

 ホラーテイストの本格ミステリなのですが、まあとにかく出てくる人物がみな変人ですし、舞台となる城もかなり奇怪ですし、ストーリー展開は予測不能ですし、ミステリトリックもぶっ飛びすぎているので、万人に薦めることはできませんが、常識外れのとんでもないミステリ作品が好きな方には大いにオススメです。

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   空想オルガン / 初野晴  <<当ブログ感想記事はこちら!>>

  ( このミス:33位、 本ミス:20位、 早ミス:20位 )

 No.268「退出ゲーム」 No.269「初恋ソムリエ」に続く、“ハルチカ・シリーズ”の3作目です。

 今回は前2作と比べるとミステリ度はやや落ちる感じですが、それでも様々なタイプのミステリトリックを味わえますし、青春物語は相変わらずの面白さですし、前2作にはなかった仕掛けが炸裂したりもするので、やはり青春ミステリの枠を超えた読み応えのある本格ミステリ作品です。

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   セカンド・ラブ / 乾くるみ  <<当ブログ感想記事はこちら!>>

  ( このミス:44位、 本ミス:13位 )

 あの大ヒット作No.68「イニシエーション・ラブ」に続く、シリーズ2作目です。

 といっても話が繋がっていたり登場人物が一緒だったりするわけではなく、恋愛ミステリの第2弾といった感じなのですが、一見恋愛小説でしかないような内容がラストになってミステリ小説と化すのは前作同様ですし、それでいて前作のトリックを意識して読んでいると見事にやられてしまうという心憎い仕掛けも素晴らしいので、とにかくアッと驚きたい方にオススメです。

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   スリープ / 乾くるみ  <<当ブログ感想記事はこちら!>>

  ( このミス:55位、 文春:18位 )

 そんな話題性抜群の「セカンド・ラブ」に負けず劣らずの評価を得ているのが本作です。

 冷凍睡眠(コールドスリープ)物ということでSF作品なのですが、やはりミステリ的な要素が徐々に表れてきて、最後にはアッと驚かされるのですね。

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   この国。 / 石持浅海  <<当ブログ感想記事はこちら!>>

  ( このミス:44位、 本ミス:21位 )

 2011年版対象期間内になんと6作品も発表してしまった石持浅海ですが、「このミス」でも「本ミス」でも本作が最上位となりました。

 パラレル日本を舞台にした連作集で、そのパラレル国家だからこその設定を上手くミステリに活かされている好作揃いですし、それでいて石持作品らしい捻くれ具合も炸裂していますね。

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   闇の喇叭 / 有栖川有栖  <<当ブログ感想記事はこちら!>>

  ( このミス:147位、 本ミス:15位、 文春:17位 )

 「このミス」では驚くことに1票(しかも6位票)しか入りませんでしたが、「本ミス」と「文春」では20位以内にランクインしています。

 続編を執筆する予定とのことなので、“江神シリーズ” “火村シリーズ”に次ぐ有栖川有栖の“第3のシリーズ”の1作目となるわけですが、本作を読んだ限りではこの後かなり面白くなりそうな予感もあるので、序章となる本作を早めに読んでおいた方がよいと思いますね。

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   熱 愛 / 香納諒一  <<当ブログ感想記事はこちら!>>

  ( このミス:51位 )

 今年は警察小説とハードボイルド作品が1冊もランクインしなかったのですが、そんな中にあってオススメしたいハードボイルド作品が、本作です。

 タイトルはこんなですが、かなり渋みの効いた男の世界が繰り広げられていますし、アクションあり、感動あり、驚きありと、読み応え抜群ですからね。

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