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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.391
『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』 倉阪鬼一郎
「このミス」2010年版 : 39位
受賞(候補) : 「世界バカミス☆アワード」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 16位
読始:2010.10.28 ~ 読終:2010.10.28
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : ノベルス <2009年9月>
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倉阪鬼一郎は、様々なジャンルの作品を毎年発表している多作作家なのですが、その中でもミステリ系作品においては2つのタイプに分類することが出来ます。
作者自身の呼び方でいうと“ダウナー系”と“アッパー系”で、2009年の作品を例にしてみると、“ダウナー系”が幻想ミステリNo.192「遠い旋律、草原の光」、そして“アッパー系”が本作。
まあ“アッパー系”というのは、わかりやすくいってしまえば“バカミス”なのですが、そんじょそこらのバカミスとは違いまして、「第三回世界バカミス☆アワード」を受賞しているほどのれっきとしたバカミス作品なのですね。
2009年を代表するミステリ小説の一つであることは間違いないので、残念ながら「このミス」にランクインしなかったものの、読み逃すことは出来ないと思い、今になって手にしてみたのです。
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舞台となるのは、タイトルからもわかるように三崎にある二つの館で、やはりタイトルからわかるように連続密室殺人が起こります。
この連続密室殺人部分を読んでいると、まあバカミスだという先入観がなくとも“何かが変だな”と違和感を覚えずにはいられないのですが、いざ真相が明らかにされてみますと、これがもうあまりのバカらしさに唖然茫然としてしまうのですねェ。
ただこんなのはまだまだ序の口で、本作の本領はこの後に発揮されるのです.....。
実はこの真相に関わるある仕掛けも明らかにされるのですが、これがもう驚天動地な衝撃でして、それがまた単発に終わらず次から次に襲ってくるので、唖然茫然を通り越して大興奮状態にまで辿り着いてしまいましたからね。
作者の生半可ない努力と苦労がこれ以上ないくらいに感じられるのに対し、その結果として出来上ったものがこれだけバカバカしいというのも、改めて考えてみると凄いことで、倉阪鬼一郎という作家のバカミスに掛けるこの執念というか情熱には、感動と感銘と感嘆とを受けずにはいられませんでした。
もうほんとにとんでもない衝撃を受けてしまったわけですが、こんな自分好みの素晴らしい作品を読み逃しかけていたとは、読み終えた今考えれば末恐ろしいですね。
とまあ、これだけ絶賛してみたものの、この作品はあくまで“バカミス”なので、読む際には“読む人をかなり選ぶ作品だ”ということを忘れないようお願いします。
ちなみに、文庫化はまず無理だと思うので、文庫化を待っていると永遠に読むことが出来ないでしょうね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★★☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.394 「新世界崩壊」
> No.391 「三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人」
> No.192 「遠い旋律、草原の光」
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