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2010年11月12日 (金)

『黒と愛』 飛鳥部勝則 > 「このミス」完全読破 No.388

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.388

 『黒と愛』 飛鳥部勝則

   「このミス」2011年版 : 31位

   受賞(候補) :

   総合ランキング : 「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 83位

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 13位

   読始:2010.10.23 ~ 読終:2010.10.25

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2010年9月>

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 とんでもない作品だったNo.103「堕天使拷問刑」以来約2年ぶりとなる新作は、その前作以上にとんでもない問題作でした(前作といってもシリーズものではありません)。

 心霊番組のロケハンのためにスタッフが訪れたのは、名前の通りに奇妙に傾く“奇傾城”。

 外観も奇妙なら中身の方も怪奇趣味的展示物で溢れる奇妙さで、訪れた側も招いた側も奇妙な人間たちばかりときましたら、やはり奇妙な密室殺人事件が起きるのですね。

 流れ的には本格ミステリの館モノの定番のような感じで進んでいくのですが、核心に迫ったかと思った瞬間、登場人物たちの過去の話へと場面は転換されるのです。

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 そこからはタイトルから想像できるように恋愛が絡んだ話となるものの、そこはもちろん“飛鳥部的”恋愛話なので、一筋縄ではいかないというか、歪みまくっているというか、冷やかさの中に狂気が蔓延している感じなのです。

 そしてそんな過去話を経て再び奇傾城に戻ってからが本作の本領発揮となりまして、事件の真相も、それまで隠されていた真実も、繰り広げられる騒動も、巻き起こる狂乱の世界も、まあ想像を絶するほどのとんでもない描写のオンパレードといった感じで、ただただ圧倒されて茫然自失となるしかないですからね。

 ただ、読み終えた後になって“これはとんでもない作品だったな~”と衝撃がゾクゾクっと襲ってくるのですが、読んでいる間はこんな話なのに(感覚が麻痺してか)結構普通に受け入れてしまっていたという事実が、後から考えるとかなり恐ろしく感じてしまいます.....。

 まあそんな感じなので、途中では“これはさすがにルール違反なんじゃないの?”って憤慨してしまうような驚きの事実が判明するものの、それでもこの作品だったら許せてしまうと思ってしまったほどからね。

 というわけで、狂気と怪奇と禍々しさと変態性とバカミスとがごっちゃ混ぜとなった作品なのですが、それでも本格ミステリーとしても現代ホラーとしても破綻せずに完成しているという奇跡のような作品でもあるので、キワモノ好きな方には大絶賛でオススメです(でも普通のミステリ好きの方にはあまりオススメできません.....)。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★★★★
   熱アクション度 : ★★★★★    主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★      人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★     感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★★★★    気軽に読める度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “飛鳥部勝則” 関連記事 】

   > No.388 「黒と愛」
   > No.147 「殉教カテリナ車輪」
   > No.103 「堕天使拷問刑」


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