*「このミステリーがすごい!」では、1990年より翌年度表記に変更(つまり、満年齢から数え年に変更)しているので、この“2011年版”は、2010年(2009年11月~2010年10月)に発売された作品のランキングとなっています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
これで3年目となりますが、今年も「このミステリーがすごい!」のランキング(順位)予想をしてみたいと思います。
昨年はランキングの前に長々と文章を付けてしまったので、今年は注意点のみ書くだけにしておきましょう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 ランキング(順位)予想を見るうえでの注意点 】
・これは、あくまで素人である当ブログ管理人が個人的に予想しているものです。
なので、結果が出てみたら、1位に予想した作品がランク外だったりとか、全くの見当違いな予想であったりする可能性もありえますので、その点をご了承した上で参考にしてみてください。
・この予想の対象は、自分がこれまで読んだ作品のみとしているので、読んでいない作品は、ランクインするかもしれないな~と思っていても予想には入れていません。
これまでに読んだ作品(この予想の対象となる作品)については、ここに書くとかなりの長さとなってしまうので、「このミス2011年版」上半期のランクイン作品予想および「このミス2011年版」下半期のランクイン作品予想にてご確認ください(予想を終えた時点で読み終えたのは105作品)。
・「このミス」における“ランクイン”とは20位以内のことをいいますが、今年も昨年と同様に、30位まで予想してそのうち何作がベスト20にランクインするか、といった感じでやってみたいと思います。
・過去の予想実績に関しては、「このミス2010年版」ランキング(順位)予想 <反省会・総論編>および「このミス2009年版」ランキング(順位)予想 <反省会>にてご確認ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 「このミス2011年版(2010年)」ランキング(順位)予想 】
*タイトル部分のリンク先は、Amazonの詳細ページです
01位 : 悪の教典 / 貴志祐介 <感想記事はこちら>
02位 : 隻眼の少女 / 麻耶雄嵩 <感想記事はこちら>
03位 : マリアビートル / 伊坂幸太郎 <感想記事はこちら>
04位 : 叫びと祈り / 梓崎優 <感想記事はこちら>
05位 : 写楽 閉じた国の幻 / 島田荘司 <感想記事はこちら>
06位 : 兇 弾 / 逢坂剛 <感想記事はこちら>
07位 : 水魑の如き沈むもの / 三津田信三 <感想記事はこちら>
08位 : 狩久探偵小説選 / 狩久 <感想記事はこちら>
09位 : 祈る時はいつもひとり / 白川道 <感想記事はこちら>
10位 : 死ねばいいのに / 京極夏彦 <感想記事はこちら>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11位 : シューマンの指 / 奥泉光 <感想記事はこちら>
12位 : 琉璃玉の耳輪 / 津原泰水・尾崎翠 <感想記事はこちら>
13位 : この国。 / 石持浅海 <感想記事はこちら>
14位 : オーディンの鴉 / 福田和代 <感想記事はこちら>
15位 : 貴族探偵 / 麻耶雄嵩 <感想記事はこちら>
16位 : 小暮写眞館 / 宮部みゆき <感想記事はこちら>
17位 : バイバイ、ブラックバード / 伊坂幸太郎 <感想記事はこちら>
18位 : 初陣 隠蔽捜査3.5 / 今野敏 <感想記事はこちら>
19位 : アルバトロスは羽ばたかない / 七河迦南 <感想記事はこちら>
20位 : 魔法使いの弟子たち / 井上夢人 <感想記事はこちら>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
21位 : 黒と愛 / 飛鳥部勝則 <感想記事はこちら>
22位 : 熱 愛 / 香納諒一 <感想記事はこちら>
23位 : 丸太町ルヴォワール / 円居挽 <感想記事はこちら>
24位 : 見えない復讐 / 石持浅海 <感想記事はこちら>
25位 : オー! ファーザー / 伊坂幸太郎 <感想記事はこちら>
26位 : セカンド・ラブ / 乾くるみ <感想記事はこちら>
27位 : 撃てない警官 / 安東能明 <感想記事はこちら>
28位 : 光媒の花 / 道尾秀介 <感想記事はこちら>
29位 : 綺想宮殺人事件 / 芦辺拓 <感想記事はこちら>
30位 : 北帰行 / 佐々木譲 <感想記事はこちら>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
というわけで、1位に予想したのは「悪の教典」です。
今年は飛び抜けた存在の作品がないため、例年以上の混戦になると思うのですが、そんな時には“インパクト”と“大作感”を持つ作品が頭一つ抜け出しそうなので、この作品はその条件に一番合うのではないかと。
それに、過去2年は少し捻った1位予想にして、結果1番人気的な作品が1位となっていたので、今年は素直に1番人気的な作品を1位にしてみました。
2位の「隻眼の少女」は、当初は6~10位くらいに入れようかと考えていたのですが、長年待たされてようやく発売された作品ですし、麻耶作品としては驚くほどにド直球な本格ミステリであることが評価される方に向くかな、と思い、急遽2位という高順位に入れることにしました。
3位の「マリアビートル」は、4作品も出た2011年版対象の伊坂作品の中でも抜けた存在だと思うし、ランクインしているシリーズ1作目No.381「グラスホッパー」を超える内容だったこと、作者の過去のランクイン実績、有利となる発売時期、そして世間一般の評判などから、1位に近い順位に入るのは確実でしょう。ただ他の伊坂作品にも票が流れるだろうから、1位にはならずこのぐらいの位置になるのではないかと。
4位の「叫びと祈り」は、新人のデビュー作ではありますが、読み応えのある内容で評価も高いですし、デビュー作で高順位(4位)にランクインした2009年版のNo.127「告白」(湊かなえ)と比べると、評価の高さは共通しているのに一般的な知名度には雲泥の差があるので、多くの人に知ってもらいたいという意味合いでの票も集まりやすいのでは。
5位の「写楽 閉じた国の幻」は、物語部分が中途半端に終わっていて早くも続編がほのめかされるなど作品の完成度としてみると評価は落ちると思いますが、ただ写楽の謎を追うという本格ミステリ部分はやはり素晴らしいですし、ここ最近の島田作品と比べてかなりの高評価を得ているようなので、過去の実績からすると上位にくるのでは。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6位の「兇弾」は、過去の4作中2作がランクイン(残りの2作のうち1作もあと一歩の22位)と「このミス」と相性の良い“禿鷹シリーズ”の作品ですし、前作で誰もが完結したと思う中で、その設定をを上手く利用した上で見事なまでに復活させてしまったし、クライマックスにおけるとんでもないアクションシーンも「このミス」好みだったと思うので、ベスト10内も狙えるのではないかと思いまして。
7位の「水魑の如き沈むもの」は、長編作品が2作連続でベスト10入りしているシリーズ作品ですし、本格ミステリ大賞を受賞するなど以前の作品に劣らない評価を受けているので、3作連続となる可能性は高いのでは。
8位の「狩久探偵小説選」は、“数十年前に活躍した作家の作品集”枠での候補作品で、ミステリ歴が浅い自分にはこの作家&作品集の価値や評価がわからず、もしかしたらほとんど票が入らないのかもしれません。ただ、調べた感じだとカルト的な人気を持つ作家だったようだし、作品集が出るのは52年ぶりとなるし、「このミス」投票者の多いSRの会にも関係があったようだし、実際に読んでみたら納得の面白さだったので、思い切ってこの順位に予想してみました。
9位の「祈る時はいつもひとり」は、今年のハードボイルド系の中でも抜けた作品なのではないかと個人的に思いましたし、シリーズ5作品全てが「このミス」で5位以内に入っている“探偵・沢崎シリーズ”(原尞)に似た魅力もありましたし、白川作品自体も過去に2作ベスト10入りしているので、この作品も思い切ってベスト10に予想してみました。
10位の「死ねばいいのに」は、“百鬼夜行シリーズ(京極堂シリーズ)”とは違ってシンプルな作風ながら、タイトルと同様に内容も強烈なインパクトがありますし、ミステリ的な展開にもなっていくので、「このミス」好みの作品なのではないかと思いまして。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
11位の「シューマンの指」は、物語性とミステリ要素が見事に絡み合っているので、今年の“職業・趣味系ミステリ枠”の中で最上位に入るのではないでしょうか。
12位の「琉璃玉の耳輪」は、昭和初期に書かれた尾崎翠の映画脚本を津原泰水が小説に仕立て上げてしまったという制作過程が「このミス」に好まれそうだし、内容的にもなかなかの完成度だったことから、票が集まるのではないかと。
13位の「この国。」は、作品全体の完成度としては、同期間内に発売されたNo.297「リスの窒息」やNo.383「見えない復讐」の方が上かもしれないけれど、「このミス」では短編(連作)集に収録された一部の作品に対する評価で票が入る場合もあるので、となると1・2話目の本格ミステリ的魅力が際立っている本作が今年の石持作品の中で最上位に、そしてこのくらいの順位になるのではないでしょうか。
14位の「オーディンの鴉」は、パニックサスペンス作品が「このミス」で評価されている作家ですし、とにかく中盤以降の緊迫感溢れる展開が凄まじいので、ランクインするのではないかと予想。
15位の「貴族探偵」は、「隻眼の少女」の方に票を持っていかれるとは思いますが、それでもシリーズ短編集である本作の方を評価する投票者も結構いそうですし、収録作「こうもり」がまた凄い短編だったので、2作同時ランクインもありえそうですからね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
16位の「小暮写眞館」は、ドラマ部分がメインとはいえミステリ要素もありますし、過去の実績からしてもランクインは堅そうな気も。
17位の「バイバイ、ブラックバード」は、ミステリ要素がほとんどないので「マリアビートル」の方に票が集まりそうですが、ただこの作品もかなりの魅力とインパクトを持っているので、ランクインするくらいには票が流れてくると思うのです。
18位の「初陣 隠蔽捜査3.5」は、「このミス」でも評価が高い“隠蔽捜査シリーズ”のスピンオフ的な作品ですが、短編だからこその面白さがありましたし、それでいてこのシリーズの魅力は変わらないし、安楽椅子探偵的な感じもあったので、スピンオフ的作品であってもランクインしてくるのではないでしょうか。
19位の「アルバトロスは羽ばたかない」は、一撃のインパクトでは今年の1位だと思いますが、そこに至るまでのミステリ的評価がどうなるかわからないのと、前作には1票も入っていなかったので、ランクインしたとしてもこのくらいの順位になるのではないかと。
20位の「魔法使いの弟子たち」は、パニックサスペンスかと思いきや.....、といった予想外の展開など読み応え抜群ですし、9年ぶりの長編ということで、「このミス」では“○年ぶり”というのが高ポイントになる傾向にあるようなので、ランクインするのではと予想。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
21位の「黒と愛」は、今年一番の問題作と言っていいような超絶本格ミステリ作品で、20位以内に予想したかったのですが、2009年版のNo.103「堕天使拷問刑」に引き続いて次点となるのも面白いかな、と思いまして。
22位の「熱愛」は、渋みの効いたハードボイルド作品として票を集めそうで、発売時期の影響でNo.309「虚国」よりこちらの方が上になるかと予想したのですが、ただある程度票割れするとなればランクイン一歩手前くらいになるのではないかと。
23位の「丸太町ルヴォワール」は、「このミス」とは縁遠いラノベ系の講談社BOXから出た作品ではありますが、大学ミス研を中心に票が入りそうな感じがするので。
24位の「見えない復讐」は、今年出た石持作品の集大成的な内容だったので、同期間内に6作も出ていなければ(票割れを気にしなくてもよかったなら)20以内に予想したのですけどね。
25位の「オー! ファーザー」は、今年の伊坂作品の中では「マリアビートル」「バイバイ、ブラックバード」に次ぐ3番手と予想するも、ランクインしてもおかしくない作品だと思っていますが、ただ3作同時ランクインするほどのインパクトはなかったかな~って感じなので。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
26位の「セカンド・ラブ」は、あのNo.68「イニシエーション・ラブ」の続編であることを逆手に取った仕掛けが素晴らしかったですが、ただ乾作品はその「「イニシエ~」しかランクインしていないなどそれほど「このミス」と相性が良いわけではないので、ランクインまではいかないのではないかと。
27位の「撃てない警官」は、日本推理作家協会賞短編部門を受賞した「随監」を収録している連作集ですが、受賞作を収録した単行本が受賞後に出た場合の「このミス」ランクイン率がハンパないので(詳しくは「このミス2011年版」月別ランクイン候補作品(2010年10月)<当ブログ記事>参照)、ランクインの確率は高いかと思いましたが、実際に読んでみたらランクインまではいかないかな~って感じだったので、この位置に。
28位の「光媒の花」は、ランクイン率のかなり高い道尾作品といえど、やはりミステリ要素を前面に押し出していないと票を集めにくいと思うし、ミステリ要素の少ない作品揃いの今年の対象作の中で最もミステリ度が高め(収録作のいくつかがミステリ的)な本作でも、ランクインまではいかないのではないかと予想したのですが。
29位の「綺想宮殺人事件」は、読む人をかなり限定するであろう大蘊蓄本格ミステリ作品ですが、こういうタイプが好きな人ならたまらない内容だろうし、ある程度の票は集めるのでは。
30位の「北帰行」は、今回はお得意の警察小説ではないですし、発売から9ヶ月以上経ってもインパクトが残るほどではなかったと思うので、発売時期が8~10月だったら20位以内に予想していたかもしれませんね。
30位以内に予想しなかった作品についても簡単に説明してみますと、まずNo.366「ふたりの距離の概算」(米澤穂信)は、昨年には3作品同時ランクインを果たすなど「このミス」ランクイン率のかなり高い作家ではありますが、この“古典部シリーズ”に限っては前4作全てがランク外だし、本作も本格ミステリ的には少し弱いかな~と思ったので。
東野作品は、昨年1位などもありハードルが上がっていると思うのですが、今年出た3作品(No.285「カッコウの卵は誰のもの」、No.342「プラチナデータ」、No.377「白銀ジャック」)はその高いハードルを超えるまではいっていない感じだったし、票を集めやすい本格ミステリタイプでもなかったので、今年はあまり上の方には入らないのではないかと。
あと、まだ読んでいないけどもしかしたらランクインするかもしれないな~と思う作品は、「ピストルズ」(阿部和重)、「蒼林堂古書店へようこそ」(乾くるみ)、「神の棘Ⅰ・Ⅱ」(須賀しのぶ)、「エコイック・メモリ」(結城充考)、、「ダブル」(深町秋生)、「ジークフリートの剣」(深水黎一郎)、「灰色の虹」(貫井徳郎)、「ウラジオストクから来た女 函館水上警察」(高城高)、「郷愁という名の密室」(牧薩次)といったところです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
というわけで、「このミステリーがすごい!2011年版」の予想を行ってみましたが、いかがでしたでしょうか。
ランキングが発表された後には、予想の結果や反省を行う<反省会>をアップする予定なので、そちらもどうぞお楽しみに(後日追記:アップしました→「このミス2011年版」ランキング(順位)予想 <反省会・総論編> )。
あとは、“自分がもし「このミス」投票者だったら?”ってことで個人的なベスト6を発表する「このミス2011年版」投票者なりきりベスト6も更新しているので、もしよかったらそちらもぜひご覧になってみてください。
それから、 「このミス2011年版」のベスト10作品をみんなで予想しよう!という企画も実施しているので、そちらもぜひともご参加ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【「このミステリーがすごい!2011年版」関連記事】
> 「このミス2011年版」上半期のランクイン作品仮予想 (10.1.17)
> 「このミス2011年版」下半期のランクイン作品仮予想 (10.6.14)
> 「このミステリーがすごい!2011年版」ランキング(順位)予想 (10.11.3)
> 「このミス2011年版」のベスト10作品をみんなで予想しよう! (10.11.1)
> 「このミス2011年版」投票者なりきりベスト6 (10.11.24)
> 「2011 本格ミステリ・ベスト10」 (10.12.6)
> 「このミステリーがすごい!2011年版」 (10.12.8)
> 「このミス2011年版」ランキング(順位)予想 <反省会・総論編> (10.12.10)
> 「このミス2011年版」ランキング(順位)予想 <反省会・各論編> (10.12.22)
> 「このミス2011年版」対象作品を事前に読んでしまおう!<反省会> (10.12.25)
> 「この"ランク外作品"がすごい!2011年版」 (10.12.11)
> 「このミス2011年版」ランクイン作品数珠つなぎオススメ本ガイド(1-5位) (11.1.12)
> 「このミス2011年版」ランクイン作品数珠つなぎオススメ本ガイド(6-10位) (11.1.23)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
>>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<