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2010年10月12日 (火)

『セカンド・ラブ』 乾くるみ > 「このミス」完全読破 No.374

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.374

 『セカンド・ラブ』 乾くるみ

   「このミス」2011年版 : 44位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 13位

   読始:2010.10.1 ~ 読終:2010.10.3

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2010年9月>

セカンド・ラブ (文春文庫)セカンド・ラブ (文春文庫)
乾 くるみ

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 乾くるみの代表作といえば、なんといってもNo.68「イニシエーション・ラブ」でしょう。

 恋愛小説でしかなかったものが、最後の2行だけでミステリ小説へと変貌を遂げるという衝撃的な内容で、数ある“アッと驚くどんでん返し本”の中でもトップクラスの知名度なのではないでしょうか。

 その反響はミステリ好きに留まらず、文庫版が発売されてからは一般にも浸透し、いまだに大ヒットを続けていますからね。

 そんな「イニシエーション・ラブ」に続く“驚愕の恋愛ミステリーシリーズ”の第2弾となるのが本作です。

 ちなみに、タロットカードをモチーフとした“タロット・シリーズ”としては、「塔の断章(塔)」「イニシエーション・ラブ(恋人)」「リピート(運命の輪)」に続く4作目ですが(カードは「女教皇」)、このシリーズは別に話に繋がりがあるわけではないので、順番に読む必要はありません。

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 それで内容の方ですが、前作の“続編”というよりは“姉妹編”なので、ストーリー的な繋がりもないし共通する主要人物も出てきません。

 ただ、前作と同様に男目線での童貞純愛物語が繰り広げられていくのです。

 これがやはりクライマックスまで続いて、最後の最後に驚きの真相が明らかにされてミステリ小説に姿を変えるところも前作と同様ですね。

 そして本作は、上に書いたように“続編”ではなく“姉妹編”なので、前作を読んでいなくても、本作から読み始めても問題なく楽しむことが出来ます。

 しかし、最後まで読んでみると、“本作は前作を読んだ人に向けて書かれた作品なのではないか?”と思わされてしまうのですね。

 といっても、実は話に繋がりがあって.....という“姉妹編かと思ったら続編だった”パターンではなくて、トリックの仕掛け的に、前作で驚いた人を想定して作られているように感じるのです。

 まあここのところを詳しく書いてしまうと両作のネタバレになってしまうのでぼやかしておきますが、そういったところからも、本作は単体でも充分に楽しめるものの、前作を事前に読んで“「イニシエーション・ラブ」の第2弾を読むぞ!!”って心構えで読んだ方が、より楽しむことが出来ると思います。

 あと本作の仕掛けを単体で見てみると、やはり贔屓目に見てもあのとんでもない前作を超えるほどではないと思うので、物足りなさを感じる方も少なくはないでしょうが、前作超えを目指した作品ではないですし、それでいて前作を踏まえた上での驚きを演出しているので、そういった作者の企みや挑戦的な部分も味わってほしいですね。

 それに、ラストのページが近づくにつれて、“この後にどんな真相が飛び出てくるのだろう.....”と本当に心臓の音が聴こえてくるくらいにドキドキしてしまったので(これは前作を読んでいてこそのドキドキでしょうね)、このドキドキを味わえただけでも大満足でした。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★       鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★      おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★          主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★★    人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★★   感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★★     気軽に読める度 : ★★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “ 乾くるみ” 関連記事 】

  > No.726 「北乃杜高校探偵部」
  > No.560 「カラット探偵事務所の事件簿2」
  > No.501 「嫉妬事件」
  > No.374 「セカンド・ラブ」

  > No.360 「スリープ」
  > No.185 「六つの手掛り」
  > No.168 「カラット探偵事務所の事件簿(1)」
  > No.105 「クラリネット症候群」
  > No.068 「イニシエーション・ラブ」


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