『隻眼の少女』 麻耶雄嵩 > 「このミス」完全読破 No.373
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.373
『隻眼の少女』 麻耶雄嵩
「このミス」2011年版 : 4位
受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞
「本格ミステリ大賞」受賞
総合ランキング : 「本格ミステリ・ベスト・オブ・ベスト10(1997-2016)」 17位
「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 66位
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 1位
「週刊文春ミステリーベスト10」 4位
「ミステリが読みたい!」 7位
「キノベス」 29位
「黄金の本格ミステリー」 選出
読始:2010.9.29 ~ 読終:2010.9.30
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2010年9月>
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この作品を読む前に、まずは発売に至るまでの経緯を知っておいた方が良いでしょうね。
麻耶雄嵩は、デビュー作のNo.113「翼ある闇」からとんでもない仕掛けやトリックで読者を驚かせる(または唖然とさせる)問題作を発表し続け、カルト的な人気を得てきました。
しかし、2005年のNo.38「神様ゲーム」を最後に、単行本の発売がストップしてしまったのです。
ただ全くの音沙汰なし状態だったわけではなくて、「このミス」の“私の隠し玉”や「本ミス」の“新作近況会”などのコーナーで、毎年のようにある長編作品の刊行予定が書かれていました。
その作品こそがこの「隻眼の少女」だったわけですが、カルト作家の久々の新作というだけでも期待は高まってしまっているのに、発売が予告されながらもそれが実現することがない状況が何年も続いていたため、ファンとしては“もうこのまま一生発売されないのではないか?”と不安と不信感に陥ってしまうほどでした。
そしてとうとう2010年、シリーズ短編集No.343「貴族探偵」で5年ぶりに単行本が刊行されたのに続いて、ついにこの幻の作品の発売が現実のものとなったのですね。
なので、発売されてからこの作品を知ったという方も、“そんな発売されただけで大変ありがたい作品なんだな~”と心に留めながら読んでみてはいかがでしょうか.....。
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それで内容の方ですが、ある地方の村で起きた連続殺人事件に探偵が挑むという、典型的な設定の本格ミステリです。
ただその探偵というのが、古風な装束を身にまとい扇子を携えた、負けん気が強くてちょっぴりツンデレな隻眼の少女、というところが異色さとなっていますかね。
そんな探偵が手掛ける殺人事件というのがやはり奇怪で謎めいているのですが、捜査の過程などは驚くほど端正で直球な本格ミステリでして、クライマックスでは驚愕の真相が明らかにされたりするものの、麻耶作品としては“とんでも要素”の薄いストレートな作品といえるのではないでしょうか。
とはいえ、作品の隅々に麻耶作品らしい捻りや小ネタが散りばめられていますし、「貴族探偵」同様に“探偵”に対する問題提起が込められていますし、真相も読後すぐに読み返したくなるような驚きがあるので、ぶっ飛び系の部分に関しては少々期待外れでしたが、それでもやっぱり麻耶作品の魅力が詰め込まれていて、何年も待ち続けた甲斐は十分にありましたね。
なので、麻耶作品を未読な方がまず最初に読むのには最適なのではないかとも思うのですが、ただ本格ミステリを読み慣れていないと中盤の辺りは少し退屈さを感じてしまうかもしれないので、“本格ミステリ好きで麻耶作品を未読な方が最初に読むのに適した作品”といったところでしょうか。
そして次に「螢」や「神様ゲーム」を読んで、そのとてつもない衝撃に心を痺れさせてもらいたいもんですねェ。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.113 「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」
> No.038 「神様ゲーム」
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