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2010年10月 7日 (木)

『ドゥルシネーアの休日』 詠坂雄二 > 「このミス」完全読破 No.372

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.372

 『ドゥルシネーアの休日』 詠坂雄二

   「このミス」2011年版 : 48位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2010.9.28 ~ 読終:2010.9.29

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2010年7月>

ドゥルシネーアの休日 (光文社文庫)ドゥルシネーアの休日 (光文社文庫)
詠坂 雄二

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 詠坂雄二は、これまでは少々捻くれた異色本格ミステリを発表していて、昨年(2010年版)にはNo.403「電氣人閒の虞」で「このミス」初ランクインも果たしました。

 そして2010年最初の発表となったのが、本作です。

 しかし今回は、これまでの作品とは趣きを異にしていまして、なんと直球といってもいいほどのエンタメ作品に仕上がっているのですね。

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 物語は、奇妙な連続殺人事件を捜査する刑事をメインとした、警察小説として進んでいきます。

 しかし次の章に入ると、それまでの事件は中途半端な状態で横に置かれ、突如として学園ドラマが始まるのですから驚きました。

 ところがこれに終わらず、最終章に入ると、こんどはハードボイルド活劇的展開に突入していくのですからね。

 一見別のジャンルの話が3つ並べられているようですが、これが共通する流れを持った物語となっているので、一つの話で様々なエンタメ要素を味わうことのできるサービス満点の作品なのです。

 それに作品全体を貫く核部分にはやはり本格ミステリ的な要素が組み込まれていますし、エンタメとはいえ一筋縄ではいかない捻くれ具合が作中に歪さを生み出してもいるので、詠坂雄二らしさは健在なのですけどね。

 ただ残念だったのは、といってもこの作品のことではなく自分自身のことなのですが、これまでの詠坂作品を読まずにいきなり本作を手にしたことで、過去の作品からの変化・違いを(情報としては理解できても)身を持って感じることが出来なかったことです。

 もちろん、(過去の作品と繋がる部分があったりするものの)本作のみ読んでも全く問題ないのですが、この“作風の変化”も本作の楽しみ所の一つだと思うので、せめて「電氣人閒の虞」を先に読んでおきたいところでしたねェ。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★       鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★         おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★★★     主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★         人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★        感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★★       気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “詠坂雄二” 関連記事 】

  > No.1083 「君待秋ラは透きとおる」

  > No.0770 「ナウ・ローディング」
  > No.0728 「亡霊ふたり」
  > No.0595 「インサート・コイン(ズ)」
  > No.0403 「電氣人閒の虞」
  > No.0372 「ドゥルシネーアの休日」


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