『綺想宮殺人事件』 芦辺拓 > 「このミス」完全読破 No.369
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.369
『綺想宮殺人事件』 芦辺拓
「このミス」2011年版 : 10位
受賞(候補) : (「本格ミステリ大賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 4位
「週刊文春ミステリーベスト10」 8位
「ミステリが読みたい!」 9位
読始:2010.9.21 ~ 読終:2010.9.22
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2010年4月>
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探偵小説の三大奇書といえば、言うまでもなく「ドグラ・マグラ」(夢野久作) 「黒死館殺人事件」(小栗虫太郎) 「虚無への供物」(中井英夫)の3作品。
そのうちの「黒死館」を意識して書かれたのが、この現代の奇書たる本作です。
”最後の探偵小説、あるいは探偵小説の最期”という挑発的な煽り文句が付けられているわけですが、作者本人は”本格ミステリーに対する自爆テロあるいは壮大なスベリ芸”と称してもいますね。
ちなみに、”森江春策の事件簿シリーズ”の18作目でもありますが、これまでのシリーズ作品を読んでいなくてもそれほど問題はないのではないでしょうか。
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そして内容の方ですが、奇怪な館で奇怪な連続殺人事件が起き、探偵が真相に迫っていくという、典型的な本格ミステリです。
ただしかし、冒頭から最後まで、古今東西の衒学趣味(ペダントリー)的蘊蓄の嵐で埋め尽くされているのです。
蘊蓄の合間を縫って事件やストーリーが進んでいくかのように感じられるほどで、まさに”芦辺版「黒死館」”といった感じに仕上がっているのですね。
なので、普通のミステリ好きの方なら、そのボリュームもあり読んでいて閉口してしまうかもしれませんが、このぶっ飛んだ作品世界が好きな方ならたまらないでしょう。
それに、ミステリを小説として読むだけでなく、探偵論や本格ミステリ論など評論的な読み方もしていないと、この作品のテーマや本当の意味での面白さ・作者が伝えたいメッセージ性などわからないと思うので、いわゆるミステリ上級者向けの作品と言えるのかも。
なので、とんでもない作品好きの自分ではありますが、なんかこの作品が放つ面白さを部分的にしか感じられなかったようで、ちょっと消化不良な読後感でしたかね。
> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★★ 気軽に読める度 : ★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.780 「異次元の館の殺人」
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