『シューマンの指』 奥泉光 > 「このミス」完全読破 No.358
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.358
『シューマンの指』 奥泉光
「このミス」2011年版 : 5位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「キノベス」 3位
「週刊文春ミステリーベスト10」 5位
「本屋大賞」 5位
「ミステリが読みたい!」 8位
「本格ミステリ・ベスト10」 30位
読始:2010.8.25 ~ 読終:2010.8.26
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2010年7月>
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クラシック音楽、特にタイトルからもわかるようにシューマンを題材とした作品です。
ちなみに、今年はシューマン生誕200年で、本作は講談社創業100周年書き下ろしの1冊ということで、100年周期記念が2つも込められているのですね。
自分は奥泉作品を読んだのは昨年のNo.208「神器 軍艦「橿原」殺人事件」以来2冊目なのですが、“戦記物-クラシック音楽物”と全く違うジャンルなのに、その幻想的な作品世界から似たような雰囲気が感じられたのには驚きました。
とにかく本作は音楽に関する描写が幻想的であり奇想的でありまして、奏でられる音楽を文章で表現しているというよりは、奏でられる音楽からイメージされる情景や感情を文章で表しているようで、その表現力はさすがでしたね。
ただそれゆえに、こういった文章が苦手な方は、早い段階で読むのが辛くなってしまうかもしれませんが.....。
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そしてこの作品は単なるクラシック音楽小説というわけではなくて、青春物語という側面もありつつ、実は壮大なるミステリ作品でもあるのですねェ。
物語の冒頭にはタイトルにも掛けられた魅力的な謎が提示されるのですが、それはひとまず脇に置かれた形でクラシック音楽青春ストーリーが繰り広げられていきます。
それが物語も中盤を過ぎる頃には、クラシック音楽の幻想性に包まれつつ本格ミステリ的展開を見せていって、最後には真相と驚愕の波が怒涛の如く押し寄せてくるのですから。
これがそれまで語られてきたクラシック音楽論・主人公の青春物語・シューマンの生き様などと見事なまでに結びついているし、そういった物語を読み抜けてきた上でのこのラストには、心も体も翻弄され圧倒されること間違いなしでしょうね。
まあ個人的には、さらにとんでもなく幻惑的で混迷的でわけがわからないような驚愕のラストか、はたまた全く驚きのないまま終わった方が、自分好みだったようにも思いました。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.358 「シューマンの指」
> No.208 「神器 軍艦「橿原」殺人事件」
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