『この国。』 石持浅海 > 「このミス」完全読破 No.350
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.350
『この国。』 石持浅海
「このミス」2011年版 : 44位
受賞(候補) : (「日本推理作家協会賞〈短編部門〉」
候補作 『ドロッピング・ゲーム』 収録)
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 21位
読始:2010.7.27 ~ 読終:2010.7.28
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2010年6月>
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今年の石持浅海は精力的に作品を発表していまして、「このミス2011年版」対象作品としてはNo.293「君がいなくても平気」、No.297「リスの窒息」、No.389「撹乱者」に続いて4作目で、さらにこの作品の翌月には5作目となる「八月の魔法使い」が発売されています。
それでこの作品ですが、ほとんど現実の日本と同じように思えるも、実は様々な部分(国の制度など)が別物となっているパラレル日本の“この国”が舞台となっています。
こういった特殊な舞台・設定を上手く活かしてミステリ作品として仕上げてしまうところなんかは、石持浅海の真骨頂といった感じでさすがですね。
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中身の方は、5編の短編からなる連作集なのですが、特に収録順でいう1・2話目が秀逸な内容となっています。
1話目は、“死刑囚の公開処刑が行われる”という設定を元に、処刑スタジアムにおける警察官(執行人)とテロリストとの知略戦が繰り広げられます。
2話目は、“小学校卒業と共にその後の人生が決められてしまう”という設定を元に、卒業を目前に控えた生徒の自殺を巡る謎に迫っていきます。
物語のタイプが“動”と“静”で違うとはいえ、共に“この国”だからこその設定が活かされたスリル溢れる展開で盛り上げてくれますし、“この国”だからこその設定が上手くミステリ部分に繋がっているのですよね。
そして最後の話では再び主人公とテロ組織との対決が描かれるのですが、これは知略戦に加え、とんでも系のアクションバトルとなるため、この話を楽しめるかどうかで、この作品自体の評価も変わってくるのではないでしょうか。
全体的にもそうですが、特に1話目の知略戦なんかは、No.162「ジョーカー・ゲーム」シリーズ(柳広司)が好きな方は特に楽しめると思います。
ただ、石持流の歪みというか独特のアクの強さがあるので、“ジョーカー・ゲーム”シリーズほど広く受け入れられはしなそうだし、好き嫌いがはっきりと分かれそうですけどね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.544 「玩具店の英雄 座間味くんの推理」
> No.509 「彼女が追ってくる」
> No.484 「人面屋敷の惨劇」
> No.465 「ブック・ジャングル」
> No.389 「撹乱者」
> No.383 「見えない復讐」
> No.350 「この国。」
> No.297 「リスの窒息」
> No.293 「君がいなくても平気」
> No.112 「耳をふさいで夜を走る」
> No.091 「君の望む死に方」
> No.089 「心臓と左手 座間味くんの推理」
> No.070 「月の扉」
> No.037 「扉は閉ざされたまま」
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