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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.345
『夜行観覧車』 湊かなえ
「このミス」2011年版 : 62位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(文庫ランキング) 5位
読始:2010.7.13 ~ 読終:2010.7.14
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2010年6月>
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デビュー作であるNo.127「告白」は、2年前(単行本発売直後)には新人のデビュー作とは思えないほどに売れまくり、昨年は「本屋大賞」を受賞、そして今年は映画化&文庫化と、毎年盛り上がっているとんでもない作品ですね。
そんな湊かなえの5作目が本作でして、“複数の登場人物の一人語りによって物語が紡がれていく”というこれまでの形式とは違って、今回は三人称で書かれているのですが、それでもこれまでの作品と同様な語り口といった雰囲気があります。
それで内容の方は、ある一家で起こった殺人事件についての謎が、その家族や隣人の目を通すことで次第に明らかになっていくといった、ミステリ的なストーリーです。
ただ、そういったストーリーではあるものの、ミステリ作品というよりはむしろ、高級住宅地を舞台にした人間ドラマの方により焦点が当てられている感じですね。
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そして湊作品といえば、やはりなんといっても“イヤミス”という特徴があるわけですが、本作も期待を裏切らないくらいの嫌~な話が語られていきます。
ただ、最近読んだこれまたイヤミスのNo.329「更年期少女」真梨幸子が、読み進めるのがかなり辛くなってしまうタイプだったのに対し、本作の場合は、とてもスイスイと読み進めることができたのですよね。
この違いはなんなのか考えてみたのですが、「更年期少女」の場合は、主に嫌な目に合っている側の目線で語られていることで、自分も同じような目に合っているように心を痛めつつ読むことになるので、読み進め辛くなってしまうのでは。
そして本作の場合は、主に(本人に自覚はないとはいえ)嫌な目に合わせている側の目線で語られているため、語り手に感情移入しにくく、そのために物語との間に絶妙な距離感ができることで、嫌な話であっても読み進めやすいのではないでしょうか。
(過去作品の内容がうろ覚えなので違っているかもしれませんが)過去の湊作品もこのような加害者目線の話が多かったように思うので、こういった語り手に感情移入や共感をしにくい作品を好めるかどうかで、湊作品の評価も変わってくるのではないでしょうかね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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