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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.305
『天地明察』 冲方丁
「このミス」2011年版 : 91位
受賞(候補) : 「吉川英治文学新人賞」受賞
(「直木三十五賞」候補)
総合ランキング : 「SUGOI JAPAN Award 2015」 4位
年度ランキング : 「本屋大賞」 1位
「大学読書人大賞」 大賞(1位)
「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(文庫ランキング) 2位
読始:2010.3.15 ~ 読終:2010.3.16
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2009年11月>
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ここ最近、稀に見る時代小説ブームとなっていまして、書店に行っても以前と比べてかなりのスペースが時代小説のために作られていますし、次々に注目の新刊が発売されています。
その盛り上がりの要因の一つとして、他ジャンルで活躍していた作家が次々と時代小説に挑戦してきていることが挙げられるのではないでしょうか。
そして今回紹介する冲方丁もそんな新規参戦組の一人でして、それまではシリーズ2作品ともに「このミス」にランクインしている“マルドゥック・シリーズ”を始めとしたSFファンタジー系の作品を発表していました。
それが全くの対極と言ってしまってもいいようなジャンルに挑戦するというのですから、これはもう興味や期待が高まってしまいますね。
ちなみに、明らかに非ミステリ作品なので「このミス」的には対象外になるのではないかとも思ったのですが、“「このミス」ランクイン経験作家の非ミステリ時代小説”としてはNo.124「テンペスト」池上永一の例もあるので、果たして「このミス」の対象となり得るのか、といった興味も持ちつつ読んでみました。
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この作品の大きな特徴といえば、あまり時代小説らしくないところでしょう。
主人公は、刀こそ持ち歩いているものの、仕事も趣味も全く侍らしくないものですし、性格もひょうひょうとした感じだし、周りの人々とのやり取りや会話もくだけた感じでとても現代的です。
それに、時代小説といえばみなぎる力とあふれ出る熱気とでもって成り上がっていくイメージがありますが、本作の主人公はとにかく挫折と苦悩の連続で、その姿は現代の一般人のようでもあります。
それでもこの作品がとても面白く、しかもあくまで時代小説としての面白さも持ち合わせているのは、この“時代小説の主人公らしくない”というキャラクターがあってのものなのですね。
優しく真面目なんだけど少し抜けたところがあって好感が持てますし、自分の信念を持ちその困難な道をひたむきな努力と秘めた情熱でもって進んでいく姿、そして成長していく姿に、共感と尊敬の念を感じること間違いなしです。
そんな主人公の周りに集ってくる人物達もいずれも魅力的なキャラクターでして、誰でも知っている歴史上の人物が意外なキャラで出てきたりと、思わずニヤリとしてしてしまうような面白さもあったりします。
なので、時代小説ファンの方はもちろんですが、時代小説に苦手意識がある方ほど“面白い!!”と感じるのではないかと思うので、ジャンルを超えてオススメしたいですね。
ちなみに「このミス」的な読み方についてですが、「テンペスト」と比べるとエンタメ性でも知略戦の面でも薄味だったので(というか「テンペスト」が凄過ぎなだけですが)、ランクインするようなタイプではなかったですかねェ.....(後日追記:結果はやはり1票入ったのみでした)。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★ 鬼畜グログロ度 : ★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “冲方丁” 関連記事 】
> No.455 「マルドゥック・フラグメンツ」
> No.415 「マルドゥック・ヴェロシティ」
> No.336 「マルドゥック・スクランブル」
> No.305 「天地明察」
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