『蝦蟇倉市事件 1(晴れた日は謎を追って がまくら市事件)』 伊坂幸太郎・大山誠一郎・伯方雪日・福田栄一・道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.312
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.312
『蝦蟇倉市事件 1』 伊坂幸太郎・大山誠一郎・伯方雪日・福田栄一・道尾秀介
* 文庫化の際に『晴れた日は謎を追って がまくら市事件』に改題
「このミス」2011年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2010.4.4 ~ 読終:2010.4.5
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2010年1月>
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複数の作家が競作するアンソロジー作品というのは、収録作品に共通したテーマがあるわけですが、この「蝦蟇倉市事件」にも核となるテーマが2つほどあります。
まず一つ目は、架空の町である“蝦蟇倉市”を舞台としていることです。
声を出して読んでみればかわるように“鎌倉市”がモデルとなっているのですが、“名前を少し変えただけでほどんど鎌倉と変わりがない”というパロディ的なものではなくて、“海と山に囲まれた風光明媚で歴史ある街”というイメージ的な部分でモデルにしている感じでしょうか。
そしてもう一つのテーマというか共通点というのが、参加している作者がいずれも1970年代生まれのミステリ作家ということなのですね。
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というわけでこの1巻では、収録順でいくと道尾秀介・伊坂幸太郎・大山誠一郎・福田栄一・伯方雪日という5作家の作品が収録されています。
この蝦蟇倉市というのは、不可能犯罪が年平均15件も発生するという特徴があるので、収録作のいずれにも不可能犯罪が登場します。
そして、ミステリ的にも物語的にも違った個性を持つ様々なタイプの作品が並んでいるのですが、それでも“蝦蟇倉市”という舞台以外にもリンクする部分があったりもするので、そういった連作的な繋がりも味わいどころの一つでしょう。
それに、冒頭にある“蝦蟇倉市地図”を見て位置関係を確認しながら読むのも楽しいので、本全体としてもなかなかの面白さでした。
そんな収録作品の中でも、「このミス」常連でもある道尾秀介と伊坂幸太郎の作品が、ミステリと物語性の融合具合が絶妙だし、“蝦蟇倉”という舞台を自然な形でいながら象徴的にとけ込ませていたので、やはりさすがの出来でしたね。
特に道尾作品は、ラストが謎のまま終わるのですが、巻末のヒントを元に読み直すと真相がわかる(かもしれない)ということで、読後にも楽しめるという作りがまた良かったですねェ(まあ「すっきりとした結末の方がよかった」という方の方が多そうですが)。
ちなみに、初版本における道尾作品に誤植があったそうです。詳しくは道尾秀介@あらびき双生児でご確認を。
さらにちなみに、特集サイト(11人の作家が描く架空の街の謎物語 蝦蟇倉市事件(1)(2) 特集サイト|東京創元社)も作られていまして、ここでは蝦蟇倉市の地図など見ることが出来ます。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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