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2010年3月14日 (日)

『リスの窒息』 石持浅海 > 「このミス」完全読破 No.297

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.297

 『リスの窒息』 石持浅海

   「このミス」2011年版 : 109位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2010.2.23 ~ 読終:2010.2.23

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2010年2月>

リスの窒息 (朝日ノベルズ)リスの窒息 (朝日ノベルズ)
石持浅海

朝日新聞出版 2011-06-17
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 ここ最近の石持作品といえば、捻くれた設定や歪な人物描写により(特に後者)、好き嫌いが激しく分かれそうな作風が多いのですが、本作は誘拐劇というミステリ・サスペンスの定番を描いた作品なので、近作の中では最も一般向けの作風に仕上がっているのではないでしょうか。

 とはいえ、被害者とは全く関係のないところに身代金が要求されるという、石持作品らしい捻くれた設定があったりもするのですけどね。

 そんな普通ではありえないような設定に対しても、納得せざるを得ない理由付けがなされているので、やはりこういった捻くれ設定を書かせたら一級品の作家ですねェ。

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 その他にもオーソドックスな誘拐劇と比べると少々変わった部分がありまして、普通なら犯人の存在を謎にすることでサスペンス的な盛り上がりを演出するわけですが、本作の場合は、犯人はおろかその動機まで最初に書かれているのです。

 つまりは倒叙ミステリのような形をとるわけですが、そうやって犯人側の行動を描く一方で、全く無関係な誘拐事件なのに身代金を要求されてしまう側の姿も並行して描かれていくので(一応こちらがメイン)、犯人の狙いと要求される側の翻弄されっぷりを堪能することができるのですねェ。

 しかも、犯人と要求される側との社会的立場を比較すると、事件の様相が滑稽にも見えてくるのも、この設定の面白さでしょうか。

 まあ、最後にどんでん返しがあったりとか驚くようなトリックが仕掛けられているような作品ではないですが、サスペンス誘拐劇としてのスリルある展開がありますし、その中にインパクトある描写やヘンテコなやり取りなど遊び心も組み込まれているので、終盤における派手な盛り上がりを期待しつつ読んでいくよりは、一つ一つの場面を楽しみつつ読んでいく方がこの作品には合っているのではないかと思います。


  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★     感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★★     気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


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  > No.869 「罪人よやすらかに眠れ」
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  > No.558 「トラップ・ハウス」
  > No.544 「玩具店の英雄 座間味くんの推理」
  > No.509 「彼女が追ってくる」
  > No.484 「人面屋敷の惨劇」
  > No.465 「ブック・ジャングル」

  > No.389 「撹乱者」
  > No.383 「見えない復讐」
  > No.350 「この国。」
  > No.297 「リスの窒息」
  > No.293 「君がいなくても平気」

  > No.112 「耳をふさいで夜を走る」
  > No.091 「君の望む死に方」
  > No.089 「心臓と左手 座間味くんの推理」
  > No.070 「月の扉」
  > No.037 「扉は閉ざされたまま」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「北帰行」 佐々木譲

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