『丸太町ルヴォワール』 円居挽 > 「このミス」完全読破 No.288
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.288
『丸太町ルヴォワール』 円居挽
「このミス」2011年版 : 11位
受賞(候補) :
総合ランキング : 「本格ミステリ・ベスト・オブ・ベスト10(1997-2016)」 15位
「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 92位
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 8位
読始:2010.1.28 ~ 読終:2010.1.29
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本(講談社BOX) <2009年11月>
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西尾維新や竜騎士07などのいわゆるラノベ系作家の御用達ともいうべきレーベルである“講談社BOX”から発売された作品です。
過去に島田荘司や法月綸太郎など「このミス」ランクイン作家がここから出しているとはいえ、「このミス」的にはスルーされてしまうようなタイプのレーベルなわけですが、ただこの作品ばかりは決して無視など出来ないであろう、と思ってしまうくらいのミステリ作品でした。
まあ、登場人物の名前などがいかにもラノベ風で、ほとんどを男女の会話によって構成されている第一章なんかも、一般的なイメージでいうラノベのノリが感じられました。
ところが、時が飛び人も舞台も変わる第二部を経由して、この作品の本編である第三部へとたどり着くと、そこからは素晴らしきミステリ世界が広がっていくのです。
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ちょっとだけ具体的に言いますと、第三部からは、その地方のみに古くから伝わる私的裁判が繰り広げられるのです。
この裁判は、“私的”と付くくらいなので法に則った正式な裁判ではないのですが、この裁判では事件の真実を解明しようとするのではないどころか、真実などどうでもよくて、検察側は弁護側を、弁護側は検察側を論理的に言いくるめることができればそれでいいのです。
なので、裁判が進むにつれて、両者の優劣や立ち位置が大きく入れ替わったり、事件の様相もガラリと変わるなど、大胆な推理の応酬的な感じで盛り上がるのですが、そこにさらに被告人がこの裁判を私的なことに利用しようと企んでいたりもするので、まあこのやり取りには読んでいて作品世界に飲み込まれるかのように思えたほどの迫力がありました。
そんな中でアッと驚く仕掛けがいきなり出てきたりもするのですが、クライマックスも終わりを迎えようという時に“もう1回くらいドカンと驚くような仕掛けがあったら凄いのにな~”と思っていたら、ドカンどころかドカンドカンドカンッ!と、これでもか!ってくらいに怒涛の驚きの連鎖があったのです。
なのでもう最後の方は、このサービス過剰ぶりに思わずニヤケ顔になりながら読んでいたくらいで、ホントに楽しい一時を過ごせたな~って感じでした。
もちろん、これがデビュー作ということもあって、新人ならではの隙や若さなどが感じられはしましたし、やはりレーベル的な癖が垣間見られたので万人に受けるタイプではなさそうですが、そんなものは気にならないくらいに楽しめましたし、読み終えた日の夜にこの作品世界が夢に出てきたほどに影響受けまくってしまったので、「このミス2011年版」対象作品最初の★8以上評価は当然ですね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★★☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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