「このミス2010年版」ランクイン作品数珠つなぎオススメ本ガイド(1-5位)
「このミステリーがすごい!2010年版」が発売されて早くも数ヶ月が経ったので、上位にランクインした作品を読んでみた方も多いのではないでしょうか。
ただ、ランクインした作品を読んでいくだけというよりも、読んで面白かった作品にタイプが近い本を読んでいく、という方が、どんどんと読む本・好きな本が広がっていくと思うのです。
なので、「このミス2010年版」のベスト10にランクインした作品にタイプの近いところがある作品を、自分がこれまで“「このミス」完全読破”として読んできた本の中から選んで、「数珠つなぎオススメ本ガイド」として紹介してみたいと思います(“「このミス」完全読破”のナンバリングでいうと、No.1~280の作品が対象です)。
ただ、1作品につき2作品ずつ紹介していく形なので、“数珠つなぎ”とはいえないかもしれませんが、この企画を何年も続けていけば自然と数珠のように繋がっていくのではないか、ということでご勘弁ください。
ちなみに、ほとんど同じようなタイプの作品を紹介するには、これまで読んできた冊数が少なすぎるので、一部分で繋がりのある作品を紹介するような形となります。
そのため、読んだ人が面白く感じた部分がつながっているとは限らないので、その点をご了承した上で参考にしてみてください。
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まずは多くの人が読んだであろう1位の「新参者」。
この作品の魅力というのは、短編作品が見事に繋がり長編作品へと姿を変える鮮やかさなど色々あると思いますが、その中でも、日本橋人形町の老舗の店を舞台とした人情ミステリという部分を取り上げまして、“歴史ある職業を描く人情ミステリ”繋がりで紹介してみましょう。
まずは、2009年版14位の「芝浜謎噺」。この作品は落語を題材にした連作中編集なのですが、「新参者」同様に作品全体を貫く長編的な面白さもありますし、落語家という昔ながらの職業と本格ミステリとが見事に融合されていますからね。ちなみにこの作品はシリーズ2作目なので、1作目の「道具屋殺人事件」から読むことをオススメします。
続いては、ちょっと職業的に上記2作とタイプが異なりますが、ジャズを題材とした「落下する緑」。ジャズミュージシャンが主人公ということで、ジャズと関わる日常の謎系のミステリが繰り広げられまず。本格ミステリ部分はもちろん、演奏シーンの迫力も圧巻ですね。
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2位 : ダブル・ジョーカー / 柳広司 <感想記事はこちら>
ミステリ的な演出が光るスパイ・サスペンス作品ですが、ここではそういった作品内容としての繋がりではなく、「2009年版」2位のNo.162「ジョーカー・ゲーム」に続くシリーズ2作目ということで、“高評価を得たシリーズ1作目に負けず劣らずの評価を「このミス」で得たシリーズ2作目”作品を紹介してみましょう。
まずは、「このミス」と共に成長を遂げている“新宿鮫シリーズ”。1作目のNo.27「新宿鮫」が1991年版の1位となり一躍人気作家の仲間入りとなったわけですが、2作目の「毒猿 新宿鮫II」も、1992年版で2位と順位を下げたものの、“20年ベスト”で10位に入るなど1作目に負けない人気がいまだにありますからね。
続いては、シリーズ5作品が全て「このミス」で5位以内に入っている“探偵沢崎シリーズ”。デビュー作No.11「そして夜は甦る」がいきなり2位にランクインしたわけですが(1988年)、翌年に発表された「私が殺した少女」で今度は1位に輝くなど、デビュー作がフロックでなかったことを証明する以上の評価を得ています。“20年ベスト”でも3位に入っているほどですからね。
ちなみにこの3作品は、“シリーズ1作目の翌年に発売”という共通点もあります。
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3位 : Another / 綾辻行人 <感想記事はこちら>
綾辻行人が大復活を遂げた、ホラーと本格ミステリが見事に融合した超大作なので、ここはもちろんホラーと本格ミステリが見事に絡んだ作品を紹介してみましょう。
まずは、“ホラーと本格ミステリの融合”ということで真っ先に名前が出てくる、刀城言耶シリーズ3作目の「首無の如き祟るもの」(2008年版 5位)。「Another」が現代的なホラーなのに対して本作は土俗的ホラーなので、ホラーのタイプ的には大きく違うのですが、ホラー作品としても本格ミステリ作品としても一級品の仕上がりですからね。
続いては、「堕天使拷問刑」。2009年版22位とランクインまであとわずかだったのですが、現代的なホラーに本格ミステリが絡んできますし、青春物語的な面もありますし、終盤にはパニックアクション的な展開になるなど、「Another」の魅力にかなり近い作品だと思うので、タイトルや表紙絵に躊躇することなく手にしてほしいですね。
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この作品は、リドル・ストーリーという結末をあえて書かないタイプの作中作が重要な役割を担っているので、ここでは作中作が作品全体に大きな影響を与えている作品を紹介してみましょう。
まずは、2009年版20位の「倒立する塔の殺人」。全体的な作風は表紙を見てわかるように全然違うのですが、この作品も「追想五断章」と同様に“作中作を辿っていくと現実の謎が明らかになっていく”といった内容なので、作品に込められた魅力は近いものがあるのではないでしょうか。
続いては、2003年版13位の「鏡の中は日曜日」。現実の話と小説の中の話が交互に出てくるのですが、話が進むにつれて両話が絡み合いながら核心に近づいていくという凝った作りで、さらにはアッと驚く展開も待ち受けていますからね。
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5位 : 犬なら普通のこと / 矢作俊彦+司城志朗 <感想記事はこちら>
沖縄を舞台としていることが作品に大きな影響を与えているクライムノベルなので、地方色が活かされた作品を紹介してみましょう。
まずは、2007年版2位の「制服捜査」。北海道を舞台にした警察小説ですが、田舎町という狭い社会だからこそ起こりうる事件に対し、主人公があくまで駐在という立場を守りながら真相に迫っていきます。
続いては、2008年版14位の「悪果」。この作品も警察小説で、大阪を舞台としているのですが、とにかく関西弁によるやり取りが小気味良いです。それに、警察なのにかなり極悪なので警察小説というよりもクライムノベル的だし、作品全体に湿度の高いねっとりとした雰囲気が漂っているので、「犬なら~」とかなり近い魅力があるのではないかと思います。
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