『鬼女の鱗』 泡坂妻夫 > 「このミス」完全読破 No.270
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.270
『鬼女の鱗』 泡坂妻夫
「このミス」1988年 : 18位
受賞(候補) : 「時代小説 マストリード100」 選出
* シリーズとして選出
総合ランキング : 「時代小説短編オールタイムベスト」
8位作品 『辰巳菩薩』 収録
年度ランキング :
読始:2009.12.11 ~ 読終:2009.12.12
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <1992年2月>
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「このミス」創刊号(1988年)でNo.258「奇跡の男」と共に2作同時ランクイン、つまりは「このミス」初の2作同時ランクインを果たしたのが、この泡坂妻夫です(ちなみに、島田荘司もこの年にNo.273「異邦の騎士」とNo.276「切り裂きジャック・百年の孤独」で2作ランクインを果たしています)。
一方が、現代を舞台に軽いタッチで書かれた「奇跡の男」で、もう一方がこの時代小説ミステリである「鬼女の鱗」と、対称的な2作がランクインしているのも面白いところです。
そしてこの作品は、泡坂妻夫の記念すべき最初の時代小説でして、「自来也小町」「凧をみる武士」「朱房の鷹」「鳥居の赤兵衛」「織姫かえる」と計6作品&20年も続く“宝引の辰捕者帳シリーズ”の1作目でもあります。
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幕末の江戸を舞台とした短編集で、表題作のほか7編収録されています(ちなみにこのシリーズはいずれも短編集です)。
シリーズ名にもなっている“宝引の辰”とは、当時警察のような仕事をしていた岡っ引きという職に就いていた辰という人物のことで、一応主役ではあるのですが、この辰が語り手となる話は一つだけだし、主役というよりは、各話に共通して出てくる人物、といった印象でもありましたね。
内容の方は、泡坂妻夫らしさが光る心憎い仕掛けが盛り込まれている話揃いでして、紋章上絵師や奇術師といった作家とは別の一面を上手く活かしたトリックもあって、ミステリ小説としての読み応えは当たり前ですが抜群でした。
そしてそんなミステリトリックを通して語られるのが、泣かせる人情話などの人間ドラマでして、この部分もなかなか味わい深いものがあるので、時代小説に対して食わず嫌いである方でも、読み始めてしまえばすんなりと楽しめるのではないでしょうかね。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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