「2010 本格ミステリ・ベスト10」
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年末に発売されるミステリランキング本の中でも、「このミステリーがすごい!」の一番のライバルといえるのは、この「本格ミステリ・ベスト10」なのではないでしょうか。
まあ、1位作品が売れに売れたり、小説の帯にもよく名前が使われたり、そして自らもベストセラーとなることが恒例となっている「このミス」に比べれば、マニアックなミステリ好きにしか読まれていない感じで知名度は雲泥の差があるし、年末なのに置いていない本屋も結構あるくらいなので、ライバルなどとはとてもじゃないけど言えないような現状ではあるのですけどね。
しかし、「このミス」の方が年々ミステリ界の総括的な企画が減ってきて、単なるランキング&読切掲載本と化してきているため、一年の総括・資料的な役割として、「このミス」だけでなくこの「本ミス」も保存しておかないわけにはいかなくなってしまいました(なので今回初めて「本ミス」も購入しました)。
と、ここで、「このミス」と「本ミス」の違いを簡単に説明してみますと、「このミス」の対象となるのはミステリー&エンターテイメント本で、すなわちこんなタイトルに関わらずミステリ本だけが対象となっているわけではないのに対し、「本ミス」の方は、そのタイトル通り、ミステリの中でも“本格ミステリ小説”に限定されたランキングなのです。
なので、同じミステリ本のランキングでもその対象作品は異なるため、それぞれ独自のランキングが作られるので面白いのですが、「このミス」の予想はするのに「本ミス」の予想は今まで一度もしていないのは、それが理由だからなのですねェ。
両誌共に対象となるのは“本格ミステリ作品”のみなのですが、その“本格ミステリ作品”の中でも、「このミス」で票を集めやすい作品と、「本ミス」で票を集めやすい作品とでは、微妙に食い違ったりするからなのです。
そのため、「本ミス」の予想をしようとするならば、「本ミス」に合った本を選んで読まなければならないので、「このミス」予想のために読んだ作品のみで「本ミス」の予想をするわけにはいかないのです。
まあでもせっかく「本ミス」も買ったことですし、2009年は104冊という自分としてはかなり多めの対象作品を読んだということもあるので、一体「本ミス」にランクインした本のうちどのくらい読んでいたのか、そしてもし「本ミス」予想するのであればどの本を読んでいたのだろうか、といったところを、「このミス」との比較と共にちょっと見てみたいと思います。
○:事前に読んでいた作品 ●:読みたかったけど読めなかった作品
▲:「本ミス」を予想するのであれば必ず読んでいたであろう作品
×:全くノーマークだった作品
()内は、このミス順位
“ランク外” : 68位以下(投票数0も含む)
タイトル部分のリンク先は、当ブログの感想記事です
01位 : ○ 密室殺人ゲーム2.0 / 歌野晶午 (18位)
02位 : ○ 身代わり /西澤保彦 (26位)
03位 : ○ Another / 綾辻行人 (3位)
04位 : ○ 追想五断章 / 米澤穂信 (4位)
05位 : ○ 新参者 / 東野圭吾 (1位)
06位 : ○ 鷺と雪 / 北村薫 (11位)
07位 : ○ ダブル・ジョーカー / 柳広司 (2位)
08位 : ▲ ここに死体を捨てないでください! / 東川篤哉 (ランク外)
09位 : ● 後悔と真実の色 / 貫井徳郎 (28位)
10位 : ○ リバース / 北國浩二 (51位)
11位 : ○ 秋期限定栗きんとん事件 / 米澤穂信 (10位)
12位 : ▲ 神国崩壊 / 獅子宮敏彦 (ランク外)
13位 : ▲ 電氣人閒の虞 / 詠坂雄二 (20位)
14位 : ○ 龍神の雨 / 道尾秀介 (9位)
15位 : ○ 福家警部補の再訪 / 大倉崇裕 (ランク外)
16位 : ▲ 少女探偵は帝都を駆ける / 芦部拓 (45位)
16位 : ▲ 三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 / 倉阪鬼一郎 (39位)
18位 : ○ 密室の如き籠るもの / 三津田信三 (36位)
19位 : ○ うまや怪談 / 愛川晶 (59位)
20位 : ○ 玻璃の家 / 松本寛大 (51位)
21位 : ○ 花窗玻璃 / 深水黎一郎 (68位)
22位 : ▲ 天帝のみぎわなる鳳翔 / 古野まほろ (45位)
23位 : ○ 六つの手掛り / 乾くるみ (93位)
24位 : ○ 智天使の不思議 / 二階堂黎人 (83位)
24位 : ○ 少女たちの羅針盤 / 水生大海 (ランク外)
26位 : ○ 踊るジョーカー / 北山猛邦 (121位)
27位 : ○ 鬼の跫音 / 道尾秀介 (15位)
27位 : ○ 花と流れ星 / 道尾秀介 (59位)
29位 : × 死蝶天国 / 柄刀一 (ランク外)
30位 : ○ 逃亡者 / 折原一 (138位)
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例年だと、「本ミス」のランキングを見ても読んでいない作品が多かったのですが、今回は新作を多く読んでいたこともあってか、ベスト20のうち14作品(ベスト10のうち8作品、30位以内だと22作品)も読んでいました。
しかも、読んでいない作品も、読みたかったけど時間的な理由などで読めなかった作品や、「本ミス」予想をするのだったら確実に読んでいたであろう作品ばかりでしたから。
そして、いつもなら“こんな作品出てたの?”ってその存在すら知らなかった作品が意外と多かったのに、今回は全ての作品を存じ上げていたのは、やはり月別ランクイン候補作品を始めた成果でしょうね。
あと気になったのは、「このミス2010年版」ランキング(順位)予想で17位に予想したものの“21位以下の作品(15点以上)”欄にも入らなかった「智天使の不思議」が「本ミス」では24位、25位に予想したものの「このミス」で59位だった「うまや怪談」が「本ミス」では19位、26位に予想したのに“21位以下の作品(15点以上)”欄にも入らなかった「福家警部補の再訪」が「本ミス」では15位と、自分が「このミス」予想で高い順位に予想したのに票があまり入らなかった本格ミステリ作品が、「本ミス」では上位に来ていることです。
それに、個人的にかなり面白かった「六つの手掛り」が、「このミス」では“21位以下の作品(15点以上)”欄にも入らなかったのに「本ミス」では23位に入っているので、本格ミステリ作品に関しては、自分の好みや(予想における)評価と相性が良いのは、「このミス」ではなく完全に「本ミス」の方なのですね。
というわけで、「2010 本格ミステリ・ベスト10」のランキングも今回初めてチェックしてみたのですが、こういうことをしてしまうと、やっぱり「本ミス」のランキング予想もしてみたくなっちゃいますねェ。
なので2010年(2011年版)は、「このミス」予想を想定した作品選びをするのはもちろんですが、その中で「本ミス」向きの作品も出来るだけ読んでいって、年末には「本ミス」予想も出来ればなぁ、と思っています。
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