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2009年11月23日 (月)

『花窗玻璃 シャガールの黙示(天使たちの殺意)』 深水黎一郎 > 「このミス」完全読破 No.251

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.251

 『花窗玻璃 シャガールの黙示』 深水黎一郎

   * 文庫化の際に『花窗玻璃 天使たちの殺意』に改題

   「このミス」2010年版 : 68位

   受賞(候補) : (「本格ミステリ大賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 21位
              「黄金の本格ミステリー」 選出

   読始:2009.11.2 ~ 読終:2009.11.2

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : ノベルス <2009年9月>

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深水 黎一郎

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 No.104「エコール・ド・パリ殺人事件」、「トスカの接吻」に続く、“芸術探偵シリーズ”の第3弾です。

 シリーズ物ということで、前2作に引き続きメインキャラクターが登場するわけですが、話が直接繋がっているわけではないし、このメインの登場人物のキャラは掴みやすいので、いきなりこの作品から読んでも問題ないのではないでしょうかね。

 ちなみに、タイトルになっている花窗玻璃(はなまど・はり)とは“ステンドグラス”のことです。

 それでは何故にこんな見たこともないような漢字表記が使われているのか?ということは、実際に読んでみればすぐにわかるでしょう。

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 というわけで、西洋美術・オペラと来て、今回のテーマはステンドグラス美術となっています。

 このステンドグラス美術に関係するような事件が、フランスのランス大聖堂などを舞台に、作中作のような形で語られていきます。

 この作中作の文章にはなかなか凝った仕掛けが施されているのですが、面白い試みながらも少々読みにくいこともあって、これに抵抗を感じる人もいるでしょうね。

 それに、このシリーズお馴染みの芸術に関する蘊蓄がこれでもかと語られるし、この文章の仕掛けに対しても蘊蓄で返されるくらいなので、好き嫌いが分かれそうな作風なのですが、でもこの厚みがある中にも軽さが感じられる雰囲気にはハマってしまう人も多いのではないかと思います。

 そして本格ミステリ部分に関してですが、これがまた一筋縄ではいかなくて、さらりと読んでしまった人にはとりたてて驚きも真新しさもない本格ミステリとしか感じられないものの、深く読んで“シャガールの黙示”という副題に込められた意味に気づいた人にだけ本来の仕掛けが明らかにされるので、読む人の評価すらも大きく分かれそうです。

 なので、読み手に本格ミステリ読解力が問われてしまうという少々怖い作品でもあるのですが、ただ自分的には、普通に見ていたら何てこともない絵が、事件の真相が明らかにされた途端に強烈な意味が込められた涙を誘う絵に変貌するという仕掛けにも、素直にシビれてしまいましたけどね。

 ちなみに、舞台になる大聖堂の写真が表紙の折り返し部分に載っているので、それを見ておいた方が作中の舞台状況が理解しやすいかもしれません。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★★   鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★      感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “深水黎一郎” 関連記事 】

  > No.973 「ストラディヴァリウスを上手に盗む方法」
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  > No.725 「世界で一つだけの殺し方」
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  > No.564 「言霊たちの夜」
  > No.488 「人間の尊厳と八〇〇メートル」
  > No.307 「五声のリチェルカーレ」
  > No.251 「花窗玻璃 シャガールの黙示」
  > No.104 「エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ」


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