*「このミステリーがすごい!」では、1990年より翌年度表記に変更(つまり、満年齢から数え年に変更)しているので、この“2010年版”は、2009年(2008年11月~2009年10月)に発売された作品のランキングとなっています。
なので、2010年(2009年11月~2010年10月)に発売された作品を対象とした“2011年版”のランキング予想に関しては、「このミス2011年版(2010年)」ランキング(順位)予想の方をご覧ください。
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初めて予想した昨年(2008年)に続いて、今年も「このミステリーがすごい!2010年版」のランキング(順位)予想をしてみたいと思います。
以下、予想を発表する前に長々と前口上を書いているので、読むのがメンドクサイというような方は、構わずに読み飛ばしてしまってください。
昨年の予想(「このミス2009年版」ランキング(順位)予想参照)に関しては、初めての予想だったにしてはそれなりに当たっていたのではないかと思うも、反省点も多々ありました。
その反省点については「このミス2009年版」ランキング(順位)予想 <反省会>に詳しく書いてあるのですが、それを踏まえた上で今年の予想を行わなければなりません。
そこで新たに考えだし実施した企画が2つほどありました。
まず一つ目は、「月別ランクイン候補作品」。これは、「このミス」の候補作品を月ごとにまとめることで、有力作品を読み逃すどころか、チェックすらしていなかった、という最悪の事態を避けるために実施したものです(昨年はその最悪の事態になってしまったので.....)。
そしてもう一つが、なにも年末になってから予想するのではなく、読み終わった時点でランクインする確率を予想してしまおうという、「このミス2010年版」上半期終了時のランクイン作品予想および「このミス2010年版」下半期のランクイン作品予想。
この2つの企画を引っ提げて、準備万端で今回の予想に挑むことになったのです。
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そして昨年との大きな違いといえば、読んだ対象作品の数の差でしょう。
昨年は、予想を行った時点で、37の対象作品を読み終えていました。
これでも自分の中では結構多い方と思っていたのですが、ただ、昨年の予想の結果が出た上での、今年の予想に対する一番の教訓というのが、“なるべくたくさん対象作品を読む”だったので、今年は昨年越えが目標の一つでもありました。
そしたら驚くことに、昨年より3倍近い104もの対象作品を読んでしまったのですねェ。
そのため、昨年よりも予想のし甲斐があるってもんですが、これまた昨年の反省(読まずにランクインと予想した作品が、一つもランクインせず)から、今年は自分が読んだ作品だけで予想したいと思います。
まあ、まだ読んでいない中にも、もしかしたらランクインするかもしれないな~という作品がいくつもあるわけですが、でもそんな作品が入ってしまったらもうそれはしょうがない、ときっぱり諦めることにしました。
ちなみに、この予想を行った時点で読み終えていた、2010年版対象の104作品については、ここに書くとなるとかなりの長さになってしまうので、「このミス2010年版」上半期終了時のランクイン作品予想および「このミス2010年版」下半期のランクイン作品予想にてご確認ください。
なお、これはあくまで素人である自分が個人的に予想しているものです。
なので、結果が出てみたら、1位に予想した作品がランクインしていなかったりとか、全然見当違いな予想であったりする可能性もありえますので、その点をご了承した上で参考にしてみてください。
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そして予想を書く前に、今年の「このミス」予想をする上での注意点というか特徴をまとめてみましょう。
まずは、本格ミステリ系作品が不作であったこと。
まあ、不作というよりは弾不足といった感じで、締め切り間際に「新参者」と「Another」という大作が出て形にはなりましたが、それまでは良作揃いではあるものの、核となるような作品がありませんでしたからね。
だからといって、本格ミステリ系作品のランクインが少なくなるというわけではないでしょう。
本格ミステリ系作品を特に好んでいる投票者が何人もいるので、その年のレベルに関係なく本格ミステリ系作品にある程度の票が入ると思うので、結局は全体から占める割合というのは例年と変わらないと思うのですよね。
なので、本格ミステリ系作品に関しては、他ジャンルの作品との比較以上に、同ジャンル内での比較によりランクイン作品が決まってくるのではないでしょうか。
そしてもう一つの大きな特徴が、「このミス」常連作家が有力候補作品を複数発表した、ということです。
具体的に言えば、佐々木譲が4作品(そのうち「このミス」にもランクインしている人気シリーズの続編が3作)、今野敏が警察小説だけで3作品、道尾秀介と米澤穂信も3作品、東野圭吾・歌野晶午・奥田英朗・篠田節子・湊かなえが2作品など。
その多くが、どの作品が上にくるのかすら予想が難しいような状況なので、これらの作家の作品の場合は、他作家作品との比較以上に、作家ごとの作品の順位付けが重要となってきそうです。
というわけで、長々と書いてきたわけですが、いよいよランキング(順位)予想の発表といきましょう。
なお、昨年初めて予想してみて、15~20位と21~30位辺りの票数の差はほんのわずかで、たった一人の投票者のさじ加減で大きく順位が変わってしまうほどだということがわかったので、今回は30位まで予想して、そのうち何作がベスト20にランクインするか、といった感じでやってみたいと思います。
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【 「このミス2010年版」ランキング(順位)予想 】
*タイトル部分のリンク先は、Amazonの詳細ページです
01位 : Another / 綾辻行人 <感想記事はこちら>
02位 : 約束の地 / 樋口明雄 <感想記事はこちら>
03位 : 新参者 / 東野圭吾 <感想記事はこちら>
04位 : 仮想儀礼 / 篠田節子 <感想記事はこちら>
05位 : 同 期 / 今野敏 <感想記事はこちら>
06位 : ダブル・ジョーカー / 柳広司 <感想記事はこちら>
07位 : オリンピックの身代金 / 奥田英朗 <感想記事はこちら>
08位 : 密室殺人ゲーム2.0 / 歌野晶午 <感想記事はこちら>
09位 : 粘膜蜥蜴 / 飴村行 <感想記事はこちら>
10位 : 鬼の跫音 / 道尾秀介 <感想記事はこちら>
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11位 : 乱反射 / 貫井徳郎 <感想記事はこちら>
12位 : 龍神の雨 / 道尾秀介 <感想記事はこちら>
13位 : 風の時/狼の時 / 天城一 <感想記事はこちら>
14位 : 贖 罪 / 湊かなえ <感想記事はこちら>
15位 : 秋期限定栗きんとん事件 / 米澤穂信 <感想記事はこちら>
16位 : ハーモニー / 伊藤計劃 <感想記事はこちら>
17位 : 智天使の不思議 / 二階堂黎人 <感想記事はこちら>
18位 : たまさか人形堂物語 / 津原泰水 <感想記事はこちら>
19位 : ジョニー・ザ・ラビット / 東山彰良 <感想記事はこちら>
20位 : 鷺と雪 / 北村薫 <感想記事はこちら>
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21位 : 暴雪圏 / 佐々木譲 <感想記事はこちら>
22位 : さらば雑司ヶ谷 / 樋口毅宏 <感想記事はこちら>
23位 : 無 理 / 奥田英朗 <感想記事はこちら>
24位 : 追想五断章 / 米澤穂信 <感想記事はこちら>
25位 : うまや怪談 / 愛川晶 <感想記事はこちら>
26位 : 福家警部補の再訪 / 大倉崇裕 <感想記事はこちら>
27位 : 疑心 隠蔽捜査3 / 今野敏 <感想記事はこちら>
28位 : 神器 軍艦「橿原」殺人事件 / 奥泉光 <感想記事はこちら>
29位 : 少 女 / 湊かなえ <感想記事はこちら>
30位 : チェーン・ポイズン / 本多孝好 <感想記事はこちら>
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というわけで、1位に予想したのは「Another」です。
ホラー作品としても本格ミステリ作品としても傑作ですし、なによりかつては館シリーズなどで一世を風靡したものの、最近では一部の人に“終わった作家”とも言われていた綾辻行人の、それを見返すような久々の大作で、新たな代名詞となりそうな評価を受けていますからね。
それに、締め切りギリギリの発売ということで、勢いで上位に投票する投票者も多そうなので、こちらも勢いで1位に予想してみました。
逆に発売から1年近く経つ2位の「約束の地」は、社会派でありながらも様々なエンターテイメントの要素が詰め込まれている傑作なのですが、一般的にはそれほど知られていないので良くても7,8位くらいかな~とも思うも、ここは個人的希望も合わせて思い切って2位に予想してみました。「このミス」では山岳小説に票が集まりやすい傾向がありますしね。
3位の「新参者」は、本格ミステリとしても新たな試みに挑んで大成功していますし、人情ミステリとしても泣けるものなので、日本推理作家協会の理事就任に対するご祝儀的な感じでより上位に投票されるのではないということもあって、このくらいはいくのではないかと。
4位の「仮想儀礼」は、新興宗教を舞台にした人間ドラマも、終盤における圧倒的な暴走っぷりも素晴らしいので、1位であっても全然驚かないですけどね。
5位の「同期」は、まず今野敏の代名詞的な“隠蔽捜査シリーズ”の最新作「疑心」と比べても、サスペンス的にもミステリ的にもこちらの方が上だと思うし、他作家の警察小説と比べてもエンターテイメント度では圧倒的な1位だと思うので。
6位の「ダブル・ジョーカー」は、昨年2位のNo.162「ジョーカー・ゲーム」の続編で、その前作の高レベルを充分保っていたと思うものの、前作を超えるほどのインパクトはなかった感じなので、順位は少し下がってしまうのではないでしょうかね。
7位の「オリンピックの身代金」は、圧巻のサスペンス作品なので1位も狙えるのではないかと思いますが、「無理」との票割れを考えて、ここら辺に入るのではないかと。
8位の「密室殺人ゲーム2.0」は、No.50「密室殺人ゲーム王手飛車取り」(2008年版 12位)の続編ですが、前作を超えるほどではなかったかな~と思うものの、今年の本格ミステリ系作品との比較から、順位はアップするのではないかと予想。
9位の「粘膜蜥蜴」は、今年を代表する問題作になるだろうけれど、一部の評論家に大絶賛されている作品ですし、No.145「バッド・チューニング」(飯野文彦)が13位(2008年版)だったことを考えると、トップ10入りも充分ありえるのではないでしょうか。
そしてかなり悩んだ末に10位に入れた「鬼の跫音」は、道尾作品内の比較としては長編の「龍神の雨」の方が票を集めやすそうではありますが、この「鬼の跫音」の収録作がいくつかの賞にノミネートするなど評価が高いし、例年 道尾作品の中で自分が好きな作品の方(今年の場合は「龍神の雨」)が「このミス」の順位は下になるので、今回もわずかに「鬼の跫音」の方が順位的には上になるかな~って感じで。
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11位の「乱反射」は、ミステリ的な作品ではないけれど、その構成が素晴らしいし、群像劇としても「無理」(奥田英朗)よりもこっちの方が上になると予想してみました。
13位の「風の時/狼の時」は、過去のシリーズ全3作がいずれもランクインしていますし、今回もSRの会を中心に上位票が確定していると思うので。
15位の「ハーモニー」は、本格的なSF作品ではあるものの、デビュー作「虐殺器官」が21位(2008年版)に入っていますし、残念ながら本作が遺作となってしまったこともあって、ぜひともランクインしてほしいのですけどね。
19位の「ジョニー・ザ・ラビット」は、思い切ってランクインすると予想してみましたが、バカミスとしても票を集めるのならば充分可能だと思うのです。
21~30位は、ホントはランクインさせたかった作品ばかりだし、10位内に予想する可能性だって充分ある作品が揃っているのですよねェ。
特に「暴雪圏」とか「無理」なんかは、ランク外に予想するのはかなりの思い切りが必要だったのですが、でも「このミス」ではこういった実績ある作家の大作ばかりがランクインするということにはなりませんからね。
そして30位以下と予想した作品も、ホントは30位以内に入れたかったのだけど、泣く泣く外したものばかりなのです。
昨年より多くの対象作品を読んだので予想も楽になるのかと思っていたのですが、20位以内に予想したい作品が多くなりすぎちゃって、より予想が難しくなってしまいました。
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というわけで、「このミステリーがすごい!2010年版」の予想を行ってみましたが、いかがでしたでしょうか。
ランキングが発表された後には、予想の結果や反省を行う<反省会>をアップする予定なので、そちらもどうぞお楽しみに(後日追記:アップしました > 「このミス2010年版」ランキング(順位)予想 <反省会・総論編>)。
あとは昨年同様に、“自分がもし「このミス」投票者だったら?”ってことで個人的なベスト6を発表する「このミス2010年版」投票者なりきりベスト6も更新しているので、もしよかったらそちらもぜひご覧になってみてください。
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【「このミステリーがすごい!2010年版」関連記事】
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