「このミス2010年版」投票者なりきりベスト6
*「このミステリーがすごい!」では、1990年より翌年度表記に変更(つまり、満年齢から数え年に変更)しているので、この“2010年版”は、2009年(2008年11月~2009年10月)に発売された作品が対象となっています。
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「このミス2010年版」ランキング(順位)予想に引き続き、これまた昨年同様に“投票者なりきりベスト6”を書いてみたいと思います。
「このミス」では、70人を超える読書家(評論家など)の投票を集計し、その結果をもとにその年のランキングが作られます。
もう少し詳しく説明すると、投票者は1人につき6作品に投票することができ、その6作品を1位から6位まで順位付けすることで、1位に10点、2位に9点.....、といった具合にそれぞれ点数が付けられます。全投票者が投じた得点を合計し、その結果がランキングとして発表されるというわけです。
そんな「このミス」投票者になったつもりで自分も6作品選んでみようという企画なのですが、昨年(2009年版)読んだ対象作品が37冊だったのに対し、今年(2010年版)では104冊と大幅に増えたので、この中から6冊のみを選ぶのは、昨年と比較できないくらいに困難な作業となります。
しかも、読後にインパクトの強かった作品や、今の時点で振り返って“面白かったな~”と思う作品、多くの人に薦めたいと思う作品、もう一度読み返してみたい作品、「このミス」で上位に入ってほしい作品などなど、その選択基準によって選ぶ本も大きく変わってくることは間違いないですからね。
なので、どうやって6作品を決めようかと悩みましたが、ここはもう単純に、今の時点で振り返って“あれは面白かったな~”と思う作品を順位付けして、そのうちの6作品を紹介していこう、ということになりました。
ただ、6作品だけを紹介するのも、他にも面白かった作品がいくつもあったこともあって寂しいので、今回は50位からカウントダウン形式で発表していこうと思います(ただ説明を加えているのは上位の6作品のみですが)。
ちなみに、この記事を書いている時点で読み終えていた、2010年版対象の104作品については、ここに書くとなるとかなりの長さになってしまうので、「このミス2010年版」上半期終了時のランクイン作品予想および「このミス2010年版」下半期のランクイン作品予想にてご確認ください。
なお、読後すぐに感じた面白さを表した★評価とはリンクしていないランキングとなっているので、その点ご了承ください。
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* 作品名部分のリンク先は、Amazonの詳細ページです
50位 : 訪問者 / 恩田陸 <感想記事はこちら>
49位 : バギー・イン・ザ・ドールハウス / 齊藤慶 <感想記事はこちら>
48位 : プラ・バロック / 結城充考 <感想記事はこちら>
47位 : 遠い旋律、草原の光 / 倉阪鬼一郎 <感想記事はこちら>
46位 : 悼む人 / 天童荒太 <感想記事はこちら>
45位 : アンダードッグ / 海野碧 <感想記事はこちら>
44位 : ホペイロの憂鬱 JFL篇 / 井上尚登 <感想記事はこちら>
43位 : 虎と月 / 柳広司 <感想記事はこちら>
42位 : 儚い羊たちの祝宴 / 米澤穂信 <感想記事はこちら>
41位 : たまさか人形堂物語 / 津原泰水 <感想記事はこちら>
40位 : 無 理 / 奥田英朗 <感想記事はこちら>
39位 : 花と流れ星 / 道尾秀介 <感想記事はこちら>
38位 : トワイライト・ミュージアム / 初野晴 <感想記事はこちら>
37位 : 踊るジョーカー / 北山猛邦 <感想記事はこちら>
36位 : 逃亡者 / 折原一 <感想記事はこちら>
35位 : 残される者たちへ / 小路幸也 <感想記事はこちら>
34位 : 無貌伝 ~夢境ホテルの午睡~ / 望月守宮 <感想記事はこちら>
33位 : 鬼の跫音 / 道尾秀介 <感想記事はこちら>
32位 : 少女たちの羅針盤 / 水生大海 <感想記事はこちら>
31位 : ダブル・ジョーカー / 柳広司 <感想記事はこちら>
30位 : 粘膜蜥蜴 / 飴村行 <感想記事はこちら>
29位 : 福家警部補の再訪 / 大倉崇裕 <感想記事はこちら>
28位 : 薄 暮 / 篠田節子 <感想記事はこちら>
27位 : 暴雪圏 / 佐々木譲 <感想記事はこちら>
26位 : 最も遠い銀河 / 白川道 <感想記事はこちら>
25位 : 龍神の雨 / 道尾秀介 <感想記事はこちら>
24位 : 螻 蛄 / 黒川博行 <感想記事はこちら>
23位 : 密室殺人ゲーム2.0 / 歌野晶午 <感想記事はこちら>
22位 : デパートへ行こう! / 真保裕一 <感想記事はこちら>
21位 : 1Q84 BOOK 1・2 / 村上春樹 <感想記事はこちら>
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20位 : ハーモニー / 伊藤計劃 <感想記事はこちら>
19位 : 追想五断章 / 米澤穂信 <感想記事はこちら>
18位 : さらば雑司ヶ谷 / 樋口毅宏 <感想記事はこちら>
17位 : 疑心 隠蔽捜査3 / 今野敏 <感想記事はこちら>
16位 : 乱反射 / 貫井徳郎 <感想記事はこちら>
15位 : 無貌伝 ~双児の子ら~ / 望月守宮 <感想記事はこちら>
14位 : 贖 罪 / 湊かなえ <感想記事はこちら>
13位 : オリンピックの身代金 / 奥田英朗 <感想記事はこちら>
12位 : 同 期 / 今野敏 <感想記事はこちら>
11位 : うまや怪談 / 愛川晶 <感想記事はこちら>
10位 : Another / 綾辻行人 <感想記事はこちら>
09位 : 太陽の坐る場所 / 辻村深月 <感想記事はこちら>
08位 : ふたり狂い / 真梨幸子 <感想記事はこちら>
07位 : 少 女 / 湊かなえ <感想記事はこちら>
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【 6位 : 秋期限定栗きんとん事件 / 米澤穂信 】
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延期に次ぐ延期で発売されるのを待ち焦がれていた人気シリーズ第3弾ですが、まあ待ちに待っただけの内容でしたからね。
本格ミステリ的な謎が解けると同時に、主人公2人の本性が浮かび上がってくるという作りには思わずニヤリとしてしまいますし、それがまたなんとも米澤穂信らしいイヤラシサ(といってもスケベな意味ではないです)が全開になっているので、その部分だけでも何度も読み返したくなってしまうし、最終巻となるであろう「冬期限定~事件」への期待もより高まってしまいました。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.250 『秋期限定栗きんとん事件』 米澤穂信
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【 5位 : ジョニー・ザ・ラビット / 東山彰良 】
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ウサギが探偵役を務めるというだけでもなかなかぶっ飛んでいるのに、そのキャラクターがまたウサギとは思えないくらいにカッコ良く魅力的で、それだけでも充分楽しめました。
その上さらに内容の方も、主人公に負けないくらいにかなりのイカレっぷりで、この世界観はまさに最高でしたねェ。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.176 『ジョニー・ザ・ラビット』 東山彰良
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【 4位 : 六つの手掛り / 乾くるみ 】
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本格ミステリとしても、最後のオチにしても、かなり地味でインパクトはなく、読者の10人中8,9人は“地味”の一言で済ませてしまうのではないかとも思うのですけどね。
ただ、その“こういうのが好きな人にだけ楽しんでもらえればいいや”といった微妙なところを突いてくる最後のオチや、かたくなに正統派本格ミステリを貫く男気、そして目次のページにまで仕掛けを加える遊び心など、自分でもよくわからないんだけど、何故かハマってしまったのですよね。
なので、多くの人に薦めたいとは思わないけれど、自分の中ではとても愛すべき作品となりそうです。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.185 『六つの手掛り』 乾くるみ
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【 3位 : 仮想儀礼 / 篠田節子 】
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昨年の“投票者なりきりベスト6”における上位作品のキーワードが“圧倒され度”だったわけですが、今年読んだ作品の中で一番圧倒されまくったのがこの作品です。
新興宗教団体を設立することで巻き起こる人間模様が描かれる序盤~中盤の展開もかなりの面白さですが、やはり圧巻なのは終盤で、怒涛の如く押し寄せてくるような狂気の世界の圧倒感には完全にヤラれてしまいましたからねェ。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.159 『仮想儀礼』 篠田節子
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【 2位 : 新参者 / 東野圭吾 】
新参者 講談社 2009-09-18 売り上げランキング : 355 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
人情物の本格ミステリで、自分の涙腺をちょうどいい具合に突いてくる作品そろいの連作集なので、それだけでも自分の中では高ポイントでした。
ただ、従来の事件捜査ミステリとは一戦を画すような捻りの効いたアプローチに、長編作品として見た時の真相の浮かび上がり方の鮮やかさなど、本格ミステリ的な部分における技には、素人ながらに唸らされてしまったし、思い返す度に“あ~あれは凄かったな~”って感じでしみじみしてしまうので、読んでから時間が経つごとに自分の中での評価が上がっていくほどですからねェ。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.236 『新参者』 東野圭吾
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【 1位 : 約束の地 / 樋口明雄 】
約束の地 光文社 2008-11-21 売り上げランキング : 101377 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
そして2010年版対象作品の中で栄えある1位に選んだのが、この「約束の地」です。
社会派冒険サスペンスなのですが、様々なエンターテイメント的な要素が盛り込まれていますし、人間および野生動物たちの生き様というのが圧倒的な迫力でもって描かれているので、まあとにかくいろんな意味での面白さが身体全体に染み渡るように楽しめました。
「このミス」の方では残念な結果となってしまったようですが、自分の中ではこの作品が群を抜いて断トツの1位でしたね。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.229 『約束の地』 樋口明雄
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