『図地反転(本ボシ)』 曽根圭介 > 「このミス」完全読破 No.234
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.234
『図地反転』 曽根圭介
* 文庫化の際に『本ボシ』に改題
「このミス」2010年版 : 138位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2009.10.3 ~ 読終:2009.10.3
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2009年9月>
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(単行本版の)タイトルになっている“図地反転”とは、図地反転図形のことで、これは多義図形の一種であり、さらに大きくいうと“だまし絵(トリックアート)”や“錯視”の一種です。
この多義図形とは、Aとして見えていたものが、見方を変えることで全く別物のBとしてしか見えなくなってしまうような絵のことをいいます。
具体例としましては、(単行本版の)表紙にも使われている「ルビンの盃」(“壺”にも“2人の人間の横顔”にも見える)を始めとして、“後ろを向いている女性”にも“顔をうずめている老婆”にも見える「妻と老婆」、“アヒル”にも“ウサギ”にも見える「あひるとうさぎ」、“化粧台の前に座る女性”にも“ドクロ”にも見える「化粧台の前の女性」などが有名ですね。
その中でも図地反転図形というのは、形として認識される部分“図”とそのとき背景となる部分“地”が入れ替わる(反転する)ことで、全く別の絵が現れてくる、といったようなものです。
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というわけで、この「図地反転」と名付けられた作品も、Aだと思い疑いもしていなかったものが、真相がわかると同時にBへと姿を変えてしまうような、道尾秀介作品的なものを期待して読んでみました。
そしたら、一瞬で反転してしまうような切れ味というか鮮やかさはありませんでしたね。どうやら、読者に対して錯覚を与えるというわけではなくて、それを登場人物たちに対して行っているような感じでした。
そういった意味ではちょっとガッカリもしたのですが、でも話自体はなかなか面白くて、特に主人公である刑事がだんだんと精神を蝕んでいく展開なんかでグイグイと惹き込まれていきましたからね。
それで“これはクライマックスが凄いことになるぞ~!”と期待が高まっていたのですが、そんな中で突然に物語が終わってしまったのです.....。突然とは言いましたが、残りのページ数からして、嫌な予感はあったわけですが.....。
まあ、そこまでの展開で作者の書きたかったことは全て書き終えていた、ってことなのかもしれませんが、ただ自分の中ではそれまでの展開でクライマックスに向けて勝手に盛り上がっていただけに、なんかジャンプの打ち切り漫画の“オレ達の戦いはこれからだ!”タイプの最終回を読んだような気持ちになってしまったのです.....。
文庫化された際には、その後の話も書き下ろしてほしいものですねェ。
> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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