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2009年6月

2009年6月29日 (月)

週刊少年ジャンプ読切! 「LOCK ON!」 土田健太

 * 連載版の「LOCK ON!」に関しては、週刊少年ジャンプ新連載! 「LOCK ON!」 土田健太(10.2.22)の方をご覧ください。


 「JG1読切祭(ジャンプグレードワンよみきりフェスティバル)」のラストを飾るエントリーNo.5として2009年31号に掲載されたのが、この「LOCK ON!(ロックオン)」です。

 作者の土田健太は、「風影」で第7回ストーリーキングの漫画部門奨励賞を受賞した後、手塚賞や十二傑新人漫画賞で最終候補が続きました。

 そして赤マルジャンプ2008SUMMERに「She Saw Game」が掲載されデビューし、本作にてジャンプ本誌初登場となりました。


 この作品は、見たもの全てを一瞬で覚え二度と忘れない「シャッターアイ」という能力を持っていて、それを活かしてプロカメラマンとしても活躍している男子高校生が主人公です。

 ちなみにこの能力は「She Saw Game」の主人公と同じなのですが、その時は野球漫画だったのに対して、今回は学園ラブコメ的な話に変わっていたので、前作のリニューアル版といった感じでしょうか。

 ほとんど背景が描かれていないこともあってとてもシンプルな印象の絵で、話のテンポも良いのでとても読み進めやすかったです。

 ただ、主人公のキャラクターが幾分地味で目立たなく、ストーリーや演出的にも読切作品の王道から外れることがなかったので、インパクトやこの作品独自の魅力というのはそれほど感じられませんでしたかね。

 個人的には、この絵柄や作風からして、悪役のどす黒さやバトルシーンよりも、コメディ要素やほのぼのとした演出などにより力を入れた方がもっと面白くなるのではないかな~なんて思いました。


 ちなみに、扉絵に付けられている煽り文は、

この構図で 彼女をトラエル!!

☆標的(ターゲット)は逃がさない!! 悪(ワル)も女も!? 激撮読切47P!!

というものでした。


 というわけで、この作品をもって「JG1読切祭」も終了となったわけですが、実は幻の第6弾作品(「どす恋!!またマワシが取れちゃったでゴワス ~先パイとの土俵際のかけひき~」 いぬ・F・まる彦)が存在していたのですねェ。

 まあこれは、作者名を見てわかるように、開催の1週前に掲載された「JG1読切祭」の告知ページと「いぬまるだしっ」の1ページ目が隣同士だったことを利用したネタなのですけどね。

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 【「土田健太」関連記事】

  > 「マイ・アニマル」(ジャンプNEXT! 2013 AUTUMN) (13.9.16)

  > 「LOCK ON!」 土田健太 > 週刊少年ジャンプ読切! (09.6.29)
  > 「LOCK ON!」 土田健太 > 週刊少年ジャンプ新連載! (10.2.22)
  > 「LOCK ON!」 土田健太 <JC1巻買い> (10.6.7)


 【「2009年の読切」関連記事】

  > 「SWOT」 杉田尚 (09.11.21)

 < 第5回 金未来杯 >
  > 「明治百機八匣譚DENGI」 芝田優作 (09.7.27)
  > 「CROWN!」 稲吉慶 小林ツトム (09.8.3)
  > 「north island」 安藤英 (09.8.10)
  > 「世直し伝説!!世奈押郎」 根田啓史 (09.8.24)
  > 「メタリカメタルカ」 水野輝昭 (09.8.31)
  > 「第5回 金未来杯」エントリー作品の中で
           一番面白かった作品を決める投票を実施中です (09.9.2)

 < JG1読切祭 >
  > 「ねこわっぱ!」 松本直也 (09.6.1)
  > 「詭弁学派、四ッ谷先生の怪談」 古舘春一 (09.6.8)
  > 「黒蜜様 参る!」 岩本直輝 (09.6.15)
  > 「ULTIMATE CHASER」 春日真 (09.6.22)
  > 「LOCK ON!」 土田健太 (09.6.29)

  > 「BLUST!」 村田雄介 (09.4.29)

  > 「血風学級怪」 三代川将 (09.4.20)

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  >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2009年6月25日 (木)

『エッジ』 鈴木光司 > 「このミス」完全読破 No.191

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.191

 『エッジ』 鈴木光司

   「このミス」2010年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2009.6.6 ~ 読終:2009.6.9

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本(上・下) <2008年12月>

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鈴木 光司

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 No.86「リング」で一世を風靡した鈴木光司の新作です。

 とはいってもただの新作ではありませんでして、この「リング」シリーズ(他には「らせん」「ループ」)以来となるホラー作品なんですねェ。

 というのも、シリーズ最終作「ループ」を書き上げた後に“ホラー封印宣言”をして、それ以後は違うタイプの作品のみを発表していたのだそうです。

 その封印を10年ぶりに解いて発表されたのが今作。しかも上下巻の大作。ということで、いやがうえにも期待は高まってしまいました。

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 というわけで、「リング」シリーズ以来となる待望のホラー作品という触れ込みなのですが、でも内容は純粋なホラー作品ではないですね。

 そっちの方向に導かれていきそうな展開には何度かなるものの、そのまま行き切ることはないのです。

 なのでホラー作品というよりは、SF・サイエンス・サスペンス作品、または○○○作品といった印象ですね(別に隠すほどのものではありませんが、なるべく情報を知らない状態で読んだ方が良いかと思いまして)。

 そのため、“貞子”的な恐怖を味わいたい!という期待と共に読んでしまうと拍子抜けしてしまいそうなので、あくまで理系サスペンス作品といった意識でもって読み始めた方がより楽しむことができるのではないでしょうか。
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  > 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★         鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★★    気軽に読める度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “鈴木光司”関連記事 】

  > No.191 「エッジ」
  > No.086 「リング」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「遠い旋律、草原の光」 倉阪鬼一郎

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2009年6月22日 (月)

週刊少年ジャンプ読切! 「ULTIMATE CHASER」 春日真

 「JG1読切祭(ジャンプグレードワンよみきりフェスティバル)」のエントリーNo.4として2009年30号に掲載されたのが、この「ULTIMATE CHASER(アルティメットチェイサー)」です。

 作者の春日真は、「ABACUS TRADER」にて「赤マルジャンプ2007SUMMER」でデビュー。

 その後「なまくら」が「赤マルジャンプ2008SPRING」に掲載され、今作にてジャンプ本誌初登場となりました。


 この作品の主人公は、身長180cmのマッチョながら実は小学6年生、という人物です。

 暴漢に絡まれているところを助けてあげた女子高生に一目惚れしてしまうのですが、その女子高生の実家であるカートのサーキット場で恋のライバルと遭遇し、初心者ながらカートで対決する、といった話です。

 カートによるレース場面が主軸ということで、技術的な部分や心理面での駆け引きなんかで、他のスポーツ物とは一味違った魅力が描かれていました。

 そして絵的には、じっくり描き込むよりも勢いで見せるタイプのように思うのですが、ただこういった機械的な素材を扱うのなら、もうちょっと写実的な画風(小畑健のような)の方が合っているように感じましたね。

 それと、レースの状況や心理描写、主人公の過去のトラウマなど、ほとんどが説明的なセリフによって表現されていたので、そういった小難しい部分は極力省略して、絵の動きなどの視覚的インパクトを重視していれば、もっとカートレースならではの迫力が出たのではないかな~なんて思いました。


 ちなみに、扉絵に付けられている煽り文は、

目指すゴールはすぐそこだ!! 真紅のマシンで駆け抜けろ!!

☆少年がその目で見たものは…!? 爽快疾走青春センターカラー47P!!

というものでした。

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 【「2009年の読切」関連記事】

  > 「SWOT」 杉田尚 (09.11.21)

 < 第5回 金未来杯 >
  > 「明治百機八匣譚DENGI」 芝田優作 (09.7.27)
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  > 「north island」 安藤英 (09.8.10)
  > 「世直し伝説!!世奈押郎」 根田啓史 (09.8.24)
  > 「メタリカメタルカ」 水野輝昭 (09.8.31)
  > 「第5回 金未来杯」エントリー作品の中で
           一番面白かった作品を決める投票を実施中です (09.9.2)

 < JG1読切祭 >
  > 「ねこわっぱ!」 松本直也 (09.6.1)
  > 「詭弁学派、四ッ谷先生の怪談」 古舘春一 (09.6.8)
  > 「黒蜜様 参る!」 岩本直輝 (09.6.15)
  > 「ULTIMATE CHASER」 春日真 (09.6.22)
  > 「LOCK ON!」 土田健太 (09.6.29)

  > 「BLUST!」 村田雄介 (09.4.29)

  > 「血風学級怪」 三代川将 (09.4.20)

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2009年6月21日 (日)

『黒百合』 多島斗志之 > 「このミス」完全読破 No.190

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.190

 『黒百合』 多島斗志之

   「このミス」2009年版 : 7位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 4位
               「闘うベストテン」 7位
               「週刊文春ミステリーベスト10」 8位
               「本格ミステリ・ベスト10」 18位

   読始:2009.6.3 ~ 読終:2009.6.5

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2008年10月>

黒百合 (創元推理文庫)黒百合 (創元推理文庫)
多島 斗志之

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 この作品を読み終えたことにより、「2009年版」のベスト10ランクイン作品の読破を達成しました!

 “「このミス」完全読破”という名前でやっていながら、これまで“読破した”と言い切れるようなことは何一つなかったのですが、これでやっと“初のベスト10作品読破達成”ということで、一安心ですね。

 まあ、この「2009年版」に関しては、ランキング発表前にすでに、ベスト10ランクイン作品のうち8作品を読み終えていたので、あんまり“読破した!!”って感じでもないのですが。

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 それでこの作品の内容の方ですが、終戦から数年後という時代における、中学生の男2人と女1人の甘く切ない一夏の青春物語です。

 この3人の話を中心に進んでいくので、ミステリ作品というよりは青春小説のような趣きが全体的にあります。

 ただ、そこに3人とは直接関係しない過去の話が挟み込まれて、それが中心となる3人の話との関連性を匂わすので、そこで“何かあるな”といった不穏な空気を感じながら読むことになるのです。

 そしてあまりクライマックスっぽくない場面において突如、この不穏な空気を一気に吹き飛ばしてしまうくらいに衝撃的な事実が判明するのですねェ。

 この衝撃の事実によって、これまで読みながら頭に思い描いてきた情景が全く違うものに変わってしまうので、これはもう再読せずにはいられませんね。

 とはいえ、切れ味抜群というよりはジワリジワリと効いてくるといったタイプなので、結構好みは分かれそうですが、それでも「2009年版」の締め切りギリギリの発売にも関わらず7位に入っただけある良作でした。

 あと、評論家・豊崎由美によるこの作品の批評を巡って一騒動起きたりとか、この作品の時代設定に関する誤りを検証したブログに作者本人がコメントを残したりなど、物語を離れた部分でも色々と話題に事欠かない作品なので、そちらの方を追っかけてみるのも面白いかも。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★★   おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★      感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “多島斗志之” 関連記事 】

  > No.427 「密約幻書」
  > No.190 「黒百合」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「エッジ」 鈴木光司

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2009年6月16日 (火)

『プラ・バロック』 結城充考 > 「このミス」完全読破 No.189

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.189

 『プラ・バロック』 結城充考

   「このミス」2010年版 : 37位

   受賞(候補) : 「日本ミステリー文学大賞新人賞」受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2009.6.4 ~ 読終:2009.6.4

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2009年3月>

プラ・バロック (光文社文庫)プラ・バロック (光文社文庫)
結城 充考

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 日本ミステリー大賞新人賞を、全選考委員の絶賛と共に受賞した作品です。

 とはいえこの作者は、ライトノベル小説でデビューし、すでに3作品を発表しているのです。

 なので純粋な意味での新人ではないのですが、新たな挑戦の気持ちと共に応募したそうなので、これが再デビューというわけなのですね。

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 内容は、警察小説の要素も組み込まれたサスペンス作品です。

 このジャンルでは、多くのベテラン作家が活躍しているわけですが、そういった人たちの作品と比べると、さすがに重厚感や安定感など劣っているように感じてしまいます。

 ただ、ネットを利用した仮想空間が絡んできたり、視覚的なインパクトを想像させる描写など、新人だからこその魅力も用いているので、ベテラン作家の作品とはまた違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。

 それに、工業地帯が舞台ということもあって、全体的に無機質な雰囲気が漂っているのですが、それが現代的な人間関係の連鎖が描かれているこの作品の中身と見事なまでに合っていて、とても惹かれる世界観が作り上げられていましたね。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★       鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★★★★   主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★         人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★       気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “結城充考” 関連記事 】

  > No.777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
  > No.189 「プラ・バロック」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「黒百合」 多島斗志之

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2009年6月15日 (月)

週刊少年ジャンプ読切! 「黒蜜様 参る!」 岩本直輝

 「JG1読切祭(ジャンプグレードワンよみきりフェスティバル)」のエントリーNo.3として2009年29号に掲載されたのが、この「黒蜜様 参る!」です。

 作者の岩本直輝は、「黄金の暁 -GOLDEN DAWN-」で「ジャンプ十二傑新人漫画賞」の記念すべき第1回(2003年4月期)の佳作&十二傑賞を受賞し、同作品にて「赤マルジャンプ2003SUMMER」でデビューしました。

 その後赤マルジャンプには「窯神」(2004年SPRING)・「解体心書」(2004年SUMMER)・「カラクリリンク」(2008年SUMMER)が、そしてジャンプ本誌には2005年14号に「怪盗銃士(シーフガンナー)」が掲載されているので、ジャンプ本誌登場は2度目となります(もしかしたら抜けている作品があるかも)。


 この作品は、パラレル江戸時代である廻戸(えど)を舞台にした、時代劇コメディ作品です。

 かつて栄華を誇っていたものの今では没落してしまった徳々川家の生き残りである主人公・黒蜜とその付き人・爺の、御家の再興を夢見て埋蔵金を見つけようと奮闘する姿を、ギャグを交えつつ楽しく爽快に描かれています。

 とにかく絵がとても見やすいのが良いですね。ジャンプの王道的なタイプの絵で、本全体をパラパラッと見ても違和感なくハマり込んでいるようですし。

 ただその分、ストーリーや演出面で独自のインパクトや引き付けられるものがあまり感じられなかったですかねェ。みんな時代物の格好しているのに、爺だけはなぜか現代風の格好しているという“なんだそりゃ”なところなんかは結構好きでしたけど。

 なので、すごい原作が付いたら一気に看板漫画を描くほどになりそうとも思うのですが、まあ自分はこの作者の作品を読むのは今回が初めてなので、また近いうちに新作を読んでみたいですね。


 ちなみに、扉絵に付けられている煽り文は、

咲かせてみよう 浪漫の華!!

☆目指せ御家復興!!ドリーム時代劇!! 特別読切Cカラー47P!!

というものでした。

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 【「岩本直輝」関連記事】

  > 「流星症候群」 岩本直輝 > ジャンプNEXT!! 2016 vol.2 (16.4.4)

  > 「黒き妖のゴゴゴ」 岩本直輝 > 週刊少年ジャンプ読切! (14.3.31)

  > 「ジェダの通学路」 岩本直輝 > 週刊少年ジャンプ読切! (13.4.5)

  > 「ここだけの秘密」(ジャンプVS -バーサス-) (13.3.22)

  > 「Section 459」(ジャンプNEXT! 2013WINTER) (12.12.28)

  > 「magico」 岩本直輝 > 週刊少年ジャンプ新連載! (11.2.26)
  > 「magico」 岩本直輝 <JC1巻買い> (11.7.9)

  > 「黒蜜様 参る!」 岩本直輝 > 週刊少年ジャンプ読切! (09.6.15)


 >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2009年6月13日 (土)

『疑心 隠蔽捜査3』 今野敏 > 「このミス」完全読破 No.188

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.188

 『疑心 隠蔽捜査3』 今野敏

   「このミス」2010年版 : 23位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2009.6.3 ~ 読終:2009.6.3

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2009年3月>

疑心: 隠蔽捜査3 (新潮文庫)疑心: 隠蔽捜査3 (新潮文庫)
今野 敏

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 No.57「隠蔽捜査」No.72「果断 隠蔽捜査2」に続く、隠蔽捜査シリーズの第3弾です。

 まあ、今作から読んでもそれなりに楽しむことが出来るとは思いますが、ただ主人公である竜崎のキャラクターをあらかじめ知っていないと本当の意味での面白さは味わうことが出来ないので、いきなりこの作品から読むことは避けたいところですね。

 それに、今作と2作目「果断」の説明やあらすじを読んだだけでも1作目のネタバレ的になってしまうので、やはりこのシリーズは1作目から順に読んでいくべきでしょう。

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 というわけで、主人公の独特なキャラクターが一番の魅力のシリーズですが、今回は特にこのキャラクター面がメインとなって話が進んでいきます。

 というのも、何に対しても誰に対しても動じることなく自分の意思を突き通すことができる主人公にとって、最大最強ともいえるべき敵が現れたことにより、主人公のキャラクター面で初めてブレを見せるからなのです。

 まあ、この敵というのが、これまでのシリーズを読んできた者にとってはかなり意外で信じられないようなものなのですが、そのためもあって、この後どのように物語が進んでいくのか予想できないだけに面白かったですね。

 ただ、そういった部分と事件を追いかけるサスペンス部分との絡みもなかなか絶妙で、それがクライマックスシーンでの爽快さにも見事に繋がっていて、期待を裏切るどころかそれ以上の作品となっていました。

 ちなみに、このシリーズの個人的評価は5→7→8と徐々に上がっていますが、作品個別の評価というのはそれほど変わりはありません。

 つまり、シリーズとしての思い入れが増した分だけ段々と評価点が上がっている、ということですね。第4弾にも今から期待です。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆


   本格ミステリ度 : ★★       鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★★   人間味ドラマ度 : ★★★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★★★    気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “今野敏” 関連記事 】

  > No.1003 「棲月 隠蔽捜査7」
  > No.0914 「去就 隠蔽捜査6」
  > No.0796 「自覚 隠蔽捜査5.5」

  > No.0661 「宰領 隠蔽捜査5」
  > No.0626 「欠落」
  > No.0587 「確証」
  > No.0486 「転迷 隠蔽捜査4」
  > No.0346 「初陣 隠蔽捜査3.5」

  > No.0302 「天網 TOKAGE2 特殊遊撃捜査隊」
  > No.0232 「同期」
  > No.0188 「疑心 隠蔽捜査3」
  > No.0072 「果断 隠蔽捜査2」
  > No.0057 「隠蔽捜査」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「プラ・バロック」 結城充考

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2009年6月12日 (金)

『風の時/狼の時』 天城一 > 「このミス」完全読破 No.187

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.187

 『風の時/狼の時』 天城一

   「このミス」2010年版 : 75位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2009.5.25 ~ 読終:2009.6.3

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2009年4月>

風の時/狼の時 (天城一傑作集 4)風の時/狼の時 (天城一傑作集 4)
日下 三蔵

日本評論社 2009-04
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 「天城一の密室犯罪学教程」、「島崎警部のアリバイ事件簿」、「宿命は待つことが出来る」に続く、天城一傑作集の第4弾にして最終刊です。

 そして、前作と今作の間に作者が亡くなったこともあり、追悼出版でもあります。

 内容の方は、「風の時/狼の時」「沈める濤」の2本の長編に加え、ほぼ1ページのみの超短編も含めた12本の短編、そして巻末には自作解説、山沢晴雄による寄稿、日下三蔵による編者解題が収められています。

 長編が2本というところからもわかるように、この最終刊は、前3作よりも値段もボリュームも格段にアップしていますね。

 それでホントは、前3作が全て「このミス」にランクインしていることからも、続き物ではないとはいえシリーズ第1作から順に読んでいこうと思っていましたが、新作が発売されたとなったら順番を守っている場合ではないので、いきなり今作から読むことにしました。

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 まず第1部は、長編の「風の時/狼の時」。この作品は、1955年に発表された「圷家殺人事件」(「このミス」2004年版で12位にランクインした「「密室」傑作選」に収録)を大幅に改稿したものです。

 太平洋戦争前の時代が舞台となっているのですが、途中で語られる西洋の軍事関連の逸話が大変難しく、一生懸命に字面を追っても全く頭に入ってこないほどだったので、これにはホントに苦労しました.....。

 なので、ミステリとしての本筋の部分もなかなか難解だったのに、そういった逸話の方の難解さに比べたらまだ理解できるものだったので、ミステリ部分をそう難しく感じることなく読めたのは良かったのかも。


 第2部は、長編の「沈める濤」。この作品は、「島崎警部の~」に収録の「特急<<あおば>>」の長編化作品です。

 なお、この長編と短編「感傷的対話」と評論「クィーンのテンペスト」の3部構成(この3作に繋がりはなし)で作られた私家版「沈める濤」がそのまま収録されています。

 こちらの話も戦時中の逸話が多く出てきますが、ただ日本における話がほとんどだったこともあってか、「風の時/狼の時」よりも理解し楽しむことができました。

 ミステリ部分も、表現などが難しかったことは難しかったですが、でもその難解さを楽しむことが出来ましたからね。それに「風の時/狼の時」もこの作品も、いまいちよく理解していなくても、“読み切った!!”という読後感を強引に押しつけられるような有無を言わせぬパワーがあるので、全てを理解していないというモヤモヤ感などはありませんでした。


 第3部は、短編12作品。収録作は、「奇蹟の犯罪(初稿版)」「メチール時代の一神話-あの世のどこかで」「誤算」「三つの扉」「神の言葉」「噂はそよ風のように」「朧月夜」「失われたアリバイ/時計塔」「埋葬」「失われた秘薬」「失われた秘宝」「失われた秘報」。

 いずれも戦中・戦後が舞台で、ミステリ部分も含めてやはり長編同様に難解でしたが、短編ならではの鋭さや鮮やかさを楽しむことができました。

 それに、長編2作もそうですが、この短編集にもシリーズ前3作に収録されている作品の改稿版がいくつもあるので、前3作を読む時の楽しみが出来たのも嬉しいですね。
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  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★★   鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★       おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「疑心 隠蔽捜査3」 今野敏

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2009年6月11日 (木)

『龍神の雨』 道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.186

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.186

 『龍神の雨』 道尾秀介

   「このミス」2010年版 : 9位

   受賞(候補) : 「大藪春彦賞」受賞
            (「吉川英治文学新人賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 14位

   読始:2009.6.1 ~ 読終:2009.6.2

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2009年5月>

龍神の雨 (新潮文庫)龍神の雨 (新潮文庫)
道尾 秀介

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 道尾秀介のNo.169「鬼の跫音」に続く2009年2作目が、この長編作品「龍神の雨」です。

 ドンヨリとした空気が流れる中で不気味な何かが起きるような予感が漂う感じから、全体的な雰囲気はNo.49「シャドウ」No.121「ラットマン」に似た印象ですね。

 ただこれまでの作品とは異なるところもあって、まあ個人的に感じたことなのですが、これまでの道尾作品は、作中で語られているよりも前の段階や冒頭付近に、まだ明らかにされていない不穏な出来事が起きていたりとか、読み手の意識を誤らせるような仕掛けが施されていたりとかを匂わせているので、後方からの攻撃を常に警戒しながら読み進めている感じでした。

 一方でこの作品は、作中で語られるより前や冒頭付近の話にはあまり意識が行かず、これから読み進めていく先に何かすごいことが待ち受けているように思えて、常に前からの攻撃にのみ立ち向かうかの如く読み進めていく感じでしたね。

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 しかし、クライマックスシーンになって真相が判明し、これまで読みながら頭に思い描いてきた絵が間違っていたことが判明し、一体何が起きたのかわからず頭の中が空白になってしまうという、“これぞ道尾作品!”といった要素は、今回も見事なまでに炸裂します。

 とはいえ、昨年の「ラットマン」やNo.117「カラスの親指」ほどの大掛かりなトリックではなくて、結構シンプルな仕掛けでしたね。

 今作は、そんな仕掛けの部分はもちろんですが、それ以外の要素にもかなりの力を入れているような印象で、そのためかこれまでの作品とはまた違った、新たな魅力を味わうことができました。

 ただ、騙しの仕掛けの部分のみを楽しみたいという方なんかは、ちょっと物足りなく思ったりするかもしれませんねェ。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★★   おどろおどろ度 : ★★★★
   熱アクション度 : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★      感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “道尾秀介” 関連記事 】

  > No.0947 「いけない」
  > No.1042 「スケルトン・キー」(後日更新予定)

  > No.0983 「満月の泥枕」(後日更新予定)
  > No.0947 「サーモン・キャッチャー the Novel」
  > No.0910 「スタフ staph」(後日更新予定)
  > No.0827 「透明カメレオン」
  > No.0749 「貘の檻」

  > No.0682 「鏡の花」
  > No.0617 「笑うハーレキン」
  > No.0583 「ノエル -a story of stories-」
  > No.0546 「光」
  > No.0498 「水の柩」

  > No.0432 「カササギたちの四季」
  > No.0396 「月と蟹」
  > No.0340 「月の恋人~Moon Lovers~」
  > No.0312 「蝦蟇倉市事件 1」
  > No.0311 「光媒の花」

  > No.0294 「球体の蛇」
  > No.0233 「花と流れ星」
  > No.0186 「龍神の雨」
  > No.0169 「鬼の跫音」
  > No.0121 「ラットマン」

  > No.0117 「カラスの親指」
  > No.0097 「ソロモンの犬」
  > No.0058 「片眼の猿」
  > No.0049 「シャドウ」
  > No.0041 「向日葵の咲かない夏」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「風の時/狼の時」 天城一

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2009年6月10日 (水)

iPod(iTunes)のサウンドエンハンサー

 最近になって、iPodを聴いていると音が悪くなったように感じられてきました。

 具体的には、ガサガサするというか、クリアーな感じがしないというか、音が割れたり潰れたりするような感じがするというか.....。

 以前はそんなに気にならなかったのですが、かといって以前に比べて悪くなったというわけでもなくて、今頃になって気がついたってとこでしょうか。

 「やっぱりCDで聴くのとは違って、しょうがないのかな~」と諦めかけましたが、そこで前に読んだ音楽雑誌のコラムに“iPodの音が悪いので、なんかの機能を全開にしないことには聴けない”というようなことが書かれていたことを思い出しました(後日追記:それがサウンドエンハンサーのことだと思っていたのですが、よくよく考えてみたらこれはサウンドエンハンサーとは違う機能のことでしたね)。

 そこでiTunesを開いて、そんな感じの機能がないかどうか調べてみたところ、これが怪しいな.....と思ったのが、「編集」→「設定」→「再生」と移動して出てきた“サウンドエンハンサー”という機能です。それでHelpなどで調べてみたら、やはりこの機能のようでした。

 初期設定ではこの機能にはチェックが付いていなかったので、チェックを入れて、つまみを「高」の方にぐい~んと持っていって、iPodを繋げて同期を開始。もしかしたらこの機能を使用したら1曲当たりのデータ量が上がったり、全ての曲を同期し直しになるのかな~と心配でしたが、どちらも心配ご無用でしたね。同期はあっという間でした。

 それでiPodを聴いてみたところ.....、“オッ!クリアーになってる!!”と一瞬思ったのですが、しばらくしたら“あれ?気のせいかな?”と自信がなくなってしまいました......。

 その後にチェックを入れたり外したり、つまみを「高」に持ってったり「低」にしてみたりと色々やって聞き比べてみて、どうやらクリアーになっているようだなぁと納得させて、同期を終了しました。

 それでいつものように外に出掛けつつ聴いてみたら、これがもうハッキリと音がクリアーになっていると実感できたのですねェ。やはり普段の聴き方でないと比較できないってことなんですね。

 ホントに音がクリアーになっていて、音が割れたり潰れたりも気にならない位になったし、一音一音がハッキリと聞こえて来ますから。“今までこんな音があったの!?”って驚いた歌もあったくらいで。

 なので、ヴォーカルの歌を特に聴きたいという方なんかは、他の音が強調されてしまうのでこの機能は使わない方が良さそうですが、ドラムやベースの音なんかもしっかりと聴きたいという方なんかは必ずチェックしておきたい機能ですね。

 iPodを使い始めて3年半を超えたわけですが、ここにきて見事なまでに我がiPodは生まれ変わってしまったので、新鮮な感じでこれから聴くことができそうです。

『六つの手掛り』 乾くるみ > 「このミス」完全読破 No.185

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.185

 『六つの手掛り』 乾くるみ

   「このミス」2010年版 : 93位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 23位

   読始:2009.5.26 ~ 読終:2009.5.27

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2009年4月>

六つの手掛り (双葉文庫)六つの手掛り (双葉文庫)
乾 くるみ

双葉社 2012-03-15
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 No.68「イニシエーション・ラブ」で有名な乾くるみの2009年新作が、この「六つの手掛り」です。

 ただ、「イニシエーション・ラブ」のような単純明快でズバッと驚かされるようなタイプではなくて、昨年出たNo.168「カラット探偵事務所の事件簿(1)」と似たタイプですね。

 その「カラット~」と共通した部分ですが、まずは基本的なところで連作短編集だということ。

 それから、ひょうきんなキャラクターの主人公を軸に軽いタッチで書かれているものの、本格ミステリ的なトリックの部分はかなり本格的で少々難解、というところもですね。

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 一方違った部分ですが、「カラット~」は暗号専門の探偵が主人公ということもあって、暗号的・パズル的なトリックを扱っているのに対して、今回は奇術師が主人公ということもあって、物的証拠を元に心理面を突きつつ謎を解明していきます。

 そして、連作短編のトリを務める仕掛けの部分も違います。

 どちらも「イニシエ~」ほどは大掛かりではないものの、乾くるみらしい仕掛けが施されているのですが、今回は「カラット~」よりもインパクトはなく、読む人によっては特に何も感じることなくさらっと読み終えてしまいそうなくらいで。

 ただこういうのが好きな人なら、読んだ瞬間にゾクッとしてしまったり、後で思い返してついニヤリとしてしまうような仕掛けなのですねェ。

 なので、各話のミステリ的なトリックも含めて結構通好みタイプで、“解る人にだけ解る”といった感じなのですが、ハマる人はかなりハマってしまうことでしょう。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★★   鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★     おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★         主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★★    気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “ 乾くるみ” 関連記事 】

  > No.726 「北乃杜高校探偵部」
  > No.560 「カラット探偵事務所の事件簿2」
  > No.501 「嫉妬事件」
  > No.374 「セカンド・ラブ」

  > No.360 「スリープ」
  > No.185 「六つの手掛り」
  > No.168 「カラット探偵事務所の事件簿(1)」
  > No.105 「クラリネット症候群」
  > No.068 「イニシエーション・ラブ」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「龍神の雨」 道尾秀介

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2009年6月 8日 (月)

週刊少年ジャンプ読切! 「詭弁学派、四ッ谷先生の怪談」 古舘春一

 先週から始まった「JG1読切祭(ジャンプグレードワンよみきりフェスティバル)」ですが、そのエントリーNo.2として2009年28号に掲載されたのが、この「詭弁学派、四ッ谷先生の怪談」です。

 作者の古舘春一は、「王様キッド」で“JUMPトレジャー新人漫画賞”の2008年8月期の佳作を受賞しWeb掲載という形でデビュー(この作品は現在でもウェブ上で読むことが出来ます→集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト)。

 そして赤マルジャンプ2009WINTERに読切作品「アソビバ」が掲載され、本作にてジャンプ本誌デビューとなりました。

 ちなみに、作者の名字の読みは「フルタチ」ではなく「フルダテ」です。


 この作品は、タイトルからも推測できるように、語り口により恐怖を演出する怪談的ホラーです。

 舞台は中学校で、催眠術的効果のある話術で怪談話を語るのが得意な変人国語教師・四ッ谷文太郎と、“怖がりながらも最後まで聞かずにはいられない性格”と“奇妙な悲鳴”をその教師に気に入られていつも振りまわされている女子生徒・中島真が主人公。

 奇妙な死亡事故を元に主人公教師が怪談話を創作し、それを広めることで真相を明らかにする、という展開なのですが、善人というわけではない主人公のキャラクターや、真相を小出しにしつつ興味を最後まで引っ張る構成などから、ホラーといっても絵やストーリーで純粋な怖さを追求するというよりは、この独特の空気が漂う雰囲気を楽しむタイプのようですね。

 そして絵も、静止の場面は上手いのに動きがあるとゴチャゴチャしていて見にくくなるな~と思っていましたが、見慣れていくと、この作品の不思議な魅力にとても合っているように見えてきました。

 一般受けはしなさそうだけど、絵もストーリーも演出もなかなか味があるので、好きになったらハマってしまうような個性派の漫画家になりそうな感じがします。


 ちなみに、扉絵に付けられている煽り文は、

―怪しい話を、 聞きたくないかい?

☆新たな恐怖はここから始まる!
      新時代ロジカルホラー読切C45P!!

というものでした。


 ↓↓ この読切作品が収録されている単行本はこちら! ↓↓
 

詭弁学派、四ツ谷先輩の怪談。 3 (ジャンプコミックス)詭弁学派、四ツ谷先輩の怪談。 3 (ジャンプコミックス)
古舘 春一

集英社 2010-09-03
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 【「古舘春一」関連記事】

  > 「ハイキュー!! 番外編」 古舘春一 > 週刊少年ジャンプ読切!  (16.4.25)

  > 「ハイキュー!!」 古舘春一 <JC1巻買い> (12.6.18)
  > 「ハイキュー!!」 古舘春一 > 週刊少年ジャンプ新連載! (12.2.18)
  > 「ハイキュー!!」 古舘春一 > 週刊少年ジャンプ読切! (11.4.24)
  > 「ハイキュー!!」(ジャンプNEXT! 2011WINTER) (11.1.9)

  > 「詭弁学派、四ッ谷先輩の怪談。」 古舘春一 <JC1巻買い> (10.6.9)
  > 「詭弁学派、四ッ谷先輩の怪談。」 古舘春一 > 週刊少年ジャンプ新連載! (10.3.1)
  > 「詭弁学派、四ッ谷先生の怪談」 古舘春一 > 週刊少年ジャンプ読切! (09.6.8)


 >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

『パラドックス13』 東野圭吾 > 「このミス」完全読破 No.184

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.184

 『パラドックス13』 東野圭吾

   「このミス」2010年版 : 121位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
                 (文庫ランキング) 10位

   読始:2009.5.21 ~ 読終:2009.5.22

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2009年4月>

パラドックス13 (講談社文庫 ひ 17-32)パラドックス13 (講談社文庫 ひ 17-32)
東野 圭吾

講談社 2014-05-15
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 東野圭吾の2009年新作は、SFパニック小説です。

 自分は別に東野圭吾作品をほとんど読んでいるというわけではないので詳しいことはわからないのですが、どうやらこのジャンルの作品を発表するのは初のようですね。

 とはいえ、どんなジャンルに挑戦しても見事なまでに自分のものにしてしまう作家だけあって、このSFパニック物も初挑戦とは思えないくらい、かなりのレベルで書かれていたので、さすがですよねェ。

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 内容の方は、話の冒頭にSF的な超常現象が起きて、それに巻き込まれた人々の極限状態でのサバイバル生活が描かれていきます。

 そのサバイバーたちというのが個性豊かな面々でして、それぞれが興味深いバックグラウンドを持っています。そしてそれらの設定がこのサバイバル生活の中で上手く活かされているので、ドラマ性の面でもなかなか読み応えがありました。

 そんなメンバーの中でもリーダー格となるのが、クールで知的で理詰めで動くような人物ということもあってか、パニック物といっても泥臭さはあまり感じられず、全体的に清潔感が漂っているというか、秩序的な趣だったので、そこなんかが東野圭吾らしいな~と思いましたね。

 なので、読んでいて東野圭吾作品であることを忘れてしまうくらいに新たな一面を見せてくれるものの、でもそんな中に東野圭吾らしさが存分に詰め込まれている作品でした。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★         鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★★★    主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★       人間味ドラマ度 : ★★★★
   下ネタエッチ度 : ★★        感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “東野圭吾” 関連記事 】

  > No.1079 「希望の糸」
  > No.1047 「沈黙のパレード」(後日更新予定)
  > No.0873 「人魚の眠る家」
  > No.0832 「ラプラスの魔女」
  > No.0784 「マスカレード・イブ」

  > No.0757 「虚ろな十字架」
  > No.0720 「疾風ロンド」
  > No.0690 「祈りの幕が下りる時」
  > No.0655 「夢幻花」
  > No.0598 「禁断の魔術 ガリレオ8」

  > No.0580 「虚像の道化師 ガリレオ 7」
  > No.0537 「ナミヤ雑貨店の奇蹟」
  > No.0526 「歪笑小説」
  > No.0479 「マスカレード・ホテル」
  > No.0457 「真夏の方程式」

  > No.0437 「麒麟の翼」
  > No.0418 「鳥人計画」
  > No.0377 「白銀ジャック」
  > No.0342 「プラチナデータ」
  > No.0285 「カッコウの卵は誰のもの」

  > No.0266 「魔球」
  > No.0236 「新参者」
  > No.0184 「パラドックス13」
  > No.0130 「聖女の救済」
  > No.0085 「流星の絆」

  > No.0053 「赤い指」
  > No.0045 「容疑者Xの献身」
  > No.0022 「超・殺人事件」
  > No.0010 「秘密」
  > No.0006 「名探偵の掟」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「六つの手掛り」 乾くるみ

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2009年6月 7日 (日)

「このミス2010年版」月別ランクイン候補作品(09年6月)

 「2009年版」に引き続いて、「このミステリーがすごい!2010年版」でも“ランキング発表前に対象作品を読んでしまおう!”というのをやってみようと思います。

 それで、日頃から“どんな作品がランクインしそうかな?”って色々とチェックしているので、どうせならそれを発売された月別にまとめてしまおう!ということで始めたのがこの「月別ランクイン候補作品」です。

 ここでは、とりあえず「このミス」の対象になりそうな作品をピックアップして、“作者の過去実績”や“なんとなくの前評判”を元に、推測されるランクインの可能性ごとに3段階に分けて並べています。

 なお、これを書いている時点では作品をまだ読んでいない状況になると思うので、この3段階の分類は、作品を読んだ上で決めたものではありませんので、その点ご了承ください。 

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 >> 2009年6月発売の最有力候補っぽい作品 <<


 【 贖 罪 / 湊 かなえ 】

贖罪 (ミステリ・フロンティア)贖罪 (ミステリ・フロンティア)
湊 かなえ

東京創元社 2009-06-11
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  > 美少女殺害事件の犯人の顔を、
  > どうしても思い出せない四人の少女たち。
  > 彼女たちの運命は、
  > ある一言によって大きく狂い始める──
  > 『告白』の著者が放つ本屋大賞受賞後第一作!


 「告白」で本屋大賞受賞後の第一作という注目が集まる中での発売となるのがこの作品です。

 今回は連作短編集ということでこれまでの2作品とは趣が違いそうですが、デビュー作の「告白」、そして同じく2010年版対象の「少女」と比較してどのような出来か、といったところがランクインに影響してきそうです。


 【 「このミス」20位以内ランクイン実績 】
   * タイトル部分のリンク先は、当ブログの感想ページです

   > 「告 白」  2009年版 4位

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 >> 2009年6月発売の有力候補っぽい作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページです
 * 作者名横のカッコ内は、過去の「このミス」20位以内ランクイン作品数

   六月の夜と昼のあわいに / 恩田陸 (8作)
   目 線 / 天野節子
   パラドックス実践 雄弁学園の教師たち / 門井慶喜

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 >> 2009年6月発売の候補っぽい作品 <<

 * 作品名部分のリンク先は、「Amazon」の詳細ページです
 * 作者名横のカッコ内は、過去の「このミス」20位以内ランクイン作品数


   智天使の不思議 / 二階堂黎人 (3作)
   立ち向かう者たち / 東直己 (2作)
   現代百物語 / 岩井志麻子 (1作)
   不可能犯罪コレクション / 二階堂黎人・編
   ふちなしのかがみ / 辻村深月
   トリニティズ・ウォー / 今井歩
   リバース / 北國浩二
   リビドヲ / 弐藤水流
   灰の旋律 / 堂場瞬一
   棟居刑事の恋人たちの聖地 / 森村誠一
   骸骨ビルの庭 / 宮本輝
   念写探偵 加賀美鏡介 / 楠木誠一郎
   萩原重化学工業連続殺人事件 / 浦賀和宏
   探偵小説のためのノスタルジア「木剋土」 / 古野まほろ
   セレネの肖像 / 小前亮
   夜になっても走り続けろ / 倉阪鬼一郎
   ゴルディオンの結び目 / 後藤均
   赤い月―マヒナ・ウラ / 森福都
   宵山万華鏡 / 森見登美彦
   COW HOUSE / 小路幸也
   さよならの次にくる <卒業式編> / 似鳥鶏

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  「このミス2010年版」月別ランクイン候補作品(09年5月) <<<

  >>> 「このミス2010年版」月別ランクイン候補作品(09年7月)


 「月別ランクイン候補作品」の一覧は、「このミス」完全読破 読破本リストにてご覧ください。

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2009年6月 6日 (土)

BANZAI / 木村カエラ (CD)

BANZAI(初回限定盤 DVD付)BANZAI(初回限定盤 DVD付)
木村カエラ 木村カエラ avengers in sci-fi

コロムビアミュージックエンタテインメント 2009-05-08
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 木村カエラの今年2枚目のシングルです。

 これまでも他アーティストによるプロデュース・シングルを発表しているわけですが、今回はavengers in sci-fiによるプロデュース作品なのです。

 このバンドの名前は今回初めて知ったのですが、“エレクトロやダンスのアプローチを取り入れつつロックの新境地を切り開くバンド”と称されているようですね。

 この説明だけでもう“自分好みの音楽に間違いない!”と確信できそうな感じなのですが、実際にこの歌を聴いてみたら、その確信は間違いではありませんでした。

 まあとにかくアレンジがカッコ良いです。ダンスビートを刻みながらもロックのパワフルさがみなぎっていて、音が走り出すような感覚を受けてしまうくらいで。

 メロディ的にもそんなにキャッチーなインパクトはないのですが、ちょっとサイケデリックな雰囲気があって、良い味出してますからね。

 ただ、そんな個性的でカッコ良いアレンジに負けることなく、それでいてこの魅力的な部分を十二分に引き出して、自分の歌にしてしまえる木村カエラのヴォーカルはすごいな~と改めて思いました。

 なのでこれからもドンドンと様々なアーティストとのコラボで曲を作っていってもらいたいですね。

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 【 「木村カエラ」 関連記事】

  > BANZAI / 木村カエラ (CD) (09.6.6)
  > 「Baby cruising Love / Perfume」 & 「Jasper / 木村カエラ」 (08.2.15)

『誤審(誤審死)』 麻野涼 > 「このミス」完全読破 No.183

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.183

 『誤審』 麻野涼

   * 文庫化の際に「誤審死」に改題

   「このミス」2010年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2009.5.14 ~ 読終:2009.5.15

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年11月>

【文庫】 誤審死 (文芸社文庫)【文庫】 誤審死 (文芸社文庫)
麻野 涼

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 冤罪事件をテーマにした、社会派ミステリー作品です。

 なので、堅苦しい感じの真面目な作品なのかと思って、読むのにあまり気乗りしなかったのですが、読み始めてみたら全然そんな印象はなくて、エンターテイメント作品として充分楽しめる内容でした。

 冒頭から冤罪事件について語られるのですが、これなんかもサスペンスというよりもまるで本格ミステリ作品が始まるかのように興味深く謎めいていましたし、その冤罪事件で犯人にされてしまった人物の家族である主人公も、そんな不幸な身の上に負けないような精神的に強い人物なので、あんまり弱者の立場が強調されたりとか不幸話の連続みたいな展開ではなかったですからね。

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 そして読み進めていけばわかるのですが、一応この作品のテーマは冤罪ではあるものの、それを上回るほどのテーマもありまして、それはズバリ“復讐”。

 “復讐劇”といば、No.127「告白」湊かなえ以降ちょっとした流行りになっているような感じもしますが、この作品もそういった系統に含まれるようなタイプといえるかも。

 でもこの作品における復讐劇というのは、それほどインパクトのあるものではなく、特別派手さもありません。

 ただ、それだからこそ、現実的にありえそうな復讐と感じてしまって、まるで自分がそれを受けているような気分をリアルに味わうことになったので、読んでいると嫌~な汗が全身から流れてくるかのようですからねェ。

 そんな復讐劇に加えて、サスペンス要素もミステリ的展開もなかなか読み応えがあるので、なかなかの掘り出し物だった、って感じでしたね。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★★       主キャラ魅力度 : ★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★    感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「パラドックス13」 東野圭吾

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2009年6月 5日 (金)

『レッド・マスカラの秋』 永井するみ > 「このミス」完全読破 No.182

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.182

 『レッド・マスカラの秋』 永井するみ

   「このミス」2010年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2009.5.18 ~ 読終:2009.5.19

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年12月>

(P[な]3-2)レッド・マスカラの秋 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[な]3-2)レッド・マスカラの秋 (ポプラ文庫ピュアフル)
永井 するみ

ポプラ社 2016-09-02
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 No.142「カカオ80%の夏」に続く、シリーズ第2作目です。

 今回も前作同様、主人公の女子高生が、友達のために素人探偵となって謎の真相を探っていく、ガーリッシュ・ハードボイルド作品となっています。

 前作を読まずにいきなり今作から読んでもそれほど問題はないと思いますが、ただ、今回の登場人物のほとんどが前作から引き続いての登場となっているし、その関係性なんかも前作を読んでいないと分かりにくそうでもあるので、前作から順番に読んでいった方が楽しめるでしょうね。

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 それで今回も、主人公ならではの行動力とひらめき、そして主人公を助ける仲間たちの力などもあって、謎の真相へと向かって突き進んでいきます。

 しかし今回は、そんなハードボイルドな流れの延長線上で、まるでお祭り的な盛り上がりを見せる展開となるのです。これなんかまるで映画的な感じの盛り上がりで、また前作とは違った魅力が作られていますね。

 ただ、主人公やその仲間の非常識な行動は完全スルーなのに、その一方でそれ以外の人達の非常識な行動に対しては徹底して悪く醜く描かれているので、そこでちょっと自分的には話に乗りきれませんでしたねェ。
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  > 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★        鬼畜グログロ度 : ★
   ビックリ驚愕度 : ★★         おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★       気楽に読める度 : ★★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


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2009年6月 4日 (木)

『エクステンド』 鏑木蓮 > 「このミス」完全読破 No.181

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.181

 『エクステンド』 鏑木蓮

   「このミス」2010年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2009.5.14 ~ 読終:2009.5.15

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年12月>

エクステンドエクステンド
鏑木 蓮

講談社 2008-12-20
売り上げランキング : 463688

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 京都を舞台とした警察物の作品です。

 主人公は、生粋の京都人である新人女性刑事で、新人ならではの奮闘や成長などを中心にして、事件解決までの話が語られていきます。

 そんな主人公とコンビを組むのが、出向してきたキャリア組の警部。

 なので、キャリアと平刑事という警察小説では定番の関係だけでなく、上司と新人の関係、そして男女における刑事としての感覚の違いなどを、このコンビだけで全て表してしまうことが出来るのですねェ

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 そしてこのコンビが挑む殺人事件というのが、その最初の現場の状態からして奇妙で謎めいているので、冒頭から興味をひかれてしまいます。

 その後の展開も、真相に近づいて来たかと思ったらいきなりグルリと状況が一変してしまったりと、なかなか読み応えありましたね。

 警察小説といえば、オヤジ臭が漂うような暑苦しい雰囲気を感じて敬遠している方もいると思いますが、この作品は新人女性刑事が主役ということもあって爽やかな印象があるし、それでいて警察小説の魅力的な要素が詰め込まれているので、特にそんな方にぜひともオススメしたい作品です。

 オヤジ臭漂うような警察小説も好きな自分としては、そういった作品なんかに比べると軽い印象があるものの、そこがまた京都が舞台の作品としてとても合っているように感じられるし、サスペンス的な面白さも充分だったので、ぜひとも続編が書かれることを期待したいですね。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★        鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★       主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★      感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★       気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


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2009年6月 1日 (月)

週刊少年ジャンプ読切! 「ねこわっぱ!」 松本直也

 * 連載版の「ねこわっぱ!」に関しては、週刊少年ジャンプ新連載! 「ねこわっぱ!」 松本直也の方をご覧ください。


 今週号(2009年27号)から5回に渡って、「JG1(ジャンプグレードワン)読切祭(よみきりフェスティバル)」という新企画が行われます。

 そのトップを飾ったのが、エントリーNo.1「ねこわっぱ!」です。

 作者の松本直也は、2005年に「ネコロマンサー」で「ジャンプ十二傑新人漫画賞」の十二傑賞を受賞し、同作品にて同年の赤マルジャンプ2006WINTERでデビュー、そして今回初の週刊少年ジャンプ掲載となったようです。

 この作品の主人公は、化猫に育てられた人間の女の子・タマ。

 この化猫というのが神社の神様でして、この神社に願い事に来た金髪高校生の願い(両親の離婚により離れ離れになった妹に会いたい)をかなえるため、化猫仕込みの超人身体能力で暴れまわるという、ドタバタコメディです。

 この主人公は、一般常識がない上に超人的パワーなので、アラレちゃん的魅力のあるキャラクターですね。

 そして、育ての親(化猫)のキャラや全体的な絵から、ほのぼのとした雰囲気のあるコメディ作品でした。


 ちなみに、扉絵に付けられている煽り文は、

“願い”があれば ここにおいでー!!

☆神様は猫で女の子!?奇想天外!
      猫神コメディー読切C(センター)カラー47P!!

というものでした。


 ↓↓ この読切作品が収録されている単行本はこちら! ↓↓
 

ねこわっぱ! 2 (ジャンプコミックス)ねこわっぱ! 2 (ジャンプコミックス)
松本 直也

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  > 「ねこわっぱ!」 松本直也 > 週刊少年ジャンプ新連載! (09.11.9)
  > 「ねこわっぱ!」 松本直也 <JC1巻買い> (10.3.5)


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  > 「SWOT」 杉田尚 (09.11.21)

 < 第5回 金未来杯 >
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  > 「CROWN!」 稲吉慶 小林ツトム (09.8.3)
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  > 「ねこわっぱ!」 松本直也 (09.6.1)
  > 「詭弁学派、四ッ谷先生の怪談」 古舘春一 (09.6.8)
  > 「黒蜜様 参る!」 岩本直輝 (09.6.15)
  > 「ULTIMATE CHASER」 春日真 (09.6.22)
  > 「LOCK ON!」 土田健太 (09.6.29)

  > 「BLUST!」 村田雄介 (09.4.29)

  > 「血風学級怪」 三代川将 (09.4.20)

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