『バギー・イン・ザ・ドールハウス さかしまの世界』 齊藤慶(t.o.L) > 「このミス」完全読破 No.178
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.178
『バギー・イン・ザ・ドールハウス さかしまの世界』 齊藤慶(t.o.L)
「このミス」2010年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2009.4.23 ~ 読終:2009.4.30
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本(上・下) <2009年2月>
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「このミス」では、No.47「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明(2007年版 1位)やNo.145「バッド・チューニング」飯野文彦(2008年版 13位)など、一般受けはしないもののマニア的な評価をされているような作品が度々ランクインするのですが、今年のその枠の候補になったりしないかな~と思いつつ読んでみたのがこの作品です。
作者の齊藤慶は、M.kunoと共にt.o.Lとして主に映像や音楽の分野で活動している人で、原作・監督・脚本・音楽・アートディレクションを務めた劇場アニメ映画「TAMALA2010」ではカナダファンタジア映画祭で賞を貰うなどの活躍ぶりです。
そんな人がミステリ小説の世界に参入してきたということで注目してしまうのですが、やはりそういった経歴を考慮した上で想像できる作品世界の雰囲気を裏切らないような作品でしたね。
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CMや音楽PVなどを手掛ける日本の新進気鋭の映像クリエイターが映画界に進出すると、その多くは“見た目は派手で迫力があるけれど、中身が軽く薄っぺらい感じがする”といった評判の作品となるように思うのですが、この作品も、全体的な設定や個々のエピソードなど刺激的な空気を放っているものの、全体的には軽い雰囲気が漂っていて、圧倒されるほどの迫力や重み・厚みといったものは感じられません。
ただ、これが逆にこの作品の中では絶妙な効果を演出していて、薄気味悪い世界観や事件などがより薄気味悪く思え、得体の知れない不気味さが漂っていて大変良い感じでした。
そして演出面やストーリー面でも、とんでも系な方向に飛んでいきそうになりながらも、踏ん張りつつ基本レールに留まって走り続けたので、悪い意味でのキワモノ的な作品にはなってなくてちょっと安心しました。
まあこの部分は、結構ぶっ飛んだものも期待していたので物足りなくも思ったのですが、でも終盤以降にはそういったところでも充分楽むことができる展開になりましたからね。
全体的な雰囲気としては山口雅也の外国舞台物、そして探偵役を務める主人公がいつのまにか自分探しの物語に巻き込まれているような感じがNo.119「ディスコ探偵水曜日」舞城王太郎に似た感じがあったことからも、この作品が自分好みだったことがわかります(どちらも比較対象よりは薄味ですが)。
ただ、この作品以上に次作に期待が高まってしまいますねェ。またこのような小説を書く予定があるのかわかりませんが。もし発表されるのであれば、今作よりさらに遠慮なくぶっ飛んだ作品を読みたいですね。
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> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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