『ジョーカー・ゲーム』 柳広司 > 「このミス」完全読破 No.162
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.162
『ジョーカー・ゲーム』 柳広司
「このミス」2009年版 : 2位
受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞
「吉川英治文学新人賞」受賞
(「大藪春彦賞」候補)
総合ランキング : 「2001-2010新世紀「本格短編」ミステリオールベスト」
20位作品 『ジョーカー・ゲーム』 収録
「時代小説短編オールタイムベスト」
52位作品 『XX』 収録
年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 3位
「本屋大賞」 3位
「ミステリが読みたい!」 8位
「闘うベストテン」 8位
「本格ミステリ・ベスト10」 12位
読始:2009.2.23 ~ 読終:2009.2.25
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2008年8月>
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この「ジョーカー・ゲーム」は、個人的にとても因縁深い作品なのですよね.....。
というのも、「このミス」2009年版ではランキング発表前に対象作品を何冊か読んでいまして、ランクイン作品を事前に全て読んでしまうくらいの意気込みでいたのですが、「このミス」2位を始め各ランキングで上位に入ったこの作品を、読んでいないばかりかチェックすらもしていなかったのです.....(この話の詳しいことは「「このミス2009年版」対象作品を事前に読んでしまおう!<反省会>」で)。
なので、この本を目にするたびに自分の痛恨の失態を思い出し、胸中穏やかでなくなってしまうのですが、でもそのおかげで「月別ランクイン候補作品予想」という企画を思い付くことが出来たわけですから、結果オーライなのですけどね。
そんなわけで、作品の中身以外の面でとても思い出深い作品となったのでした。
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それで肝心の中身の方ですが、戦前の日本を舞台にしたスパイ小説(短編集)です。
スパイ養成学校と、そこのボスである中佐が話の軸となるのですが、特にこの中佐の存在感がとてつもなく魅力的ですね。この人が出てくると、あまりの迫力に読んでいる自分までもが背筋を伸ばしてしまいそうなくらいで。
ただ、ストーリーの中でのこの中佐の関わり方は、それぞれの話ごとに全く趣きを変えているので、存在がよりミステリアスに感じられ、魅力度を増していくのです。
話ごとに変わるのは中佐の関わり方だけでなく、シチュエーションもストーリーもかなりヴァリエーションに富んでいて、全く関連性がないようにも思うのですが、ただ読み進めていくと、物語の基盤となる部分は全話を通して共通していることがわかるのです。
そしてミステリ的な面白さも全話共通したもので、派手さはないのだけれど、じっくりと読ませてくれるし、それでいて息つかせぬほどのスリルや捻りの効いた驚きなどを味わうことができるので、これはもう良作という言葉がピッタリな作品でした。
ただ、“かなりの評価を受けた作品だ”というのを知った上で、期待した上で読んだからか、それほどの傑作を読んだという読後感はありませんでした。もちろんその評価に値するくらいに面白かったのだけれど、クライマックスの盛り上がり的なものや読み切った感が乏しかったとでもいいましょうか。
そうしたら、現在雑誌の方で続編を連載中とのことでして、つまりは今作で完結したわけではなかったので、この読後感にも納得できました。というか、これで完結しなかったことがもうホントに嬉しかったですねェ。
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> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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