『倒錯の死角』 折原一 > 「このミス」完全読破 No.153
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.153
『倒錯の死角』 折原一
「このミス」1988年 : 12位
受賞(候補) :
総合ランキング : 「本格ミステリ・ベスト100」 58位
年度ランキング :
読始:2009.1.19 ~ 読終:2009.1.23
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <1999年10月>
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アッと驚くどんでん返し系の叙述ミステリというのは、なるべく“そういった作品だ”ということを知らずに読んだ方が楽しめるはずです。
なので、この“「このミス」完全読破”で感想を書くときも、果たしてそういったタイプの作品であることを書くべきかどうなのか、といったところで悩んでしまうのですよね。
ただ、中には“叙述トリックの名手”と呼ばれる作家も存在しまして、そういった作家の作品であれば、事前に作品のタイプを知っていたとしても、“騙されるか、見破るか”といった楽しみ方も出来るし、そう易々と見破ることが出来ないくらいにレベルが高いので、安心して“叙述ミステリだ”と書くことが出来るのです。
そしてこの折原一も、そんな“叙述トリックの名手”として名前の挙がる作家なのです。
そんなわけなので読むのが楽しみだったわけですが、ただ、最初にどの作品を読むかで少し迷ってしまいました。
というのも、「倒錯のロンド」という作品で江戸川乱歩賞に応募し、プロの作家となったのですが、最終候補に残ったものの受賞には至らなかったため、この作品でデビューとはならなかったのです。
その後に手直しされて発表され、「このミス」にもランクインしたわけですが、その前に長編処女作としてすでに発表されていたのがこの「倒錯の死角」だったのです。
つまり、作品が発表された順番でいくと「倒錯の死角」→「倒錯のロンド」なのだけれど、作品が書かれた順番でいくと「倒錯のロンド」→「倒錯の死角」となるので、どちらを先に読むべきか、これが結構難しい選択となったのですねェ。
まあ、実際にはそれほど悩みはしませんで、やはり発表順というか、まあ“「このミス」完全読破”ということもあって、「このミス」にランクインした順番に読んでいくことに決めたのでした。
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というわけでこの作品は、“倒錯シリーズ”の第一弾となる作品です(もちろん書かれた順番でいけば第二弾ですが)。
“叙述トリックの名手”による評価の高い作品というわけで、“騙されるか、見破るか”といった気持ちで読んでみたのですが、やはりトリックが複雑に絡み合っていて、どこがメインの騙しの部分なのかさえも掴ませないほどの巧妙さだったので、ものの見事に騙されてしまいました。
ただそれだけに、No.2「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶午やNo.16「ハサミ男」殊能将之のような“単純ながらも切れ味鋭い驚き”というのはなかったし、そのトリックもかなり強引な印象も受けました。
なので、この作品は叙述ミステリの玄人向けかな?とも思うのですが、それでも叙述ミステリ初心者の方が評論家ぶらずに素直に楽しめそうな感じだし、どちらとも言えないですかね。
まあ“どちらにもオススメ”といった結論でいいのではないでしょうか。
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> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.407 「追悼者」
> No.338 「赤い森」
> No.325 「倒錯のロンド」
> No.231 「逃亡者」
> No.153 「倒錯の死角」
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