『チェーン・ポイズン』 本多孝好 > 「このミス」完全読破 No148
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.148
『チェーン・ポイズン』 本多孝好
「このミス」2010年版 : 104位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2009.1.1 ~ 読終:2009.1.3
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2008年11月>
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講談社創業100周年を記念して「書き下ろし100冊」というシリーズが2008年11月から始まったのですが、吉田修一のNo.195「元職員」と共にその第1弾に選ばれたのがこの作品です。
人生に絶望し死を考えるようになった女性の元に謎の人物が現れ、「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか? 1年頑張ったご褒美を差し上げます」と提案する場面からこの話は始まっていきます。
ここで“1年後には何が待ち受けているのか?” “それまでの1年の間にどんな出来事が起こるのか?”といった感じで、この作品を読む上で興味を持つべき点や注目するべき点がハッキリとした形で提示され、それがとても気になるぐらいに魅力的なので、読む前の期待度はとても高かったですね。
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そして主人公の興味深き1年間の物語が始まっていくわけですが、この1年後というのが、主人公と同様に読んでいる自分にもとっても大きな到達点に感じられてきます。そのため、そこに至るまでに起こる数々のエピソードが単なる場面で終わらず、1年後にどのように影響していくのか?といった興味が加わるので、ちょっとした出来事であっても大きな意味を持ちそうに思えてくるのですよね。
そしてそこに、その大きな到達点である1年後の話として、この女性の死に関連する出来事について独自に調査する雑誌記者を主人公とした話が並行する形で書かれるのですが、1年後に向けて進む話(女性が主人公)と、1年後の時点から過去へと掘り下げていく話(雑誌記者が主人公)が交互に出てくることで、一つ一つの出来事が持つ意味が過去・現在・未来と時空を超えるほどに興味深くなるので、この構成は“上手いな~”と唸ってしまいました。
ただ、その内容の方は、社会問題とか人生訓的なものが感じられて、それはこの作品のテーマとしても素晴らしいものだとは思うのですが、自分としてはエンターテイメントに徹した面白さを期待していたのですよね。なので、そういった部分で話に乗りきれずに一歩引いてしまったりもしたので、終盤を迎える頃までは、このままなら★2つくらいかな、と思ってました。
しかし、クライマックスへと到達したならば、これがもうかなり驚かされてしまったのです。全く予期していなかっただけに、唖然呆然としながらも、なんだか嬉しくなっちゃいましたね。
そんなわけで、終盤までが★2つ、クライマックスが★4つで、総合的には間をとって★3つってところでしょうか。
自分的にはそんな感じでしたが、読む人によっては逆転しそう(終盤までが★4つ、クライマックスが★2つ)ですかね。「このミス」的には自分の評価に近くなるんじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
(後日追記)
この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。
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> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 読み終り爽快度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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