『ありふれた死因』 芦川澄子 > 「このミス」完全読破 No139
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.139
『ありふれた死因』 芦川澄子
「このミス」2009年版 : 14位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 12位
読始:2008.12.4 ~ 読終:2008.12.12
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2007年10月>
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「このミス」では、本格ミステリ系の超ベテラン作家の作品、特に1950~60年代くらいに活躍した作家の復刻版的作品集が毎年のようにランクインしています。
ここ最近の例だと、No.63「離れた家」山沢晴雄や「X橋付近」高城高、天城一の作品集「天城一の密室犯罪学教程」「島崎警部のアリバイ事件簿」「宿命は待つことができる」などがそれに当たりますね。
そういった作品は、実は特定のグループ、まあ具体的に言ってしまえばSRの会(ミステリーファンクラブ)に関係する人達による投票が大部分を占めている場合が多いので、組織票のような意味合いで読者の一部から批判的に思われているところがあるのだそうです。
まあ自分としては、“「このミス」完全読破”ということで読む本を決めているので、「このミス」以前の作品には手が伸びにくくなってしまうわけで、こうやって堂々と一昔前の作品を読むことが出来るので、結構ありがたいですけどね。
そして今年のこの枠でのランクインとなったのが、この「ありふれた死因」なのです。
ちなみにこの作者は、巻末に収録されている資料集などを読んでみると、やはりかつてSRの会と深い繋がりがあった方のようですね。
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さて作者の芦川澄子は、鮎川哲也(故人)夫人なのですが、夫同様に作家として活躍していました。しかしその活動期間は1959~64年の5年間だけと短く、発表された作品もそれほど多いわけではないです。
とはいえ、「愛と死を見つめて」が探偵小説懸賞募集で一等に入選するなど評価は高かったようですが、この「ありふれた死因」は、その5年間に発表された全作品が収録されている、集大成的な作品なのですね。
内容は、密室や凶器などの物質的な本格ミステリというよりは、女性ならではの視点から描かれた心理的なトリックが冴え渡るミステリ作品といったところでしょうか。
今から50年も前の作品ですが、時代背景などにはさすがにそれを感じるものの、登場人物たちの心理描写などはいまとそれほど変わらないように読めたので驚きましたね。それに作品全体にさっぱりとした小気味良さがある中に、毒の要素が結構散りばめられているので、古臭さなど全く感じることなく楽しむことができました。
個人的には、主人公が異国の地で出会った老人の奇妙な告白を聞くことになる「道づれ」が、ホラーテイスト溢れる流れに引き込まれ、オチも見事に決まったので、特に気に入りましたね。
あと、そういったかつての作品だけでなく、最近書かれたコラム的な書き下ろしや自註自解が収録されているのも、なんとも嬉しい限りです。
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> 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 読み終り爽快度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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