『疾走』 重松清 > 「このミス」完全読破 No.132
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.132
『疾走』 重松清
「このミス」2004年版 : 14位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2008.4.20 ~ 読終:2008.11.17
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2003年8月>
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まずはなんといってもこの衝撃的な表紙絵ですね。
文庫版では上下巻合わせて一つの絵になっていますが、ハードカバー本では1冊にこの絵がドーンと描かれているので、初めてこの本を手に取った時には、肝っ玉を抜かれてしまうくらいに驚いてしまいました。
そして中身の方もこの表紙絵に負けず劣らずの衝撃作でして、主人公の少年に、これでもかと言うくらいに次から次へと不幸の連続が襲い掛かってくるという、なんとも重く哀しく救いのない物語なのです。
そしてその不幸というのも、あらゆる手段で主人公の身に降り懸かってきまして、精神的にも肉体的にも傷を負った痛みが、話が進むほどに激しさを増してくるのです。
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自分的にはそういった話は、たとえこの後事態が一変し幸せな結末を迎えるのだとわかっていたとしても、とても読み進め辛くなってしまうのですが、この作品の場合は、とても状況が好転するとは思えないばかりか悪化する一方だというのに、不思議と読むのが嫌になどならず、逆に早く先を読み進めたくなりました。
それは、そう思わせるほどの主人公像が作られていたからなのではないでしょうかね。とても読んでいて辛い話なのですが、“ただ辛い目に合っている少年”というだけではない何かを感じさせてくれるため、この壮絶なるストーリーから目を逸らすことなく読むことが出来たのかも。
あとは、主人公の物語を終始“おまえは”という二人称で語りかけてくるように書かれているのですが、そのためにこの物語が自分自身のために用意されたかのように感じられ、自分が物語世界の中に入り込み、物語を体感している感覚にもなりました。
なので、主人公と同一化するくらいにその痛みをリアルに感じられもしたし、その一方で“おまえは”と呼びかける側に身を宿して、主人公の物語を一歩引いた位置から見守っているようでもあるので、その両極端な感覚もこの作品に引き込まれた所以でしょうか。
まあとにかく表紙絵にも内容にも圧倒されまくる作品なのですが、読み終えた後で、とても救いがなくただただ不快でしかない物語だと感じる人もいれば、作品全体に広がる暗闇の中から垣間見える、か細くも力強い光に対して感動を受け取る人もいるでしょうね。
というわけで、かなり人を選ぶタイプの作品なのですが、まあこの表紙を見て“読んでみよう!”と思うような方なら充分に楽しめるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★ 鬼畜グログロ度 : ★★★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 読み終り爽快度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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