『聖女の救済』 東野圭吾 > 「このミス」完全読破 No.130
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.130
『聖女の救済』 東野圭吾
「このミス」2009年版 : 18位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 4位
「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(文庫ランキング) 4位
「週刊文春ミステリーベスト10」 5位
「ミステリが読みたい!」 12位
読始:2008.11.10 ~ 読終:2008.11.10
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2008年10月>
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昨年には連続ドラマ化、そして今年秋には映画化され物凄い人気となった「探偵ガリレオ」シリーズですが、その盛り上がりも最高潮に至るかというタイミングで新作が2作も発売されました。
1つは短編集の「ガリレオの苦悩」。そしてもう一つがこの待望の長編作品「聖女の救済」です。
前作No.45「容疑者Xの献身」から大きく変わった点は、主要キャラクターが1人増えたことでしょうね。
それは、主人公・湯川学の相棒的役割となる女性刑事・内海薫なのですが、このキャラクターは実はドラマ化の際に新たに作られたもので、それが原作の方に逆輸入されるという、大変珍しい形となったのです(ちなみにこのキャラは「ガリレオの苦悩」の方にも出てきます)。
<後日追記 : と思っていたのですが、「このミステリーがすごい!2009年版」の“このミス座談会”を読んでみたら、内海薫が登場したのは小説版の方が早かったのだそうです (内海薫が初登場した「落下る」(「ガレリオの苦悩」に収録)が雑誌に掲載されたのが2006年で、ドラマが放送されたのが2007年)>
そのため、自分は昨年放送されたドラマ版の最初の数話しか観ていないのにもかかわらず、この内海薫が出てきたら、演じていた柴咲コウが話しているようにしか読めなくなってしまったのですよね。
そればかりか、今度は湯川学が出てきたら、それを演じていた福山雅治に、しかも本人というよりはモノマネ・バージョンで話しているようにしか読めなくて、ホント困ってしまいました.....。
ただ、最初はこの2人だけがハッキリとしたキャラクターとして浮かび上がってくるので、頭の中で曖昧な世界と明瞭な世界が不協和音を奏でていて非常に読み辛かったのですが、だんだんと慣れてきましたね。でもやっぱりドラマを観てるような感覚にはなっていましたけど。
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さて内容の方なのですが、これが驚くほど繊細な本格ミステリなんですねェ。
前作「容疑者Xの献身」の時は、本格ミステリ部分も凄かったけれど、やはり特筆すべきなのは感動的なドラマ部分でした。それゆえの大ヒット&好評価だったのだと思います。
しかし今回は、普通今のブームだったらそういったドラマ性の部分を強調してさらなるヒットを狙いそうなのに、その前作で見せたドラマ性の部分は極力排除して、その分を本格ミステリ部分に注ぎ込んでいるように感じました。そう、まるで前作での“本格か否か論争”に対する作者自身の答えを提示するかのように。
ただ、その本格部分はとても地味で細々としたものなのですが、この謎を解いていく過程というのは唸ってしまうくらいに読み応えがあるのです。そして最後に導き出される答えというのが、これがまた背筋がゾクッとするようなものでして(この“背筋がゾクッ”は、恐怖的なものではなくて、“まさかそんな.....”って感じの意味です)。
そこに至って、本格ミステリの中からドラマ性の部分が強烈に存在感を示し出してくるのですねェ。「容疑者Xの献身」とはタイプが違うものの、同じ位に強烈なものを感じることができました。
なので、このメディア的なブームを嫌ってこの作品も敬遠してしまうのは、大変もったいないほどの良作だと思いますよ。まあそれでも、実際に読んでみて面白いと感じるかどうかはその人次第ですけどね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 読み終り爽快度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.0006 「名探偵の掟」
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