“「このミステリーがすごい!」にランクインした作品を全て読もう!”ということで始めた“「このミス」完全読破”ですが、去年までは過去にランクインした作品のみを読んでいたものの(例外はありましたが)、今年に入ってからは、まだランキングが発表されていない作品(つまりは昨年11月以降に発売された作品)も読むようになりました。
その理由としましては、前にも書きましたが、“すでに発表されたランキングに入った作品を読む”という楽しみ方以外にも、「この作品が上位に入ったか~」「これがなぜランクインしないの?」と一喜一憂するという楽しみ方もしてみたいと思ったからのです。
実際やってみたら、これが予想以上に楽しかったですね。やはり評価がまだ出ていない作品を読むということで、中身についての事前知識をそれほど入れずに素直な状態で読むことが出来たし、一方で「この作品はランクインしそうだ」と予測する上で様々な情報や評判を仕入れることで、今まで感じることの出来なかったミステリ&エンタメ小説界の漠然とした流れを感じることが出来たし。なので、途中からはほぼ「2009年版」対象作品しか読まなくなっちゃったくらいですからね。
そうやって読んでみまして、あとは来月頭に発売される「このミス2009年版」の発売を心待ちにするだけなのですが、せっかく読んできたのですから、その成果というものをランキングが発表される前にここに書いてみたいと思ったのです。
なので、今回は「このミス」の投票者になりきって個人的ベスト6を発表する“「このミス2009年版」投票者なりきりベスト6”を、そして後日に「2009年版」のランキングを恐れ多くも予想してしまおうという“「このミス2009年版」ランキング(順位)予想”を書いてみたいと思います。
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というわけで今回書くのは、“「このミス2009年版」投票者なりきりベスト6”。
「このミス」とは、70人を超える読書家(評論家など)の投票を集計し、その結果をもとにその年のランキングが作られます。
もう少し詳しく説明すると、投票者は1人につき6作品に投票することができ、その6作品を1位から6位まで順位付けすることで、1位に10点、2位に9点.....、といった具合にそれぞれ点数が付けられます。全投票者が投じた得点を合計し、その結果がランキングとして発表されるというわけです。
この投票者というのは、話によると年に数百冊ほども読んでいるとのことなので、精一杯読んでも37冊(「2009年版」対象作品のみ)だった自分は、肩書き以前の問題でさえ投票者の資格などないわけなのです。
まあそれでも投票者になりきって個人的なベスト6を考えることは、ミステリ好きなら皆やってそうですしね。今年になって初めてランキング発表前の作品をいくつか読んだ自分にとっては、そういうことができるのも初めてのチャンスですから。なので、“自分の1票でランキングが変わってしまう!?”って思い込むほどに本気モードになって自分なりのベストを考えてみました。
ちなみに対象となる作品、つまりは自分がこれを書いている時点で読み終えた2007年11月~2008年10月に発売された作品は、「このミス」完全読破 読破本リストのNo.56~No.131の中の「2009年版」対象作品です。と書くだけでは味気ないし不親切なので、以下に書き出してみます(リンク先は、感想ページ)。
愛川晶 > 「芝浜謎噺」 飛鳥部勝則 > 「堕天使拷問刑」
池上永一 > 「テンペスト」
伊坂幸太郎 > 「ゴールデンスランバー」
石持浅海 > 「君の望む死に方」 、 「耳をふさいで夜を走る」
乾くるみ > 「クラリネット症候群」
歌野晶午 > 「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
打海文三 > 「ドリーミング・オブ・ホーム&マザー」
大倉崇裕 > 「聖 域」 乙 一 > 「The Book」
恩田陸 > 「きのうの世界」 霞流一 > 「死写室」
香納諒一 > 「ステップ」 貴志祐介 > 「新世界より」
桐野夏生 > 「東京島」 小林泰三 > 「モザイク事件帳」
日明恩 > 「ギフト」 田中啓文 > 「辛い飴」
鳥飼否宇 > 「官能的」 、 「爆発的」
法月綸太郎 > 「犯罪ホロスコープ I 」
東川篤哉 > 「もう誘拐なんてしない」
東野圭吾 > 「流星の絆」 、 「聖女の救済」
深水黎一郎 > 「エコール・ド・パリ殺人事件」
舞城王太郎 > 「ディスコ探偵水曜日」
牧薩次 > 「完全恋愛」 三雲岳人 > 「少女ノイズ」
汀こるもの > 「パラダイス・クローズド THANATOS」
道尾秀介 > 「ラットマン」 、 「カラスの親指」
三津田信三 > 「山魔の如き嗤うもの」
湊かなえ > 「告 白」 門前典之 > 「浮遊封館」
山口雅也 > 「モンスターズ」 、 「キッド・ピストルズの最低の帰還」
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【 6位 : 堕天使拷問刑 / 飛鳥部勝則 】
★5つの満点評価が4作品あったため、残りの2議席を★4つ評価の14作品で争うことになったわけですが、その激選区を勝ち抜いた1作品目がこの「堕天使拷問刑」です。
話の最初からオカルト的な不気味さが漂っているのですが、そこに本格ミステリ的謎が絡んでいくことで得体の知れなさが増していって、さらに魅力的な世界観となってこちらに襲いかかって来るかのようでした。
そんな中で、謎が現実的に解決するのか超常現象的に解決するのか最後までわからなかったりして、もう一気に読まずにはいられませんでしたから。ホントに読んでいて圧倒されっぱなしでした。
(後日追記)
この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.103 『堕天使拷問刑』 飛鳥部勝則
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【 5位 : ドリーミング・オブ・ホーム&マザー / 打海文三 】
★4つの残り1議席を獲得したのが、昨年亡くなった打海文三の遺作「ドリーミング・オブ・ホーム&マザー」です。
まあ読んだキッカケというのが“遺作ということで票が集まってランクインするのではないか”という少々失礼な理由だったのですが、読んでみたらもう遺作とかそんなの関係なく衝撃を受けちゃいました。
とにかく前半のゆったりとした話と、後半に入ってからの破滅的で暴発的な展開の対比が、あまりに違い過ぎてもう読んでいるこちらまで破壊されてしまうようでした。この作品も読んでいて圧倒されっぱなしでしたね。
(後日追記)
この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.98 『ドリーミング・オブ・ホーム&マザー』 打海文三
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【 4位 : ラットマン / 道尾秀介 】
ここからは全て★5つ満点評価の作品です。
道尾秀介作品は元々好きだったのですが、この「ラットマン」は、仕掛けの部分でも気持ち良く騙されてしまったし、それに加えてこの作品はドラマ性の部分でも胸に来るものがありましたからね。道尾作品の中でも一番好きな作品となりました。
なので、読み終えたときには「これが(個人的)1位かな」と思ったものですけど、“読後からしばらく経ってからの印象度”で順位を決めてみたら、結局この順位となってしまいました。
(後日追記)
この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.121 『ラットマン』 道尾秀介
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【 3位 :テンペスト / 池上永一 】
ベスト3は、全て上下巻の大作となりました。
この「テンペスト」は、琉球王国を舞台とした主人公とその周囲の人々の、波乱万丈という言葉だけでは伝えきれないくらいのストーリーが展開されていく大河ドラマ的小説なのですが、難しいことなくシンプルに書かれているため、この長さを感じることなく一気に読んでしまいました。
内容的にミステリ要素がほぼ皆無なため、「このミス」での評価がどのようになるのか蓋を開けてみなければわかりませんが、それでも自分だったら高ポイントをあげたいくらいに楽しませてもらいましたね。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.124 『テンペスト』 池上永一
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【 2位 : 新世界より / 貴志祐介 】
2位は、これも上下巻の大作「新世界より」です。
貴志祐介作品は「黒い家」しか読んでいないので、序盤の(某評論家が称した)ハリポタ風な世界や、その後に続くファンタジー的展開に驚いたものですが、やはりそんな中でも自分が思い描いていた貴志祐介作品的なものが見え隠れしていましたね。
そんな意外に思ったストーリーも充分に楽しんで読んでいたのですが、終盤に入ったらまさに貴志祐介ならではのホラー全開な展開に様変わりして、これはもう圧倒されてしまいました。さすがは真骨頂!って感じで。読み終えた時には「ホントにすごいものを読んでしまった.....」ってなりましたからねェ。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.126 『新世界より』 貴志祐介
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【 1位 : ディスコ探偵水曜日 / 舞城王太郎 】
そして栄えある1位に選んだのが、この「ディスコ探偵水曜日」です。2~5位の間は甲乙付けがたくかなり悩みましたが、この1位だけは何の迷いもなく決まりました。
ここまで書いた中で“圧倒された”という表現を何度か使いましたが、その“圧倒度”はこの作品が圧倒的に上ですからね。読んでる時も読み終えた後も圧倒されっぱなしだったし、読み終えてずいぶん経つ今でも圧倒され続けているくらいですから.....。
まあ自分の理解・想像力の枠を遥かに越えてしまっているのですが、そういった作品を読むことができたのは、なんとも言えずに幸せでしたね。自分の中ではあらゆる面でダントツに1位でした。
この作品の感想記事はこちら!!
>> No.119 『ディスコ探偵水曜日』 舞城王太郎
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というわけでベスト6を発表してみたわけですが、「2009年版」対象作品を読み始めた当初は“投票したいと思うような作品が6作も出てくるかな~”と不安に思っていたのもどこ吹く風、6作に絞るのはかなりの難作業となってしまいました。
そんな中で“選びたかったけど泣く泣く諦めた”という次点作品は、「きのうの世界」「芝浜謎噺」「山魔の如き嗤うもの」「モザイク事件帳」「辛い飴」「君の望む死に方」といったところでしょうか。差はわずかなのですが、決め手になったのはやっぱり“圧倒度”ですかね。
それから、「2009年版」対象作品で読んでおきたかったのに結局読むことのできなかった作品もいくつかありました(「モダンタイムス」伊坂幸太郎、「羊の目」伊集院静、「黒の狩人」大沢在昌、「狐火の家」貴志祐介、「弥勒世」馳星周、「聖家族」古川日出男、「造花の蜜」連城三紀彦 など)。これらは、ランクインされたなら読んでみたいと思います。
というわけで、次は“「このミス2009年版」ランキング(順位)予想”の発表です。
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