『ラットマン』 道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.121
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.121
『ラットマン』 道尾秀介
「このミス」2009年版 : 10位
受賞(候補) : (「山本周五郎賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 2位
「週刊文春ミステリーベスト10」 4位
「ミステリが読みたい!」 5位
読始:2008.9.25 ~ 読終:2008.9.25
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2008年1月>
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ちょっと前に読んだNo.117「カラスの親指」の時に、道尾秀介作品には“読み手を騙すような仕掛けをメインテーマに置いている作品”と“ドラマ性のあるストーリーをメインに、その味付けとして仕掛けが施されている作品”の2種類に分けられるのでは、と書きました。
昨年(2007年)の例でいうと、No.58「片眼の猿」が前者、No.97「ソロモンの犬」が後者、といった感じで。
そして今年(2008年)の作品では、「カラスの親指」が後者、そして今作が前者に当たるのではないでしょうか。
.....と思っていたのですが、「カラスの親指」は全体的には後者っぽいけど、実は.....、って感じだし、今作にしても、“前者に当たる”と書きながらも、“後者”の代表として書いた「ソロモンの犬」に似た印象もあるのです。
なので、この2種類に分けようとするのはあんまり意味ないし、とにかく“全ての作品で騙しの仕掛けを楽しむことができる”ってことだけでいいのかもしれませんね。
と、ここまで独り言のようなもの。
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さてさて本作は、高校時代にロックバンドを結成し、三十台に足を突っ込んだ今でもそのバンドで活動を続けている主人公とそのメンバーたちを中心に話が進む作品です。
まあ見る人が見ればオッサンだろうけど、バンドというイメージからも、青春ものっぽい感じがありますかね。ちなみに主人公たちは1975年生まれと明記されていますが、これは作者の生まれた年であり、自分が生まれた年でもあるのです。
ただ青春ものっぽいとはいえ、話の当初から、物語の裏側に不吉な何かが隠されているような、そんな不気味さが作品全体に漂っています。そんなところはちょっとNo.49「シャドウ」っぽいですかね。
“これは何かあるな”と不安な感じで読み進めていくわけですが、そんな折に事件が起き、それをキッカケに“不気味な何か”が徐々に明かされていくのです.....。
ってまあ、作品の性質上、何を書いてもネタバレに繋がりそうで、どう書いていいかわかんなくなっちゃいますねェ。
だけどまあ、現在進行形の謎も過去の謎も、どちらもとても興味が引かれて、ページを捲る手が止まりませんでした。そのくらい一気に読まずにはいられなかったのです。
そうなると、そんな面白さが果たして最後まで続くのかどうか、尻つぼみになっちゃったりしないかなぁ、なんて不安にもなってしまうものです。そして一旦はその不安が的中したかな?とも思いましたが、そこはやはり道尾秀介、そう簡単には終わりませんでした。
しかもこの作品の場合、今までのような“驚き”だけでなく、涙腺にまで刺激を与えてくれちゃったのですから。といっても、この作品を読んで泣ける人は少ないだろうとは思うのですが。でも自分はこういうのに弱くてねェ。
というわけで、今までの道尾秀介作品のような“驚き”の面でも楽しめたし、今回はそれにとても大きなプラスアルファが加わったので、もう文句なく★5つの満点評価です。
(後日追記)
この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更したので、それに伴い満点評価ではなくなりました。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 読み終り爽快度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.0186 「龍神の雨」
> No.0169 「鬼の跫音」
> No.0121 「ラットマン」
> No.0117 「カラスの親指」
> No.0097 「ソロモンの犬」
> No.0058 「片眼の猿」
> No.0049 「シャドウ」
> No.0041 「向日葵の咲かない夏」
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