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2008年9月29日 (月)

『官能的 四つの狂気』 鳥飼否宇 > 「このミス」完全読破 No.118

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.118

 『官能的 四つの狂気』 鳥飼否宇

   「このミス」2009年版 : 25位

   受賞(候補) : 「世界バカミス☆アワード」受賞
            (「日本推理作家協会賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 10位
               「ミステリが読みたい!」 18位

   読始:2008.9.3 ~ 読終:2008.9.11

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年1月>

官能的――四つの狂気 (ミステリー・リーグ)官能的――四つの狂気 (ミステリー・リーグ)
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 この作品は、以前出た「本格的」という中編集に収録されていた「変態」というとんでもないタイトルの作品の主人公が再登場した、3作+a からなる連作集となっています。

 この主人公というのが、タイトルの通りに変態な大学助教授なのですが、“変態”と聞いてまず最初に思い浮かべるであろう“変質者的な意味合い”の変態の他にも、“動物が成長の過程で形態に大きな変化を生じる”という意味での変態にも掛かっているのです。

 そんな変態助教授が、今回は本一冊分に渡って大活躍するのですが、ただ変態といっても、その行為は本人的にはあくまで研究のフィールドワークとして行っているものなのです。そんな変態に対する自己中心的にも思える信念は、なぜか高貴な雰囲気さえ漂っているように錯覚してしまうほどに、揺るぎ無いものなのです。

 なので、あまりいやらしく濃厚な感じの“変態”ではないので、“変態”と聞いて拒否感が大いにある人なんかでも安心して読めるのではないですかね。

 そして前作「本能的」は別に読んでいなくても楽しめるでしょうが、今回から登場する脇役&前回から引き続き登場する脇役の特異性を最初の段階からわかっていた方が楽しめるのは明らかなので、せめて「本能的」の中の「変態」だけでも読んでおくとよいでしょう。

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 話の中で繰り広げられるのは、至ってちゃんとした本格ミステリ的な事件なのですが、そこに変態助教授が様々な形で係わってくるため、それらの事件は必然的に変態色に染められてしまいます。

 そんな変態的な事件を解決するのが変態助教授自身で、しかも謎の解き方も変態的であるため、やはりマトモな本格ミステリにはなりませんね。まさに“この作品だからこそ!”の世界が広がりまくっています。

 そしていつしか読んでいるこちらまでもが、この変態助教授の変態さに感銘を受け、変態を称えたくなってしまうほどです。変態に対する見方が間違いなく変わるのではないでしょうか。ただその一方で“変態はやっぱり変態だな”って納得もしてしまいますが。

 そして最後には驚くべき仕掛けも用意されているので、騙されたと思ってこの変態的な作品をぜひ読んでみてください。

 .....それにしても、これだけ“変態”という単語を使ったブログ記事を、今後書くことは確実にないでしょうねェ。いや、次回作が出たならばきっと.....。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★      おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★★  感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★★★★  読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “鳥飼否宇” 関連記事 】

  > No.863 「死と砂時計」
  > No.861 「絶望的 寄生クラブ」

  > No.439 「杉下右京の事件簿」("碇卯人"名義)
  > No.296 「このどしゃぶりに日向小町は」
  > No.122 「爆発的 七つの箱の死」
  > No.118 「官能的 四つの狂気」
  > No.062 「痙攣的 モンド氏の逆説」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「ディスコ探偵水曜日」 舞城王太郎

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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