『カラスの親指』 道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.117
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.117
『カラスの親指』 道尾秀介
「このミス」2009年版 : 6位
受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞
(「直木三十五賞」候補)
(「吉川英治文学新人賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 4位
「闘うベストテン」 6位
「週刊文春ミステリーベスト10」 10位
「本格ミステリ・ベスト10」 16位
読始:2008.8.19 ~ 読終:2008.8.26
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2008年7月>
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今年の道尾秀介作品では、No.121「ラットマン」の方が早く発売されているのですが、まあ別に続き物でもないし、ってことで比較的楽に入手できたこの「カラスの親指」の方を先に読むことになりました。
道尾秀介といえば、常に読み手を騙すような仕掛けを作品中に散りばめていて、そこが個人的にも気に入っていて100冊突破記念企画「作家!!ベスト5」 にもランクインしているほどなのですが、その“仕掛け”については2種類の作品があると思います。
まずは、読み手を騙すような仕掛けをメインテーマに置いている作品。そしてもう一方が、ドラマ性のあるストーリーをメインに、その味付けとして仕掛けが施されている作品。
昨年の道尾作品でいうと、No.58「片眼の猿」が前者、No.97「ソロモンの犬」が後者、といったところでしょうか。
そして今作ですが、これはもうはっきりと後者と言えるんじゃないですかね。
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全くの他人といってもいいような男女5人が、ひょんなことから一つ屋根の下に暮らすことになり、様々な事件や冒険に巻き込まれていく(または巻き起こす)ような作品です。まあ、5人全てが全くの他人って訳ではありませんが、ここで詳しく書いてもしょうがないんで。
その5人のバックグラウンド(過去)は、とても陰惨で悲しく切ないものなのですが、文章やキャラクターがとても軽く、物語の展開の軽快なので、この重さと軽さの共存関係が良い味出しているように感じました。
“重さと軽さ”というと、No.21「重力ピエロ」伊坂幸太郎を思い出してしまいます。この時にも“重さと軽さ”について書きましたが、この作品もまさに同じですね。まあ、また同じようなことを書くのも面倒くさいので、詳しくはあっちを読んでみてください。
そんな軽快ながらも地に足付いているような物語に魅了され、スリルある場面やアクションシーンなんかにも手に汗握りながら読み、すっかり普通のエンターテイメント作品として楽しんでしまいましたが、しかし最後に来て“やっぱり道尾作品だ.....”と気付かされるのですねェ。
まあ見事としか言いようがないくらいなのですが、それでもそれまで楽しんできた物語を壊すようなものではなく、逆にさらに深く物語世界を味わえるような感じで、なんか素敵なオマケを貰ったようでした。
なので、あくまで道尾作品だということは頭から忘れて余計なこと考えずに物語を堪能し、そして最後に道尾作品の真骨頂を味わう、というのが良い読み方なんじゃないですかね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 読み終り爽快度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.0312 「蝦蟇倉市事件 1」
> No.0311 「光媒の花」
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> No.0233 「花と流れ星」
> No.0186 「龍神の雨」
> No.0169 「鬼の跫音」
> No.0121 「ラットマン」
> No.0117 「カラスの親指」
> No.0097 「ソロモンの犬」
> No.0058 「片眼の猿」
> No.0049 「シャドウ」
> No.0041 「向日葵の咲かない夏」
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