『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』 麻耶雄嵩 > 「このミス」完全読破 No.113
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.113
『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』 麻耶雄嵩
「このミス」1992年版 : 12位
受賞(候補) :
総合ランキング : 「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 19位
「本格ミステリ・ベスト100」 39位
「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 76位
年度ランキング :
読始:2008.8.4 ~ 読終:2008.8.9
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <1996年7月>
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このところずっと“「このミス」2009年版”対象作品(つまりは今年発売された作品)ばかり読んできましたが、ここにきて突然、1992年版にランクインした結構古めの作品の登場です。でもこれに全く意味はありません。
そしてこの作品ですが、殊能将之の「黒い仏」と並んで“トンデモ系ミステリ”の代表作とも言われるほどの評判で、そういった“トンデモ系”な作品については“「翼ある闇」とか「黒い仏」系の作品です”と教えれば間違いなく伝わるほどなのですねェ。
まあ、この麻耶雄嵩の作品ではすでにNo.38「神様ゲーム」でかなりの衝撃を受けさせてもらったのですが、デビュー作にしてこれだけの評判となっているこの作品には、期待がいやが上でも高まってしまいます。
あとこの作品についてもう一つ豆知識がありまして、これは読後にwikipediaなんかで調べてわかったのですが、この作品は実は、設定やら薀蓄部分やら文章に至るまで、全編に渡って小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」のパロディとして書かれているそうなのです。
そしてそのパロディ元になっている作品というのが、「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」と共に“日本推理小説の「三大奇書」と呼ばれているような作品なのですねェ。
読んでいてなんか違和感というか、わざと難しく書いているんじゃないか?って思ったりしていたのですが、その理由はこれ(「三大奇書」をパロディ)だったのかもしれません。
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そんな魅力的なサブ情報がいくつもあるこの作品ですが、やはり物語の展開がマトモではなくて、こっちの予測の裏の裏を突いてくるようで、なんとも読み応えがありましたね。
そして“トンデモ系ミステリ”の代表作とまで言わしめるほどにとんでもないトリックには、ホントに“なんだこりゃ~!”って感じで、衝撃的でした。
ただ自分は、なんかこういったタイプのトンデモ系なトリックやバカミスっぽいものって、“なんだこりゃ~!”って衝撃は受けるものの、その後で“まあこれもありかな”って結構あっさりと受け入れてしまうので、衝撃はそれほど持続しないのです。
なので、「神様ゲーム」などのように“単純明快ながらも切れ味抜群の衝撃” “一瞬頭の中が真っ白になるような衝撃”の方が好みのようですね。
まあとにかく、こういったタイプの作品であるため、読後に絶賛する人もいればハラワタが煮えかえる人もいるようですが、“「翼ある闇」のような作品だよ”と言われて“あ~ああいうタイプなのか~”とすぐに理解できるようになるためにも、必読の書だと思いますよ。
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> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★★★ 読み終り爽快度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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