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2008年9月

2008年9月29日 (月)

『官能的 四つの狂気』 鳥飼否宇 > 「このミス」完全読破 No.118

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.118

 『官能的 四つの狂気』 鳥飼否宇

   「このミス」2009年版 : 25位

   受賞(候補) : 「世界バカミス☆アワード」受賞
            (「日本推理作家協会賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 10位
               「ミステリが読みたい!」 18位

   読始:2008.9.3 ~ 読終:2008.9.11

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年1月>

官能的――四つの狂気 (ミステリー・リーグ)官能的――四つの狂気 (ミステリー・リーグ)
アランジアロンゾ

原書房 2008-01-24
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 この作品は、以前出た「本格的」という中編集に収録されていた「変態」というとんでもないタイトルの作品の主人公が再登場した、3作+a からなる連作集となっています。

 この主人公というのが、タイトルの通りに変態な大学助教授なのですが、“変態”と聞いてまず最初に思い浮かべるであろう“変質者的な意味合い”の変態の他にも、“動物が成長の過程で形態に大きな変化を生じる”という意味での変態にも掛かっているのです。

 そんな変態助教授が、今回は本一冊分に渡って大活躍するのですが、ただ変態といっても、その行為は本人的にはあくまで研究のフィールドワークとして行っているものなのです。そんな変態に対する自己中心的にも思える信念は、なぜか高貴な雰囲気さえ漂っているように錯覚してしまうほどに、揺るぎ無いものなのです。

 なので、あまりいやらしく濃厚な感じの“変態”ではないので、“変態”と聞いて拒否感が大いにある人なんかでも安心して読めるのではないですかね。

 そして前作「本能的」は別に読んでいなくても楽しめるでしょうが、今回から登場する脇役&前回から引き続き登場する脇役の特異性を最初の段階からわかっていた方が楽しめるのは明らかなので、せめて「本能的」の中の「変態」だけでも読んでおくとよいでしょう。

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 話の中で繰り広げられるのは、至ってちゃんとした本格ミステリ的な事件なのですが、そこに変態助教授が様々な形で係わってくるため、それらの事件は必然的に変態色に染められてしまいます。

 そんな変態的な事件を解決するのが変態助教授自身で、しかも謎の解き方も変態的であるため、やはりマトモな本格ミステリにはなりませんね。まさに“この作品だからこそ!”の世界が広がりまくっています。

 そしていつしか読んでいるこちらまでもが、この変態助教授の変態さに感銘を受け、変態を称えたくなってしまうほどです。変態に対する見方が間違いなく変わるのではないでしょうか。ただその一方で“変態はやっぱり変態だな”って納得もしてしまいますが。

 そして最後には驚くべき仕掛けも用意されているので、騙されたと思ってこの変態的な作品をぜひ読んでみてください。

 .....それにしても、これだけ“変態”という単語を使ったブログ記事を、今後書くことは確実にないでしょうねェ。いや、次回作が出たならばきっと.....。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★      おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★      人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★★  感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★★★★  読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “鳥飼否宇” 関連記事 】

  > No.863 「死と砂時計」
  > No.861 「絶望的 寄生クラブ」

  > No.439 「杉下右京の事件簿」("碇卯人"名義)
  > No.296 「このどしゃぶりに日向小町は」
  > No.122 「爆発的 七つの箱の死」
  > No.118 「官能的 四つの狂気」
  > No.062 「痙攣的 モンド氏の逆説」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「ディスコ探偵水曜日」 舞城王太郎

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年9月25日 (木)

『カラスの親指』 道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.117

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.117

 『カラスの親指』 道尾秀介

   「このミス」2009年版 : 6位

   受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞」受賞
            (「直木三十五賞」候補)
            (「吉川英治文学新人賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 4位
              「闘うベストテン」 6位
              「週刊文春ミステリーベスト10」 10位
              「本格ミステリ・ベスト10」 16位

   読始:2008.8.19 ~ 読終:2008.8.26

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年7月>

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)
道尾 秀介

講談社 2011-07-15
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 今年の道尾秀介作品では、No.121「ラットマン」の方が早く発売されているのですが、まあ別に続き物でもないし、ってことで比較的楽に入手できたこの「カラスの親指」の方を先に読むことになりました。

 道尾秀介といえば、常に読み手を騙すような仕掛けを作品中に散りばめていて、そこが個人的にも気に入っていて100冊突破記念企画「作家!!ベスト5」 にもランクインしているほどなのですが、その“仕掛け”については2種類の作品があると思います。

 まずは、読み手を騙すような仕掛けをメインテーマに置いている作品。そしてもう一方が、ドラマ性のあるストーリーをメインに、その味付けとして仕掛けが施されている作品。

 昨年の道尾作品でいうと、No.58「片眼の猿」が前者、No.97「ソロモンの犬」が後者、といったところでしょうか。

 そして今作ですが、これはもうはっきりと後者と言えるんじゃないですかね。

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 全くの他人といってもいいような男女5人が、ひょんなことから一つ屋根の下に暮らすことになり、様々な事件や冒険に巻き込まれていく(または巻き起こす)ような作品です。まあ、5人全てが全くの他人って訳ではありませんが、ここで詳しく書いてもしょうがないんで。

 その5人のバックグラウンド(過去)は、とても陰惨で悲しく切ないものなのですが、文章やキャラクターがとても軽く、物語の展開の軽快なので、この重さと軽さの共存関係が良い味出しているように感じました。

 “重さと軽さ”というと、No.21「重力ピエロ」伊坂幸太郎を思い出してしまいます。この時にも“重さと軽さ”について書きましたが、この作品もまさに同じですね。まあ、また同じようなことを書くのも面倒くさいので、詳しくはあっちを読んでみてください。

 そんな軽快ながらも地に足付いているような物語に魅了され、スリルある場面やアクションシーンなんかにも手に汗握りながら読み、すっかり普通のエンターテイメント作品として楽しんでしまいましたが、しかし最後に来て“やっぱり道尾作品だ.....”と気付かされるのですねェ。

 まあ見事としか言いようがないくらいなのですが、それでもそれまで楽しんできた物語を壊すようなものではなく、逆にさらに深く物語世界を味わえるような感じで、なんか素敵なオマケを貰ったようでした。

 なので、あくまで道尾作品だということは頭から忘れて余計なこと考えずに物語を堪能し、そして最後に道尾作品の真骨頂を味わう、というのが良い読み方なんじゃないですかね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★       鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★     おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★    感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★       読み終り爽快度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “道尾秀介” 関連記事 】

  > No.0947 「いけない」
  > No.1042 「スケルトン・キー」(後日更新予定)

  > No.0983 「満月の泥枕」(後日更新予定)
  > No.0947 「サーモン・キャッチャー the Novel」
  > No.0910 「スタフ staph」(後日更新予定)
  > No.0827 「透明カメレオン」
  > No.0749 「貘の檻」

  > No.0682 「鏡の花」
  > No.0617 「笑うハーレキン」
  > No.0583 「ノエル -a story of stories-」
  > No.0546 「光」
  > No.0498 「水の柩」

  > No.0432 「カササギたちの四季」
  > No.0396 「月と蟹」
  > No.0340 「月の恋人~Moon Lovers~」
  > No.0312 「蝦蟇倉市事件 1」
  > No.0311 「光媒の花」

  > No.0294 「球体の蛇」
  > No.0233 「花と流れ星」
  > No.0186 「龍神の雨」
  > No.0169 「鬼の跫音」
  > No.0121 「ラットマン」

  > No.0117 「カラスの親指」
  > No.0097 「ソロモンの犬」
  > No.0058 「片眼の猿」
  > No.0049 「シャドウ」
  > No.0041 「向日葵の咲かない夏」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「官能的」 鳥飼否宇

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年9月23日 (火)

週刊少年ジャンプ新連載! 「アスクレピオス」 内水融

アスクレピオス 1 (ジャンプコミックス)アスクレピオス 1 (ジャンプコミックス)

集英社 2009-02-04
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 「チャゲチャ」澤井啓夫に続く新連載第2弾が、内水融の「アスクレピオス」です。

 前々作「戦国乱破伝サソリ」、前作「カイン」に続いて中世の歴史物となりましたが、日本→中国と来て今回の舞台はヨーロッパ。この作者の絵的に中世ヨーロッパが似合うかな~と思っていたので、個人的には待望の舞台となりました。

 その前作・前々作との比較でいうと、大きく違うのは主人公のキャラ設定ですかね。「~サソリ」の蠍無太郎にしても「カイン」のカインにしても、強力な特殊能力(人外的な能力)を有していて、第1話の時点で戦闘的に頼りになる強いキャラクターでしたが、今回の主人公であるバズ・メディル・アスクレピオスは、小さな女の子(ロザリィ・ティレスフォス)に守ってもらうような、なんとも情けない主人公です。

 ただその分、これから成長していく様が楽しみになってきますからね。前作「カイン」では“主人公の成長物語”的な要素はあまりなかったので、その分も今作で楽しませていただきたいところです。

 それと、第1話のインパクトとしては、やはり主人公の腹から手が生えてきた「カイン」に比べると劣ってしまいますねェ。まあ、そういった微妙なインパクトはない方が良いのかもしれませんが.....。


 そしてこの作品のテーマは“(外科)医術”。なかなか難しそうな所を攻めてきました。

 このジャンルの作品では、「ブラックジャック」を筆頭に先駆者的作品がいくつかありますが、やはりここはジャンプらしい医術漫画を書いてほしいですね。

 まあ“ジャンプらしい医術漫画”がどのようなものかはわからないですが、あくまで医者としてのストーリーを中心としたりとか、医術は基本設定としたうえでバトル路線に進むとか、それこそ主人公の成長物語を軸にするとか、結構色々な方向に進めて行くことが出来ると思うのですよね(なんか新連載恒例のアンケートの選択項目のようですが)。

 なので、描くのが難しそうな題材ですが、今後の展開次第では今までのジャンプにない種類の面白さを持つ作品となりそうだし、その潜在力を秘めていると思うので、2話以降も楽しみですし、期待したいですね。

 ただ、前作「カイン」同様に少女キャラが話すセリフの語尾に特徴あって、それをあえて強調する書き方をしていますが、そこが少し好き嫌いが別れそうな感じでしょうか。

 あと、タイトルを憶え辛いのも気になりますね。自分は「明日 くれ(ちょうだい) ピッ(予約完了の音) 押忍ッ」というなんの面白味もない当て字でイメージしてしまいましたが、何故かこれで完全インプットできてしまいましたねェ.....。

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 【「内水融」関連記事】

  > 週刊少年ジャンプ新連載! 「アスクレピオス」 内水融 (08.9.23)
  > <JC1巻買い> 「アスクレピオス」 内水融 (09.2.13)


 【「2008年の新連載」関連記事】

  > 「アスクレピオス」 内水融 (08.9.23)
  > 「チャゲチャ」 澤井啓夫 (08.9.13)

  > 「いぬまるだしっ」 大石浩二 (08.8.26)
  > 「バクマン。」 大場つぐみ 小畑健 (08.8.12)

  > 「どがしかでん!」 濱田浩輔 (08.6.3)
  > 「トリコ」 島袋光年 (08.5.20)

  > 「ダブルアーツ」 古味直志 (08.3.24)
  > 「バリハケン」 鈴木信也 (08.3.17)

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  >>> 「週刊少年ジャンプ」関連記事リスト <<<

2008年9月18日 (木)

『浮遊封館』 門前典之 > 「このミス」完全読破 No.116

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.116

 『浮遊封館』 門前典之

   「このミス」2009年版 : ランク外

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「黄金の本格ミステリー」 選出

   読始:2008.8.15 ~ 読終:2008.8.19

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年7月>

浮遊封館<ミステリー・リーグ> (ミステリー・リーグ)浮遊封館<ミステリー・リーグ> (ミステリー・リーグ)
門前典之

原書房 2008-07-23
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 この作者は、2001年に「建築屍材」で鮎川哲也賞を受賞していまして、この「浮遊封館」が受賞後第一作となるのです。

 ただこの作品はつい最近に出たばかりなので、実に7年も間が開いているのですねェ。かなり寡作な方のようですが、結構マニア的な人気があるようですし、表紙からしても怪しさ満点なので、期待して読んでみました。

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 そしたら、探偵が出てくるバリバリの本格ミステリでした。

 時代も出来事も全く違くて関係がないと思われていたいくつかの事件が、次第に接点が判明していって、やがて一つの筋になっていくのですが、そういった展開になっていくであろうと最初の段階からわかっていても、どのように結びついていくのかが全く想像できなかっただけに、読んでいてドキドキワクワクしてしまいましたね。

 そしてそれぞれの事件というのが、どれもかなり不可思議で謎めいているので、これまたどのような真相に導かれていくのか全く想像ができなくて、とても興味を引かれました。

 ただ、それらの事件が一つに繋がり、すべての謎が鮮やかに解明されるクライマックスシーンが、なんかいつのまにやらやって来て、いつのもにやら去っていった、って感じだったのですね。アレレ?って思っている間に終わってしまったようで。

 ラストの方で判明する衝撃を受けるような驚愕のトリックも、頭ではそう感じるものの、その衝撃が心まで届いて身体の芯から驚くわけではありませんでしたし。

 物語の前半部分がとても素敵に謎めいていて、その後の展開に期待を高めてしまっただけに、後半はちょっと個人的には物足りなかったですかね......。
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  > 個人的評価 : ★☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★      おどろおどろ度 : ★★★★
   熱アクション度 : ★★       主キャラ魅力度 : ★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★★★    読み終り爽快度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “門前典之”関連記事 】

  > No.323 「屍の命題」
  > No.116 「浮遊封館」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「カラスの親指」 道尾秀介

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年9月15日 (月)

『パラダイス・クローズド THANATOS』 汀こるもの > 「このミス」完全読破 No.115

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.115

 『パラダイス・クローズド THANATOS』 汀こるもの

   「このミス」2009年版 : ランク外

   受賞(候補) : 「メフィスト賞」受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2008.8.12 ~ 読終:2008.8.19

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : ノベルス <2008年1月>

パラダイス・クローズド THANATOS (講談社文庫)パラダイス・クローズド THANATOS (講談社文庫)
汀 こるもの

講談社 2011-02-15
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 メフィスト賞受賞作ながら(というか、だからこそ?)、今年一番の「ダメミス」(「バカミス」のように愛のある呼び方ではなくて、ホントにダメダメなミステリ)との評価が高い作品ですが、そういったマイナスな評判のものってかえって気になって読んでみたくなるもんですからね。

 それに自分はこれまでこの“「このミス」完全読破”で100冊以上読んできて、“こりゃつまらんわ~”とか思うこともなかったので、はたしてこの作品を読んでみてどうなるのか興味深く、手に取ってしまいました。

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 最近に限らずミステリに薀蓄話は必需品のような感じがあって、これまで読んできた中にも、為になって面白いなと感じた薀蓄話もあれば、勉強しているようで読むのが辛くなってしまう薀蓄話もありました。それでも、その話が謎解きの伏線になったりする場合もあるので、飛ばして読んだり斜め読みすることはありませんでした。

 だけどこの作品の薀蓄話は、最初は頑張って読んでいたのですが、途中で思わず斜め読みしてしまい、後半の方ではとうとう薀蓄部分だけ飛ばし読みしてしまいました.....。魚に関する薀蓄だったのですが、量が膨大な割りにそれほど興味をそそられなかったので.....。

 そして本格ミステリ的な部分では、本格ミステリの定番的な行動や展開に対して捻くれた&嫌味な&裏をかいた行動や展開に持っていくのです。こういったタイプの作品って結構好きなのですが、どうも空回りしているというか、狙っている感がありありな割りに衝撃的な演出にはなりきれていないように感じて。

 というわけで、大まかな題材はそのままにもっと違った書き方で作られたなら、自分好みの作品になりそうだったので、ちょっともったいないな~なんて思ってしまいました。

 あと、読む前からマイナスな評価を仕入れてしまうのもどうかと思いましたね。やっぱり読んでいて一番の興味が、どうしても“どれだけダメダメなのか?”になってしまいましたから....。
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  > 個人的評価 : ★☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★       主キャラ魅力度 : ★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★★     読み終り爽快度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「浮遊封館」 門前典之

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年9月13日 (土)

週刊少年ジャンプ新連載! 「チャゲチャ」 澤井啓夫

チャゲチャ (ジャンプコミックス)チャゲチャ (ジャンプコミックス)

集英社 2009-02-04
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 8月に「バクマン。」「いぬまるだしっ」と新連載が2作投入されたばかりなのですが、まだ2週間しか経っていないのに早くも2週連続の新連載投入開始(「チャゲチャ」「アスクレピオス」)と、間髪入れない攻勢に転じていますね。

 しかもその4作共にすでに連載経験作家ということもあって、ジャンプ本誌が今まで以上に層が厚くなることを期待せずにいられません。


 そして今週から始まった「チャゲチャ」ですが、言うまでもなく「ボボボーボ・ボーボボ」を大ヒットさせた澤井啓夫の待望の新連載です。

 不良達が蠢く暮東京を舞台に繰り広げられるギャグ・ワル・バトルですが、個性的な不良達がギャグと共に暴れまくる設定が「バリハケン」に、豪快で荒々しい主人公のキャラや全体的な絵などが「トリコ」と被っているような感じでしょうか。そこら辺の兼ね合いがどのようになるのか(支持層を奪い合い足の引っ張り合いとなるのか、相乗効果で共に盛り上がるのか)、ちょっと気になりますね。

 そして読めばわかるのですが、激しく勢いのある絵と同様に怒涛の展開でギャグを畳み掛けつつストーリーが突き進んで行くのは、前作「ボーボボ」を彷彿とさせるものがあり、やはりこれがこの作者の持ち味なのでしょう。

 「ボーボボ」の時は、容姿から性格から言動から明らかに奇抜すぎるキャラクターたちばかりだったこともあって、こういった怒涛のギャグ連射はすんなり受け入れられて、とても合っていたように思えました。

 だけどちょっと今回は、出てくるのは容姿的には普通の人間たちだし(まあ明らかに変なのも若干いますが)、そのためか見た目ではっきりとした特徴の違いが「ボーボボ」の時ほどなく、それぞれのキャラクターに対してイマイチ乗りきれないまま話が進んでいくので、どうもギャグに対しても気持ち的に乗れなくて、なんか読んでいて空回り(空スベリ)している印象を持ちました。

 あと第1話ということもあってか世界観や設定なんかも掴みきれないまま読まねばならず、しかも絵がかなり特徴的ということもあって、どうも読み進め辛いというか、ストーリーや作品世界に引き込まれていく感じがあまり作られませんでしたかね。

 まあここら辺は、話数を増すごとに新キャラとか物語設定が徐々に明らかにされていったりで面白くなっていくだろうと思うのですが、第1話を読んだ時点では「ボーボボ」の時とあまり変わり映えせず、キャラのインパクト度からしてむしろ.....って感じなので、「チャゲチャ」だからこその面白さが紙面から溢れ出るようになっていってくれるよう期待したいですね。

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 【「澤井啓夫」関連記事】

  > 週刊少年ジャンプ新連載! 「チャゲチャ」 澤井啓夫 (08.9.13)
  > <JC1巻買い> 「チャゲチャ」 澤井啓夫 (09.2.11)


 【「2008年の新連載」関連記事】

  > 「アスクレピオス」 内水融 (08.9.23)
  > 「チャゲチャ」 澤井啓夫 (08.9.13)

  > 「いぬまるだしっ」 大石浩二 (08.8.26)
  > 「バクマン。」 大場つぐみ 小畑健 (08.8.12)

  > 「どがしかでん!」 濱田浩輔 (08.6.3)
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  > 「ダブルアーツ」 古味直志 (08.3.24)
  > 「バリハケン」 鈴木信也 (08.3.17)

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2008年9月11日 (木)

『少女ノイズ』 三雲岳斗 > 「このミス」完全読破 No.114

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.114

 『少女ノイズ』 三雲岳斗

   「このミス」2009年版 : 42位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「黄金の本格ミステリー」 選出

   読始:2008.8.9 ~ 読終:2008.8.11

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2007年12月>

少女ノイズ (光文社文庫)少女ノイズ (光文社文庫)
三雲 岳斗

光文社 2010-04-08
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 このタイトルや表紙、装丁からして、いわゆるライトノベル作品のように見えますね。

 ライトノベルについてはあんまり詳しくなくて、読む人を選ぶジャンルであるようなことくらいは知っているのですが、でも自分的には別に今のところ拒否感などないし、ライトノベル出身作家の作品はむしろ好きなものが多いようなので、この作品も抵抗なく読むことができました。

 まあ、それでもやっぱり、図書館で借りる時はちょっと恥ずかしかったですけどね。

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 そして内容の方は、登場人物のキャラクター、特に主人公である女子高生が、性格や設定が漫画的な感じで、あ~やっぱりこういうのがライトノベル的なのかな~って感じがしました。

 しかし、そんなキャラクターたちの活躍が描かれる話というのが、とてもしっかりとした本格ミステリなんですねェ。

 キャラクターはちょっと非現実的なんだけど、本格ミステリ的な部分で現実的なものと感じられるので、非現実的なキャラクターもあまりに突飛な存在にならず、本格ミステリ的な部分もどこか妖しさ・ミステリアスさが醸し出されるので、結構この現実的と非現実的が良いバランスになっているように思いました。

 そしてやっぱり主人公二人の関係というのが、ベタな感じなんだけどそれでも魅力的に感じたので、これはもう続編が出たら真っ先に読みたいですね。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度 : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★    人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★     読み終り爽快度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら


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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年9月 8日 (月)

よつばと!(8) / あずまきよひこ

よつばと! 8 (8) (電撃コミックス)よつばと! 8 (8) (電撃コミックス)
あずま きよひこ

アスキー・メディアワークス 2008-08-27
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 この「よつばと!」の単行本は、だいたい1年に1回しか発売されません。週刊少年ジャンプの漫画だと3~4ヶ月に1回なので、それと比べるとかなり長く感じてしまいます。

 そして、自分は「よつばと!」を読み始めたのは今年に入ってからなので、この巻にて初めて新刊として購入することが出来たわけなのです。

 ってまあ、発売日には買っていないし、しかも自分で買ったわけではないのですが。


 今回もこれまで同様に、よつばちゃんとその周囲の人々の何気ない日常が、とても特別な出来事に見えてしまうくらいに面白かったです。

 それで、よつばちゃんの突拍子もない言動に周りの人達が振り回されているので、“よつばちゃん=変わり者”を見る“周りの人達=普通の人”という図式が出来あがっていて、その“変わり者”と“普通の人”との差異があるから、よつばちゃんの言動がより面白く感じるのかもしれませんね。

 ただ一方で、よつばちゃんの純粋な目を通して見ると、周囲の人々も変わり者に見えてしまうのですよね。

 まあ、よつばちゃんの目から見なくても充分変わり者揃いなのですが、みんなが一斉に変わり者になるのではなく、誰かが変わった言動をしていたら他の誰かが普通の目線で見ていて、別の誰かが変わった言動をしていたら一緒にいる誰かが普通の目線で見ていて.....、といった感じで、常に“変わり者”と“普通の人の目線”が作られるからこそ、それぞれの言動がより面白く感じるのかもしれません。

 そして、だからこそ、変わり者揃いの登場人物達であるにも関わらず、隣近所に普通に住んでいそうなくらいにリアルにも感じられるのでしょうか。

 それでこの登場人物達が実生活で近くにいたとしたら、やっぱり“変わってるな~”と思うだろうから、“変わり者のキャラクター達”を見る“普通の人(=読者)の目線”といった図式が作られ、この漫画がより面白く感じるのかもしれません。

 というわけで、普通の人であるつもりで読んでいる自分も、ある人が見れば“変わり者”になってしまうのでしょうかねェ。

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 【過去の「よつばと!」関連記事】

  > よつばと! / あずまきよひこ (漫画) (08.1.20)

2008年9月 7日 (日)

『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』 麻耶雄嵩 > 「このミス」完全読破 No.113

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.113

 『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』 麻耶雄嵩

   「このミス」1992年版 : 12位

   受賞(候補) :

   総合ランキング : 「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 19位
              「本格ミステリ・ベスト100」 39位
              「東西ミステリーベスト100(2012年版)」 76位

   年度ランキング :

   読始:2008.8.4 ~ 読終:2008.8.9

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1996年7月>

翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)
麻耶 雄嵩

講談社 1996-07
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 このところずっと“「このミス」2009年版”対象作品(つまりは今年発売された作品)ばかり読んできましたが、ここにきて突然、1992年版にランクインした結構古めの作品の登場です。でもこれに全く意味はありません。

 そしてこの作品ですが、殊能将之の「黒い仏」と並んで“トンデモ系ミステリ”の代表作とも言われるほどの評判で、そういった“トンデモ系”な作品については“「翼ある闇」とか「黒い仏」系の作品です”と教えれば間違いなく伝わるほどなのですねェ。

 まあ、この麻耶雄嵩の作品ではすでにNo.38「神様ゲーム」でかなりの衝撃を受けさせてもらったのですが、デビュー作にしてこれだけの評判となっているこの作品には、期待がいやが上でも高まってしまいます。

 あとこの作品についてもう一つ豆知識がありまして、これは読後にwikipediaなんかで調べてわかったのですが、この作品は実は、設定やら薀蓄部分やら文章に至るまで、全編に渡って小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」のパロディとして書かれているそうなのです。

 そしてそのパロディ元になっている作品というのが、「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」と共に“日本推理小説の「三大奇書」と呼ばれているような作品なのですねェ。

 読んでいてなんか違和感というか、わざと難しく書いているんじゃないか?って思ったりしていたのですが、その理由はこれ(「三大奇書」をパロディ)だったのかもしれません。

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 そんな魅力的なサブ情報がいくつもあるこの作品ですが、やはり物語の展開がマトモではなくて、こっちの予測の裏の裏を突いてくるようで、なんとも読み応えがありましたね。

 そして“トンデモ系ミステリ”の代表作とまで言わしめるほどにとんでもないトリックには、ホントに“なんだこりゃ~!”って感じで、衝撃的でした。

 ただ自分は、なんかこういったタイプのトンデモ系なトリックやバカミスっぽいものって、“なんだこりゃ~!”って衝撃は受けるものの、その後で“まあこれもありかな”って結構あっさりと受け入れてしまうので、衝撃はそれほど持続しないのです。

 なので、「神様ゲーム」などのように“単純明快ながらも切れ味抜群の衝撃” “一瞬頭の中が真っ白になるような衝撃”の方が好みのようですね。

 まあとにかく、こういったタイプの作品であるため、読後に絶賛する人もいればハラワタが煮えかえる人もいるようですが、“「翼ある闇」のような作品だよ”と言われて“あ~ああいうタイプなのか~”とすぐに理解できるようになるためにも、必読の書だと思いますよ。
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  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★★★   鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★★★     おどろおどろ度 : ★★★★
   熱アクション度 : ★★       主キャラ魅力度 : ★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★★★★  読み終り爽快度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “麻耶雄嵩”関連記事 】

  > No.825 「あぶない叔父さん」
  > No.793 「化石少女」
  > No.765 「さよなら神様」
  > No.696 「貴族探偵対女探偵」
  > No.454 「メルカトルかく語りき」

  > No.373 「隻眼の少女」
  > No.343 「貴族探偵」
  > No.146 「螢」
  > No.113 「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」
  > No.038 「神様ゲーム」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「少女ノイズ」 三雲岳斗

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年9月 6日 (土)

>>MDB的コンピCD-10<< 「オリコン年間3位曲集」

>> MDB的コンピCD << とは?

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 「オリコン年間3位曲集」  *( )内は、発売年


 01 : 愛は勝つ / KAN (1990年)
 02 : BLOWIN' / B'z (1992年)
 03 : ロード / THE 虎舞竜 (1993年)
 04 : 恋しさと せつなさと 心強さと / 篠原涼子 with t.komuro (1994年)

 05 : HELLO / 福山雅治 (1995年)
 06 : LA・LA・LA LOVE SONG / 久保田利伸 with NAOMI CAMPBELL (1996年)
 07 : ひだまりの詩 / Le Couple (1997年)
 08 : my graduation / SPEED (1998年)

 09 : monochrome / 浜崎あゆみ (1999年)
 10 : Wait & See ~リスク~ / 宇多田ヒカル (2000年)
 11 : PIECES OF A DREAM / CHEMISTRY (2001年)
 12 : ワダツミの木 / 元ちとせ (2002年)

 13 : COLORS / 宇多田ヒカル (2003年)
 14 : Jupiter / 平原綾香 (2003年)
 15 : 未来 / Mr.Children (2005年)
 16 : 青春アミーゴ / 修二と彰 (2005年)


  【 ipod用追加曲 】

 00 : 蕾 / コブクロ (2007年)


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  「オリコン年間?位曲集」シリーズもこれで第3弾。今回は、1991年以降にオリコンの年間チャートで3位を獲った曲を、年順に並べてみました。

 2位曲集でも1位曲集に負けず劣らずの名曲揃いでしたが、3位曲集であっても名曲度合いは変わらないですね。売り上げ枚数的にも引けを取らないし。

 ただ、さすがに「年間3位」ともなると週間で1位を獲らなかった歌がちらほら見えまして、「ひだまりの詩」と「Jupiter」が最高位2位、「ロード」に至っては週間最高位3位なのですが、それでいて年間3位&188万枚の大ヒットなんですからねェ。

 それから注目なのは2006年3位の「青春アミーゴ」で、なんと前年(2005年)に年間1位になりながらも翌年に年間3位と、まるで昭和の時代のヒット曲のような異例のロングセラーぶりです。まあ種を明かせば、2005年のランキングの集計期間は発売から3週間のみだったので、2006年ランキング分の売り上げ枚数を充分に確保できたからなのですが。ってか発売3週だけで年間1位になってしまうこと自体が異例中の異例なんですけどね。

 ちなみに、年間1~3位の全てに入っているのは、Mr.Children、浜崎あゆみ、宇多田ヒカルの3組です。特に宇多田ヒカルなんて、年間3位以内に計5曲も送り込んでいるのですからねェ。やはりとんでもないです。
 
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 【「オリコン年間?位曲集」関連記事】

  > >>MDB的コンピCD-01<< 「オリコン年間1位曲集」 (07.11.3)
  > >>MDB的コンピCD-07<< 「オリコン年間2位曲集」 (08.4.8)
  > >>MDB的コンピCD-10<< 「オリコン年間3位曲集」 (08.9.6)

2008年9月 4日 (木)

『耳をふさいで夜を走る』 石持浅海 > 「このミス」完全読破 No.112

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.112

 『耳をふさいで夜を走る』 石持浅海

   「このミス」2009年版 : 54位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2008.7.29 ~ 読終:2008.8.3

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2008年6月>

耳をふさいで夜を走る (徳間文庫)耳をふさいで夜を走る (徳間文庫)
石持浅海

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 石持浅海といえば、ハードカバー本に比べて小さめのノベルスが多く、作風は、現実的でありながら幻想的な趣きもあって“鮮麗された崇高なる美”といった印象を持っていました。

 ところがこの作品は、ドシリとした重厚さが感じられるハードカバー本だし、全編に渡って下ネタ(エロ表現)のオンパレードといった内容になっているので、これには驚かされました。

 だけど、読んでみれば“間違いなく石持浅海”な作品だし、下ネタ満載でも全く下品な印象はなく、逆に神秘的にも感じてしまうほどなので、“さすがだな石持浅海だな”と唸らざるをえません。

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 そして、この作品を読んでみて、石持浅海の小説が好きな理由がわかったような気がします。

 それは、登場人物が現在の状況を“ああでもないこうでもない”と考察し、結論が出たと思っても“いや、見方を変えると.....”って感じでさらに考えたり妄想したりして、もう頭の中の空想世界だけで話があっちこっちに進んでしまっているけど、現実世界ではまだ何も進展していない、といった描写のところです。

 この作品は、とにかく主人公が頭の中でなんだかんだと考えていることが大半なので、読み進め辛くて嫌になっちゃう人もいそうですが、自分的にはこういった作風は好きなのですね。思えば、自分が遊びで書いているMDB的短編小説も大半がこの形式だし。

 まあ、この主人公が頭の中で考えていることは、作者自身も言っているようにとても自己中なもので、それに伴う行動も、そして自らの行動に対する言い訳なんかも全て自己中なものなので、読んでいて嫌悪感を抱いてしまう人もいるかもしれません。

 だけど、“石持浅海らしくない”ながらも“石持浅海らしい”という、とても貴重な作品だと思うので、読んでみる価値はありますね。
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  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度 : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★     人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★★   感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★★      読み終り爽快度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “石持浅海” 関連記事 】

  > No.869 「罪人よやすらかに眠れ」
  > No.755 「二歩前を歩く」
  > No.687 「三階に止まる」
  > No.634 「フライ・バイ・ワイヤ」

  > No.558 「トラップ・ハウス」
  > No.544 「玩具店の英雄 座間味くんの推理」
  > No.509 「彼女が追ってくる」
  > No.484 「人面屋敷の惨劇」
  > No.465 「ブック・ジャングル」

  > No.389 「撹乱者」
  > No.383 「見えない復讐」
  > No.350 「この国。」
  > No.297 「リスの窒息」
  > No.293 「君がいなくても平気」

  > No.112 「耳をふさいで夜を走る」
  > No.091 「君の望む死に方」
  > No.089 「心臓と左手 座間味くんの推理」
  > No.070 「月の扉」
  > No.037 「扉は閉ざされたまま」


  NEXT MYSTERY ⇒⇒⇒⇒ 「翼ある闇」 麻耶雄嵩

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

2008年9月 3日 (水)

the ジブリ set / DAISHI DANCE (CD)

the ジブリ setthe ジブリ set
DAISHI DANCE arvin homa aya Bill Danoff

アーモンドアイズ 2008-07-02
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 今、ジブリといえば「崖の上のポニョ」が絶賛公開中です。自分はまだ観ていないし、少なくとも映画館では観ることはないと思うのですが、それでもあの「ポ~ニョ ポ~ニョ ポニョ 魚の子~」って歌は思い出した途端に頭から離れなくなっちゃいますからね。

 この「ポニョ」の歌は入っていませんが、「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」などなどジブリの名作を彩るテーマ曲たちが、ハウス(ダンスミュージック)として生まれ変わったのがこのアルバムです。

 ユーロビートなんかにリミックスされるとユーロビート色が強くなりすぎる感じがしますが、このアルバムの場合は原曲にとても忠実で、ジブリの、各作品の世界感を壊すことなくハウスとして新たに作り上がっているので、違和感なく、しかし斬新な気持ちで楽しむことができます。

 それに、ジブリ作品というと森や大地など“自然”に重きを置いている印象がありますが、このアルバムを聴いていてもその“自然”を感じることができるのですね。なので、聴いていると森林浴をしているような気分にもなり、体感気温が3度くらい下がったように感じるので、いまだ残暑の厳しいこの季節に聴くには絶好のアルバムです。もちろんそれ以外の季節に聴いても、ノリ良く和めること間違いなし。

2008年9月 2日 (火)

「アクセス数!!ベスト5」 > 「このミス」完全読破・100冊突破記念企画

「このミス」完全読破 100冊突破記念企画 第7弾


   >> 「 アクセス数!!ベスト5」 <<

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 「このミス」完全読破がついに100冊を突破したということで、それを祝う意味合いも込めて、その100冊の中から個人的嗜好に基づいて、項目別にベスト5を発表していきたいと思います。

 ちなみに、対象となる100冊について、および“「このミス」完全読破とは一体何なんだ?”といった基本的な部分については、 まとめページである「このミス」完全読破 読破本リストをご覧ください。

 さてさて最後を飾る第7弾は、「アクセス数!!ベスト5」。これは、2007年7月~2008年8月の間に、各記事にアクセスされた数をランキングにしたものです。(後日追記 : ちなみにこれは、旧ブログにおけるアクセス数です)

 この“「このミス」完全読破”は2006年2月に始めたものなので、この集計期間は短いんじゃないかと思われるかもしれませんが、そんな昔のアクセス数は記録として残っていないし、うちのブログ(旧ブログのことです)は去年の夏より前の時期には雀の涙ほどのアクセスしかなかったので、まあこの集計期間でも全く問題ないのですねェ。

 ちなみに、最初の頃は検索サイトからのアクセスがほとんどでしたが、まとめページである「このミス」完全読破 読破本リストを作ってからは、こちらからのアクセスも結構な数となっています。

 さらにちなみに言いますと、だいたい毎月、“「このミス」完全読破”の全記事に少なくとも1回はアクセスがありますね。

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 【 5位 : 果断 隠蔽捜査2 / 今野敏 】


果断―隠蔽捜査〈2〉 (新潮文庫)果断―隠蔽捜査〈2〉 (新潮文庫)
今野 敏

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 5位には、昨年の「このミス」で4位に入ったこの作品の感想記事がランクイン。

 実はこの記事は、記事別アクセス数ランキング(旧アドレス)に一度もランクインしていないのですけどね。地味ながらもアクセスを稼いでいるようです。

 今年に入って賞を獲ったり、前作No.57「隠蔽捜査」のドラマ化が決まったことなども影響したのかもしれません。

 まあなんにせよ、そんなに派手ではないけれど好きな作品なんで、こうして反応があるのは嬉しいもんですねェ。


  [ この作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.72 『果断 隠蔽捜査2』 今野敏

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 【 4位 : 容疑者Xの献身 / 東野圭吾 】


容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)
東野 圭吾

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 2006年版の「このミス」で1位になったこの作品の感想記事が4位にランクイン。

 大ベストセラー作家・東野圭吾の大ヒット作ということもあって、平均して高いアクセスを稼いでいたのですが、映画の公開が迫り文庫化されるなど再度盛り上がってきた先月(08年8月)になってよりアクセスが増えてきました。

 なので、映画公開後には記事別アクセス数ランキングに再びランクインするくらいにならないかな~なんて期待しています。


  [ この作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.45 『容疑者Xの献身』 東野圭吾

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 【 3位 : 生ける屍の死 / 船戸与一 】


生ける屍の死 (創元推理文庫)生ける屍の死 (創元推理文庫)
山口 雅也

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 1989年の「このミス」で8位にランクインしたこの作品の感想記事が、3位にランクインしました。

 結構昔の作品だし、8位という中途半端な順位にも係わらず、毎月かなりのアクセス数を稼いでいるのです。

 これは、1998年版の「このミス」で行われた「過去10年のベスト」で1位に輝き、今年出た「もっとすごい!!このミステリーがすごい!」で行われた「過去20年のベストオブベスト」で2位にランクインするなど常に高評価な割りに、作者も作品もそれほどメジャーではない、というギャップから、検索されやすくなっているのかもしれませんね。


  [ この作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.51 『生ける屍の死』 山口雅也

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 【 2位 : 葉桜の季節に君を想うということ / 歌野晶午 】


葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)
歌野 晶午

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 2004年版の「このミス」で1位になったこの作品の感想記事が2位にランクイン。

 まあ、記事別アクセス数ランキングの上位常連記事でもあるので、この順位は当然なのですけどね。

 検索されやすい作品のタイプとして、“最後にアッと驚くどんでん返し”のある作品が挙げられるのですが、この作品なんかはそういったタイプの代表的・代名詞的作品なんで、アクセスの伸びは留まることを知りません。

 ちなみに、この作品は“「このミス」完全読破”を始めて最初に読んだ本だったので、まさかその感想記事がこんなに読まれているなんて!って感じですね。その頃は完全なるミステリ初心者でしたから.....。


  [ この作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.2 『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午

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 【 1位 : イニシエーション・ラブ / 乾くるみ 】


イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)
乾 くるみ

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 そして1位に輝いたのは、2005年版の「このミス」で12位になったこの作品の感想記事です。

 1位といってもただの1位ではなく、2位に倍近い大差を付けての圧勝ですからね。“「このミス」完全読破”の記事としては破格のアクセス数を毎月のように叩き出し続けているし、なんと今年6月の1ヶ月間のアクセス数だけでもこのランキングの5位に入ってしまうほどなのですから。

 まあ、“最後にアッと驚くどんでん返し”系の作品であるばかりでなく、読み終わった後にたくさんの発見や驚きが見つかり、2度3度と読みたくなる、2度3度読まずにはおれない、2度3度読まないことには本当の面白さがわからない、というなんとも珍しい作品なのです。

 なので、自分も読み終わった後は色々とネットで調べてしまいましたから。そしてその時に見付けた検証サイトを見て“こんなにも膨大な伏線があったとは.....”と恐怖を感じるほどに驚愕してしまったのですが、ここまで凄いサイトがあるのならば自分がどうこう書く必要などないな、ってことで真相などはリンク付けてこのサイト任せにしているのですよね。

 だけど一応自分の読んだ感想は結構長く書いていますので(読んだ人用と未読の人用にわざわざ分けたりして)、ぜひよかったら読んでみてください。


  [ この作品の感想記事はこちら!!]
    >> No.68 『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ

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 ちなみに、6位以下はこのようになっています。20位までドドドンッ!と大放出です。

 こうしてみると、上に挙げた“最後にアッと驚くどんでん返し系”以外にも、“★5つの満点評価” “「このミス」1位”の作品がアクセスされやすいようですね。

(後日追記)
 この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更しました。


  06位 : No.38 「神様ゲーム」 麻耶雄嵩
  07位 : No.55 「首無の如き祟るもの」 三津田信三
  08位 : No.21 「重力ピエロ」 伊坂幸太郎
  09位 : No.09 「GOTH リストカット事件」 乙一
  10位 : No.16 「ハサミ男」 殊能将之

  11位 : No.41 「向日葵の咲かない夏」 道尾秀介
  12位 : No.83 「名もなき毒」 宮部みゆき
  12位 : No.98 「ドリーミング・オブ・ホーム&マザー」 打海文三
  14位 : No.47 「独白するユニバーサル横メルカトル」 平山夢明
  15位 : No.01 「模倣犯」 宮部みゆき

  16位 : No.76 「インシテミル」 米澤穂信
  17位 : No.04 「生首に聞いてみろ」 法月綸太郎
  18位 : No.82 「落下する緑」 田中啓文
  19位 : No.08 「マークスの山」 高村薫
  20位 : No.03 「半落ち」 横山秀夫


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 【 100冊突破記念企画 】

  > 「驚いた!!ベスト5」 (08.6.26)
  > 「怖い!!ベスト5」 (08.6.29)
  > 「本格!!ベスト5」 (08.7.4)
  > 「熱い!!ベスト5」 (08.7.12)
  > 「とんでもない!!ベスト5」 (08.7.26)
  > 「作家!!ベスト5」 (08.8.13)
  > 「アクセス数!!ベスト5」 (08.9.2)

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  >>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<

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